上杉様より以下のご質問をお受けしました。
マット釉についての質問です。
1100度で溶けるマット釉薬はどのように調合したらいいのでしょうか? 教えてください。
◎ 明窓窯より
基本的には1100℃で熔ける基礎釉(透明釉)を作り、マット化させる為に別の材料を添加します。
もしも、上杉様が1100℃で熔ける基礎釉を、すでにお持ちの場合には、上記と同じになります。
基礎釉は、ご自分で調合する方法と、市販又はお持ちの1100℃で熔ける釉を、使う方法があります。
当然後者の方が、容易で簡単に調合できます。
1) 市販の釉を使う場合。(又は1100℃で熔ける基礎釉をお持ちの場合)
陶器用の一般の釉は、1180~1250℃程度で使用する事が多いのですが、メーカーによっては
1000~1150℃で使用できる石灰系透明釉が市販されています。これを使うと便利です。
① マット釉には、添加材によって以下の釉などがあります。(概ね、白い釉になります。)
) カオリンマット釉
基礎釉:カオリン = 100:15 (単位はgです。以下同じ。外割り)
カオリンが増えると、よりマット性が増しますが、粘土質に近づきますので、固い感じの
釉となります。カオリンの種類によって風合いも変化します。
カオリンを熔かす為に、合成土灰を入れる場合もあります。
) 白マット釉
基礎釉:マグネサイト = 100:15
マグネサイトを増やし過ぎると熔け切らずに、結晶を起こし白い斑点と成って現れます。
マット性を増す為に、天草陶石を添加する場合もあります。
)チタンマット釉
基礎釉:酸化チタン = 100:10
酸化チタンは強力な結晶剤です。白濁してパール状に輝く独特の結晶ですが、表面は艶消し
(マット)状になります。
以下の釉を作るには、基礎釉に対しどの程度添加するかは、ご自分で試して下さい。
) ジルコンマット釉
珪酸ジルコンは強力な乳濁材です。僅かな量で十分です。光沢を無くす為、他の材料を添加
する必要がある場合が多いです。
) スズ(錫)マット釉
) タルクマット釉
) その他。鳳凰マット釉など
② 白以外のマット釉を作りたい場合には、更に鉄や銅、コバルトなどの金属を数%添加します。
) 黒マット釉
基礎釉:マグネサイト:ベンガラ = 100:20:10
) 緑マット釉
基礎釉:マグネサイト:酸化銅 = 100:20:7
) 青系マット釉には、1%以下の酸化コバルトを添加します。
2) ご自分で基礎釉を作る場合。
ゼーゲル式から導き出します。かなり難しい計算になりますので、十分覚悟して取り組んで下さい。
① 1100℃はゼーゲルコーン(錐)番号で1aに相当します。
(注:ゼーゲルコーンは、窯中の温度を測定する用具です。一度しか使えません。)
これは、コーンが軟化した状態を表しますので、釉として使用する為には、更に100℃程度下の
番号で調合する必要があります。即ち1000℃と成りますで、錐番号では05aに相当する釉と
しなければ成りません。
② 05aの化学組成は以下の様に成ります。
MgO:CaO:Na2O:K2O:B2O:Al2O3:SiO2
= 0.257 :0.428 : 0.229 : 0.086 : 0.457 : 0.571 : 3.467(モル=分子量)
重量換算すると次の様になります。
= 10.36 : 24.00 : 14.19 : 8.10 : 70.05 : 58.22 : 208.33 (g)
注: MgO(マグネシウム): 1モルは40.31 (g)
CaO(カルシウム) : 1モルは56.08 (g)
Na2O(ナトリウム) : 1モルは61.98 (g)
K2O(カリウム) : 1モルは94.20 (g)
B2O(バリウム=ホウ酸): 1モルは153.3 (g)
Al2O3(アルミナ) : 1モルは101.96 (g)
SiO2(シリカ、珪酸) : 1モルは60.09 (g)
③ 釉を作る主な材料。
) 福島長石:基礎釉の中心的な素材です。「シリカ成分」を多く含み、主にガラス質を
形成します。「シリカ成分」を多く含む素材には、天草陶石や、合成藁灰などがあります。
) カオリン及びその仲間達(蛙目粘土など):「アルミナ成分」を多く含み、釉に粘りを
与え、素地との相性を良くします。
) 各種灰類及び炭酸バリウム、マグネサイト等: 釉を熔かす「アルカリ成分」を多く
含む素材です。尚、酸化亜鉛(華)も同じ働きをします。
以上の素材を使い1100℃の基礎釉を作ります。
尚、福島長石やカオリン、各種灰の成分は単体で構成されている訳では無く混合物ですので、構成
成分が判っていなければ、計算できません。その為の資料が必要になります。
この件をここで述べると長くて、膨大に成りますので、上杉様でお探し下さい。必ず見つかるはず
です。
最後に、以上述べてきた事柄を元に釉を作る場合、実験(試し焼き)を繰り返す必要があります。
以上、、マット釉を完成させて下さい。
マット釉についての質問です。
1100度で溶けるマット釉薬はどのように調合したらいいのでしょうか? 教えてください。
◎ 明窓窯より
基本的には1100℃で熔ける基礎釉(透明釉)を作り、マット化させる為に別の材料を添加します。
もしも、上杉様が1100℃で熔ける基礎釉を、すでにお持ちの場合には、上記と同じになります。
基礎釉は、ご自分で調合する方法と、市販又はお持ちの1100℃で熔ける釉を、使う方法があります。
当然後者の方が、容易で簡単に調合できます。
1) 市販の釉を使う場合。(又は1100℃で熔ける基礎釉をお持ちの場合)
陶器用の一般の釉は、1180~1250℃程度で使用する事が多いのですが、メーカーによっては
1000~1150℃で使用できる石灰系透明釉が市販されています。これを使うと便利です。
① マット釉には、添加材によって以下の釉などがあります。(概ね、白い釉になります。)
) カオリンマット釉
基礎釉:カオリン = 100:15 (単位はgです。以下同じ。外割り)
カオリンが増えると、よりマット性が増しますが、粘土質に近づきますので、固い感じの
釉となります。カオリンの種類によって風合いも変化します。
カオリンを熔かす為に、合成土灰を入れる場合もあります。
) 白マット釉
基礎釉:マグネサイト = 100:15
マグネサイトを増やし過ぎると熔け切らずに、結晶を起こし白い斑点と成って現れます。
マット性を増す為に、天草陶石を添加する場合もあります。
)チタンマット釉
基礎釉:酸化チタン = 100:10
酸化チタンは強力な結晶剤です。白濁してパール状に輝く独特の結晶ですが、表面は艶消し
(マット)状になります。
以下の釉を作るには、基礎釉に対しどの程度添加するかは、ご自分で試して下さい。
) ジルコンマット釉
珪酸ジルコンは強力な乳濁材です。僅かな量で十分です。光沢を無くす為、他の材料を添加
する必要がある場合が多いです。
) スズ(錫)マット釉
) タルクマット釉
) その他。鳳凰マット釉など
② 白以外のマット釉を作りたい場合には、更に鉄や銅、コバルトなどの金属を数%添加します。
) 黒マット釉
基礎釉:マグネサイト:ベンガラ = 100:20:10
) 緑マット釉
基礎釉:マグネサイト:酸化銅 = 100:20:7
) 青系マット釉には、1%以下の酸化コバルトを添加します。
2) ご自分で基礎釉を作る場合。
ゼーゲル式から導き出します。かなり難しい計算になりますので、十分覚悟して取り組んで下さい。
① 1100℃はゼーゲルコーン(錐)番号で1aに相当します。
(注:ゼーゲルコーンは、窯中の温度を測定する用具です。一度しか使えません。)
これは、コーンが軟化した状態を表しますので、釉として使用する為には、更に100℃程度下の
番号で調合する必要があります。即ち1000℃と成りますで、錐番号では05aに相当する釉と
しなければ成りません。
② 05aの化学組成は以下の様に成ります。
MgO:CaO:Na2O:K2O:B2O:Al2O3:SiO2
= 0.257 :0.428 : 0.229 : 0.086 : 0.457 : 0.571 : 3.467(モル=分子量)
重量換算すると次の様になります。
= 10.36 : 24.00 : 14.19 : 8.10 : 70.05 : 58.22 : 208.33 (g)
注: MgO(マグネシウム): 1モルは40.31 (g)
CaO(カルシウム) : 1モルは56.08 (g)
Na2O(ナトリウム) : 1モルは61.98 (g)
K2O(カリウム) : 1モルは94.20 (g)
B2O(バリウム=ホウ酸): 1モルは153.3 (g)
Al2O3(アルミナ) : 1モルは101.96 (g)
SiO2(シリカ、珪酸) : 1モルは60.09 (g)
③ 釉を作る主な材料。
) 福島長石:基礎釉の中心的な素材です。「シリカ成分」を多く含み、主にガラス質を
形成します。「シリカ成分」を多く含む素材には、天草陶石や、合成藁灰などがあります。
) カオリン及びその仲間達(蛙目粘土など):「アルミナ成分」を多く含み、釉に粘りを
与え、素地との相性を良くします。
) 各種灰類及び炭酸バリウム、マグネサイト等: 釉を熔かす「アルカリ成分」を多く
含む素材です。尚、酸化亜鉛(華)も同じ働きをします。
以上の素材を使い1100℃の基礎釉を作ります。
尚、福島長石やカオリン、各種灰の成分は単体で構成されている訳では無く混合物ですので、構成
成分が判っていなければ、計算できません。その為の資料が必要になります。
この件をここで述べると長くて、膨大に成りますので、上杉様でお探し下さい。必ず見つかるはず
です。
最後に、以上述べてきた事柄を元に釉を作る場合、実験(試し焼き)を繰り返す必要があります。
以上、、マット釉を完成させて下さい。