中国の青磁は、近隣諸国に、大きな影響を与えます。特に朝鮮に於いては、中国の青磁を模倣しながら、
独自の青磁を作り上げて行きます。
10世紀頃、龍泉寺窯の青磁が、黄海を渡って、朝鮮の高麗朝の、全羅南道康津郡大口面に、
もたらせられ、ここに、中央政府が直接支配する、青磁を焼く窯が築かれます。
1) 高麗(こうらい)朝(918~1391年)
① 三国時代(新羅、高句麗、百済)には、1200℃以上に焼成できる窯が、存在していたそうです。
中国六朝時代(439~589年)の青磁や黒釉が流入してきます。
この初期の青磁は、胎土も不純物が多く、釉薬も滑らかではなく、緑褐色を帯びています。
② 作品も中国風(唐風)で、広口長頸瓶、広口長頸裳形瓶、口縁が内側に巻き込んだ大鉢や、
外側に反った皿など、これ以降に見受けられない、作品も多いです。
③ 918年太祖によって、高麗は建国されます。政変も少なく、比較的安定し、文化水準も
高かった様です。
④ 6代の成宗(981~997年)に、中央集権体制が完成し、地方豪族は新しい支配階級に成ります。
宗と交易しながら、宋の北方の遼(りよう)とも、友好関係を保持します。
宋の青磁を手本に、12世紀以降、翡色(ひしょく)青磁や、象嵌(ぞうがん)青磁など、
独自の高麗青磁を、発展させていきます。
2) 高麗陶磁器
高麗陶磁器の種類は、青磁、白磁、黒釉磁、鉄釉磁などに、分類されます。
① 高麗青磁は、世界に比類の無い青磁とされ、特に翡色青磁は、宋の青磁を、押さえて、
天下一品とも、賞される程に成ります。
青磁では、無文青磁、象嵌青磁、鉄画青磁、銅画青磁などに、区分されます。
その他、青磁瓦や、青磁のタイルなどの、建築材料も焼かれています。
② 翡色青磁
翡色青磁の胎土は、地元、全羅南道康津郡産で、濃い褐色の土で、適度に鉄分を除く事により、
粘りの強い、やや白い土に成ります。焼成温度は1200℃以上です。
) 翡色青磁には、無文、陰刻、陽刻、透刻(透かし彫り)、及び、象形青磁(人物、動物、
植物の形)があります。
a) 無文青磁: 表面に特別装飾を、施していない青磁で、安定した落ち着いた形で、
格調ある青磁です。
b) 陰刻青磁: 表面を鋭利な刃物で、細く繊細に彫る技法で、表面の凹凸により、
釉に濃淡が出て、立体感を出しています。
c) 陽刻青磁: 文様を器面より、浮き上げて、表現する技法です。
文様の周囲を削り落とし、文様を浮き上がらせる方法と、切り取った文様を、貼り付ける
方法、更には、型に押し当てたり、型に流し込んだりする方法も在ります。
押出陽刻文青磁は、土で作った型を利用して一定の文様を付ける方法で、11世紀後半から
現れる技法です。
牡丹文、唐草文などの、文様が多いです。
d) 象形青磁: 人形形の水注、鴨形の硯滴、猿形の硯滴、獅子形香炉、瓜形青磁などが
あり、どこか遊び心を持った、作品が多いです。
e) 透刻青磁: 有名な作品に「青磁透刻蓮花七宝文香炉」(韓国の国宝)があります。
丁寧に透かし彫を施し、作品の軽さや、繊細さを表現し、更には高度の技術が、
見て取れます。
③ 翡色青磁の全盛期は、12~13世紀で、13世紀に成ると、社会変化に合わせ、象嵌青磁に
移っていきます。
以下次回に続きます。
参考資料: 「韓国美術五千年展」(東京国立博物館他)カタログ 1976年
「韓国のやきもの」山田貞夫訳 (株)淡交社 発行 2010年
独自の青磁を作り上げて行きます。
10世紀頃、龍泉寺窯の青磁が、黄海を渡って、朝鮮の高麗朝の、全羅南道康津郡大口面に、
もたらせられ、ここに、中央政府が直接支配する、青磁を焼く窯が築かれます。
1) 高麗(こうらい)朝(918~1391年)
① 三国時代(新羅、高句麗、百済)には、1200℃以上に焼成できる窯が、存在していたそうです。
中国六朝時代(439~589年)の青磁や黒釉が流入してきます。
この初期の青磁は、胎土も不純物が多く、釉薬も滑らかではなく、緑褐色を帯びています。
② 作品も中国風(唐風)で、広口長頸瓶、広口長頸裳形瓶、口縁が内側に巻き込んだ大鉢や、
外側に反った皿など、これ以降に見受けられない、作品も多いです。
③ 918年太祖によって、高麗は建国されます。政変も少なく、比較的安定し、文化水準も
高かった様です。
④ 6代の成宗(981~997年)に、中央集権体制が完成し、地方豪族は新しい支配階級に成ります。
宗と交易しながら、宋の北方の遼(りよう)とも、友好関係を保持します。
宋の青磁を手本に、12世紀以降、翡色(ひしょく)青磁や、象嵌(ぞうがん)青磁など、
独自の高麗青磁を、発展させていきます。
2) 高麗陶磁器
高麗陶磁器の種類は、青磁、白磁、黒釉磁、鉄釉磁などに、分類されます。
① 高麗青磁は、世界に比類の無い青磁とされ、特に翡色青磁は、宋の青磁を、押さえて、
天下一品とも、賞される程に成ります。
青磁では、無文青磁、象嵌青磁、鉄画青磁、銅画青磁などに、区分されます。
その他、青磁瓦や、青磁のタイルなどの、建築材料も焼かれています。
② 翡色青磁
翡色青磁の胎土は、地元、全羅南道康津郡産で、濃い褐色の土で、適度に鉄分を除く事により、
粘りの強い、やや白い土に成ります。焼成温度は1200℃以上です。
) 翡色青磁には、無文、陰刻、陽刻、透刻(透かし彫り)、及び、象形青磁(人物、動物、
植物の形)があります。
a) 無文青磁: 表面に特別装飾を、施していない青磁で、安定した落ち着いた形で、
格調ある青磁です。
b) 陰刻青磁: 表面を鋭利な刃物で、細く繊細に彫る技法で、表面の凹凸により、
釉に濃淡が出て、立体感を出しています。
c) 陽刻青磁: 文様を器面より、浮き上げて、表現する技法です。
文様の周囲を削り落とし、文様を浮き上がらせる方法と、切り取った文様を、貼り付ける
方法、更には、型に押し当てたり、型に流し込んだりする方法も在ります。
押出陽刻文青磁は、土で作った型を利用して一定の文様を付ける方法で、11世紀後半から
現れる技法です。
牡丹文、唐草文などの、文様が多いです。
d) 象形青磁: 人形形の水注、鴨形の硯滴、猿形の硯滴、獅子形香炉、瓜形青磁などが
あり、どこか遊び心を持った、作品が多いです。
e) 透刻青磁: 有名な作品に「青磁透刻蓮花七宝文香炉」(韓国の国宝)があります。
丁寧に透かし彫を施し、作品の軽さや、繊細さを表現し、更には高度の技術が、
見て取れます。
③ 翡色青磁の全盛期は、12~13世紀で、13世紀に成ると、社会変化に合わせ、象嵌青磁に
移っていきます。
以下次回に続きます。
参考資料: 「韓国美術五千年展」(東京国立博物館他)カタログ 1976年
「韓国のやきもの」山田貞夫訳 (株)淡交社 発行 2010年
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