アイベックス

今日のＮＨＫ『ダーウィンが来た！』で、アルプス山脈に生息するアイベックスを紹介していました。
アイベックスは、ウシ科ヤギ属に属する動物です。

彼らは、数百メートルの断崖絶壁の上を住処としていますが、
生きるために必要な水と食料の草木がある谷底へ、毎日下りていくのです。
危険な断崖絶壁での暮らしよりも怖いのは、谷底のオアシスに来る肉食動物なのです。
その肉食動物がオアシスに現れる夜間は危険ですから、断崖絶壁に戻らなければいけません。
いずれにしても、大変な生活です。

一年に一度、彼らは子孫を残すために交尾をします。
しかも、メスが交尾を受け入れるのは、たった一日だそうです。
強い子孫を残すために、オス同志が戦いをして交尾権(？)を勝ち取るのですが、
長い角を持つオスは、お互いの角をぶつけ合って戦います。
時には体の重みを利用したり、傾斜の地形を利用して戦うのです。

今日の番組では、その戦いの様子も紹介していました。
大きな角を持っている一匹のオスは前足を痛めていましたが、
戦いに勝たなければ、自分の子孫を残すことができません。
そこで、若者のオスに戦いを挑みます。

踏ん張ることができない前足ですが、戦いが始まると、お互いに容赦はありません。
力が入らない前足の痛々しさに、私はハラハラとしながら見ていました。
もう、それ以上は無理ではないの？と思い、頑張っても勝ち目がないと思った時、
ぶつけ合った角が絡み合って、２頭のアイベックスは崖を滑り落ちて…。

やがて、大きな角のアイベックスに追われるように去っていく若者がいました。
勝ったものの、大きな角の彼が足をかばうように歩く姿は、やはり痛々しいものでした。
「勝ったんだわ。」
私は、涙が出てしまいました。
勝ったこと…というよりも、戦い抜いたことに感動しました。