わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

電動轆轤入門 18 水挽き 8 土殺し6

2014-09-07 21:48:57 | 電動ろくろ入門
2) 紐作り、輪積の際の土殺し。(前回の続きです)

 ② 紐造り、輪積による作品造りの際の土殺し。

   紐を巻き上げて作る理由は、径がやや大きめで、背の高い作品を作りたい時や、伸び難い土を

   轆轤挽きしたい場合が多いです。

   紐作りは手捻りの基本的な技術ですが、慣れない方は、長くて真ん丸で同じ太さの紐を作る

   事は意外に難しいです。多くの場合、扁平な紐に成る事が多いです。但しここでは紐の作り

   方は省略します。

 ) 紐の太さが細いと、当然一段は低いですので、数多く積む必要が生じます。更に下段が

   細いと、強度的に弱く高く積む事が出来ません。使用する土の軟らかさ(乾燥度合)によって

   高さも制限されて仕舞います。

  a) 原則は全て同じ太さの紐を使いたいですが、高く積み上げる際には、太さを三段階に分ける

   方法を取る場合も有ります。即ち、下部が一番太く、中間部が普通にし、上部を細めにする

   方法です。

  b) 一本の紐の長さは、繋ぎ目を少なくする為にも、出来るだけ長い方が良いです。

   更に、紐同士を繋げる際、強度的に弱くならない様にする事と、空気が入らない様にしなけれ

   ば成りません。紐の端面が凹んでいると、空気が入り易いですので、切り取ってしまう方が

   安全です。又、接着面を広くする事で強度を強くする事ができます。即ち、紐の端面を

   お互い逆方向に斜めにカットし、圧着します。    

 ) 紐を積む方法には、丁寧な積み方である輪積みの方法と、蛇が「どぐろ」を巻く様に

   ぐるぐる巻いて行く方法があります。後者の方が手間も省ける為、一般に行われている方法です

   いずれも、底になる土の板の周囲に巻き上げます。基本的には真っ直ぐ筒状に積み上げますが

   繋ぎ目に空気が入らない様に、下段の紐に押し付けます。

   技術書などでは、紐を内側に捻(ねじ)りながら、積み上げる方法が紹介されていますが、

   その効果はいまいち不明です。

   積み上げる高さは、最大で内側の手(右手)の肘程度が安全です。それ以上に成ると座った

   ままでの轆轤作業が困難になり、立って作業する事に成るからです。

 ) 繋ぎ目を消す。

   一般に手捻りの場合と同様に、内外の繋ぎ目は、消してから轆轤挽きします。

   尚、慣れた方なら、土殺しの際、上部より下部へ手を移動させて一度に、内外の繋ぐ目を消す

   事も可能です。

   繋ぎ目を消す場合、肉厚の厚い方の土を削る様にして薄い方に移動させて消します。

   繋ぎ目を消す方法には以下の方法があります。

   a) 手の指を使って消す。

     この場合、紐を高く積み上げた際、径が小さいと手(腕)が入り難く、作業がし難い

     ですので、内側だけでも高く積む前に作業し、その後に積み上げる様にする必要があり

     ます。 この場合、一段一段と繋ぎ目を消しますので、手間と時間が掛ます。

   b) 竹箆(へら)を使って一気に繋ぎ目を消す。

     水で濡らした角張った竹箆を使い、上から下、下から上へと、やや力を入れて、内外の

     壁を撫ぜ上げます。その際、内側又は外側に他の手を添えて、筒状の形が崩れるのを

     防ぎます。

  ) 土殺しを行う。

    繋ぎ目を消した状態では、筒が轆轤の中心に載っているとは限りません。又、壁の肉厚も

    一定に成っている訳ではなく、更に内外の表面も凸凹の状態ですので、筒が中心に来る様に

    し、肉厚も一定にする為、土殺しを行います。

   a) 土殺しの方法は、今まで述べて来た事と同じです。

    即ち、土を撫ぜる事で、泥(どべ)を出し、手が滑る様にします。

    作業は内外同時に行います。一番最初は一般の土殺しと逆に、上から下へ手を動かします。

    逆では紐同士を引き離す方向に、力が加わる為です。数度上から下へ撫ぜ下げたら、次は

    下から上へ撫ぜ上げます。

   b) 積み上げられた物が、縦長ですので、水切れがし易いです。

    両手に水で濡らした布(又は皮)を持ち作業します。当然左右の手は、バラバラですが、

    左手の肘はしっかり脇腹や太ももに固定します。(右回転の場合です。)

   c) この段階で、垂直な円筒形にし、表面の凸凹が取れれば、土殺しは終了となります。

 次回からは「土伸ばし」を説明します。
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