わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸200(田中左次郎)

2012-09-22 21:38:49 | 現代陶芸と工芸家達

現代唐津の代表的な作家であり、人気作家でもある田中左次郎氏は、古窯跡で見つけた絵唐津の

陶片の素晴らしさに心を奪われ、唐津焼を志したとの事です。

1) 田中佐次郎(たなか さじろう) : 1937年(昭和12) ~

 ① 経歴

   1937年 福岡県北九州市に生まれます。

   1965年 縄文、弥生式土器の研究を始めます。

   1971年 古唐津発掘調査を行い。唐津焼の作陶を始めます。

   1975年 唐津市半田に登り窯を築きます。

   1985年 渋谷黒田陶苑にて個展を開催します。(以降、毎年開催)

   1987年 佐賀県東松浦郡浜玉 山瀬に登窯を移築します。

   1996年 韓国慶尚南道の蔚山(うるさん)に窯を築き、本場の高麗茶碗を制作し始めます。

 ② 田中氏の陶芸と作品

    作品の種類は、主に茶道具(茶陶)や、懐石料理の酒器や向付などの食器類が多いです。

   ) 特別な師を持たず、ほぼ独学で陶芸技術を習得したそうです。

   ) 1971年 唐津古窯跡を尋ね歩いた際、山深い山瀬の物原(一種のゴミ捨て場)で一枚の

      小皿に出会います。「小皿の中に陶工の轆轤を回す後ろ姿が浮かび上がり、体がズーンと

      して言葉が出ず、その場でしゃがみ込んでしまった。そして、その日が分水嶺となり、人生の

      流れを変えました。」と田中氏は語っています。

   ) 幻の古唐津の窯のあった、佐賀県東松浦郡の山瀬に登窯を築き唐津焼に取り組みます。

      土は鉄分の多い山瀬の原土(赤土)を使い、素朴な絵唐津の作品を作り始めます。

   ) 田中氏の唐津焼の種類は以下の種類があります。

     a) 朝鮮唐津: 黒い鉛釉を下に掛け、その上に白い藁灰釉を掛け分けた作品です。

       ・ 朝鮮徳利: 高 21.2、径12.7 cm。

     b) 斑(まだら)唐津: 乳白の地に青い斑文が流れている作品です。

       ・ 斑唐津茶碗: 高 10.3、径15.3 cm。 斑唐津盃: 高 5.6、径7.2 cm。

     c) 唐津焼の源流である朝鮮の焼き物。

       伊羅保(イラボ)、柿の蔕(へた)、粉引(こひき)、井戸茶碗、堅手(かたて)茶碗などを

       制作しています。 注: 柿の蔕茶碗とは、高麗茶碗の一種で、釉が蔕の色に似ている

       事と、高台付近が、柿の蔕の様に見える事で、我が国の茶人が付けた名前です。

       高台は大きく、腰の段(くの字)
がはっきりした形が特徴です。

      ・ 高麗伊羅保茶碗: 高 7、径15.0 cm。 柿の蔕茶碗: 高 7、径14.6 cm。

        斑唐津茶碗: 高 10.3、径15.3 cm。いずれも50~80万円の値札が付いています。

     d) 青霄 (せいしょう)と名付けた唐津焼

        近年、鮮やかな青味を持つ唐津焼や、青味掛かった乳白釉を発表し、「青霄 」と名付ます

       ・ 青霄 盃: 高 4.2、径7 cm。

   ) 高麗茶碗の魅力に取り付かれ、本場の土で本場の窯で制作する為に、2004年に韓国の

      慶尚南道 蔚山 彦陽付近に亀山窯を築きます。

      現地の荒い質感のある原土で制作し、茶色味を帯びた釉を使っています。

     ・ 亀山窯伊羅保盃: 高 5.2、径6.4 cm。

次回(中村六郎氏)に続きます。

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