わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯を築く 4 窯の設計 3

2016-06-11 15:18:21 | 陶芸の窯を築く
窯を作るに当たって、必要な事柄は図面化する必要があります。

2) 設計時に用意する物。

 ① 各種の参考資料。    

  ⅰ) 手に入る窯の材料をリストアップしておく。

   a) 窯作りの資材

    耐火煉瓦(軽量)、耐火モルタル、シリカボード、耐火ウール(ファイバーブランケット)、

    煙突(ステンレス製)、耐火アルミナセメント、扉用鉄板、耐熱塗料、蝶番(扉用)、

    鉄枠用鉄骨、火格子(薪窯の場合)、ガス又は灯油バーナー(バーナヘッド付き)、ブロアー

   (灯油用送風機)、電熱線、各種配線用素材、ブレーカー、スイッチ類、ベニア板(発砲

    スチロール)、その他。鏝(左官用こて)、水準器、水糸、巻尺、曲尺(かねじゃく=直角度

    を見る)、金鋸、木槌、溶接一式又はネジとナット等があります。

    イ) 耐火煉瓦と軽量断熱煉瓦

    ロ) 耐火モルタルは、耐火煉瓦SK-32、34用の専用接着モルタルです。

    ハ) シリカボードと安価な断熱レンガ。

  以上までが前回のお話です。

    ニ) 耐火ウール(ファイバーブランケット)、ファイバーロープ、ファイバーキャスト

    ・ ウールは窯の扉周りなど、可動部分が重なり、隙間が生じ易い処に貼り付けて、熱の

     放出を防ぐ目的で使用する、綿状の耐熱材です。はさみ等で容易に切断できます。

     耐火温度は1300℃です。大きさは600X1200mmで厚みも6と12mmの物があります。

    ・ ファイバーブランケット接着材。煉瓦に接着させる接着剤で焼成する事でより強く接着

     します。

    ・ ファイバーロープは窯の扉用に開発された物で、窯の扉のパッキンとなる物です。

     長さが1m程度で、直径が25と50mmの物が有ります。

    ・ ファイバーキャストは、ファイバーをペースト状にした物で、窯の隙間や煉瓦の欠損

     部分に充填して使用します。

   ホ) ベニア板(発砲スチロール)、角材。

    窯の天井を耐火煉瓦をアーチ状に組上げる際、下から支える部材として使います。

    アーチ組上げ完了後、焼却できるのが理想ですが、街中では環境上不可能ですので、取り

    壊す事に成ります。

   へ) 鉄骨(鉄枠)、鉄板などの金属部材。

    窯は耐火煉瓦のみで築く事も可能ですが、現在では鉄骨や鉄板などを使い、窯を地面から

    浮かせ、下からバーナを差し入れる構造にしたり、窯全体を鉄枠で周囲を固め、窯を地震や

    爆発などの事故から守る方法がとられるのが一般的です。又扉も鉄板の上に耐火煉瓦を取り

    付けた方が強度的に強く、開閉の為の蝶盤などを強く取り付ける事ができます。更に、

    ガスや灯油バーナを取り付ける際にも、金属部分があった方が安定感もあり、強度的にも

    強くなります。その他にも、窯を築く土台の部分は、鉄筋を入れたコンクリートがより安全

    です。

   ト) 電気窯では、発熱体の電熱線が必要になります。

    窯製造メーカーのカタログを見ても、交換用の電熱線は販売している様ですが、電熱線単体

    を販売している処は見当たりません。

   ・ ネット上で電熱線を検索すると、幾つかにメーカーが表示されます。

     例えば 坂口電熱(株)や(株)石川製作所等です。

     必要な電熱線の特性として、最高使用温度 1300℃以上が必要で、高温での使用を目的

     とし、且つ折り曲げなどの加工がし易い物です。又電熱線は100~200回程度の焼成寿命で

     場合によっては、電熱線の交換が必要に成りますので、出来るだけご自分で修理できれば

     理想的です。

   ・ 坂口電熱(株)製品として、カンタル発熱体(鉄・クロム・アルミ)

     カンタル A-1: 最高使用温度 1400℃

      熱処理、セラミックス、ガラス、鋼、電子産業での高温工業炉

     カンタル AF: 最高使用温度 1400℃

      高温工業炉および石英管封入赤外線ヒーター、高温家庭電熱機器

     カンタル D: 最高使用温度 1300℃

      炉温 1000℃~1100℃までの工業炉、家庭電熱機器

     尚、 坂口電熱(株)には、熱電対やデジタル温度計も市販されています。

      窯メーカーでも市販されていますが、価格は倍増します。

      (余談ですが、小生も秋葉原にある坂口電熱(株)で熱電対関係の部品を購入しました)

   ・(株)石川製作所の製品として

     NO.30 (FCHW-1): 鉄クロム 第1種 1300℃ 特に高温での使用を目的としています。

     高温強度はニッケルクロムより劣りますが長寿命です。

   ・ 電熱線はバーナーで熱してから、ペンチを使って折り曲げる必要があります。

     常温で曲げると、折れてしまうとの事です。又、電熱線は硬いので、切断する際には、

     番線カッターが必要です。

   ・ 電熱線購入に当たっては、メーカーと良く相談して決めて下さい。

以下次回に続きます。      
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする