わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

化粧土と色土18 調合と使い方9(墨流しとイッチン1)

2013-10-23 21:36:33 | 陶芸入門(初級、中級編)

5) 「墨流し」と「イッチン」技法。

  化粧土を塗る方法には、刷毛塗り、粉引、流し掛けの他に、スポイト掛けと言う技法があります。

   「スポイト」又はそれに類する用具を使い、化粧土を塗る方法に「墨流し」と「イッチン」が有ります

   「スポイト」又はこれに類するものとは、以下の様な物です。

   スポイトは陶芸材料店などで購入できますが、手近にある物を使うと便利です。

   例えば、化粧土を少量使う場合には、「油注し」、園芸肥料の入った樹脂製の容器(アンプル)

   等で、市販の弁当に入っている、プラスチック製の醤油やソースの容器など大小色々あります。

   大量に使う場合は、ケーキ作りや料理で使う絞り袋、ケチャップを入れる容器などです。

   容器の口の大きさで選んだり、尖った蓋の先端を好みの太さに切って使います。

   更に多く流し込む場合には、「柄杓」を用います。

  ① 「墨流し」について。

   ) 「墨流し」とは、水を張った容器に墨を垂らし、ゆっくり掻き回して墨が不規則な文様を描く

     様にします。その上から紙を伏せて、文様を吸い取らせて紙に転写する方法です。

    ・ 文様は偶然性で左右され、同じものは二度と出来ません。

     これと同じ様な模様を陶磁器上で表現する方法が、ここで述べる「墨流し」です。

   ) 「墨流し」の技法は、大(中)皿の様に平たい作品に向いています。素地と異なる色化粧土を

     垂らし、作品を激しく動かし、化粧土を掻き混ぜ(攪拌する)、偶然(又は一部意図的)に模様を

     作り出す方法です。

   ) 作品を手に持って激しく動かす方法。

    a) 数種類の色の化粧土を使うと、より華やかな文様になります。

       (各種の色化粧土については、後日お話します。)

    b) 作品を手に持つ為、作品を亀板の上で轆轤挽きします。

      その際、激しく揺さ振りますので、縁が立ち上がった状態では変形し易いです。

      勿論ある程度作品を乾燥させれば、変形も少なくなりますが、素地の乾燥が進むと化粧土の

      水分を吸収し、化粧土の流動性を阻害します。それ故、なるべく濡れた状態の作品に化粧土

      を掛けたいです。その為、縁は文様を付けた後に立ち上げる方法をとります。

      轆轤挽き後は、作品の「ぬめり」を取り、周囲の泥を拭き取り綺麗にしておきます。

    c) 化粧土は、緩めに溶き流動性を持たせ、「スポイト」掛けなどの作業を容易にします。

      化粧土を数箇所に垂らし込み、亀板を手に持ち揺さ振て化粧土を移動させます。

     イ) 化粧土を垂らす際、「スポイト」を上下に移動させ、化粧土の垂らした跡に強弱をつけます

       即ち、低い場所からはやや太めの化粧土が出て、広い範囲に掛ます。高くすると線は

       表面張力で細くなり、狭い範囲に掛ります。又、左右に移動させ好みの位置に流し込み

       ます。

     ロ) 良い模様を描くには、最初に強く揺さ振り化粧土を動かします。その後、亀板を傾け

       ゆっくり化粧土を移動させる様になってから、更に、亀板ごと軽く振ります。

     ハ) 更に、別の色化粧土を垂らし、上記と同様に亀板ごと器を揺さ振り模様を完成させます。

        色土同士が混ざり合い、より複雑な模様を作り出します。

    d) 化粧土の水分が無くなったら、亀板を轆轤上に戻し、土と亀板との間に竹箆(へら)を入れ

       轆轤を回転させながら、縁を持ち上げて形を整えます。

       更に良く乾燥させてから、糸で亀板から切り離し、高台を削り出します。

   ) 轆轤の回転による遠心力を利用した「墨流し」の方法。

以下次回に続きます。   

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