昨日の夜11時に締め切られた、国会議員に対する『特定秘密保護法案に反対せよ!』署名に、本当にたくさんの方々が署名してくださいました。
実は、署名フォームがパンクしたため、日本時間の21日の朝6時まで延長されていたそうです。
ごめんなさい!知らずにいました。
けれども、ここのブログ記事を読んでくださった方が、なんと3万5千人を超えるという、びっくり仰天の結果が出ていて、
やはりみなさんも、大変に心配しておられる、危機感を持ってくださっていると、しみじみと実感することができました。
この署名に関してのその後のお知らせです。
↓↓↓
★11月20日(水)10時までに集まった署名は、10,742筆に達しました。
メッセージもとても理性的で、説得力のあるものでした。
本日の議員事務所訪問で、衆議院の自民党・公明党・みんな・維新の議員たちに、提出させていただきました。
★21日(木)に、各党の国会議員に提出します。
ぜひ、みんなで提出に行きましょう!
朝10時に、参議院議員会館ロビーにご集合ください。
★提出したあと、11時から記者会見を行います。
こちらにもぜひ、みなさんご出席ください。
場所はまだとれていないのですが、参議院議員会館ロビーに、11時にご集合ください。
ということで、時差の14時間というのはやはり、なかなか厳しいです。
みんな、すでにもう終ってしまってました……。
お知らせが後手後手になってしまい、本当にすみませんでした。
署名という行動で、秘密保護法案への反対の意思を表してくださったみなさん、
闘いはまだ始まったばかりです。
などというようなことを言うわたしは、もう完全に『扇動罪』の対象ですね。
いやもう、こんなとんでもない悪法は、なにがなんでも却下です!
決めようとしている者達の顔を見ただけでわかります。
意味分かってませんもん。
分かろうという気も無い。
国会議員になった途端に、いや多分それ以前から、
選挙運動で声枯らして自分の名前を連呼する。
議会の席に座って、大多数が賛成しそうな案件に賛成しとく、
あとは適当に、自分のためになりそうな物事や人物に擦り寄る、ぐらいが仕事で、
そんなこんなの大事な法案もTPPも原発も、基地も公害も、
どういうもので、どういう影響があるのか、などということを学ぼうとする議員が、あまりにも少な過ぎて話になりません。
まともに仕事をしないのならクビにしてやる。
主権者を怒らしたら恐ろしい。
わたしらの力を今、この今、見せるべきです。
今が境目だと思います。
自民党はこれまでも、ずっとずっと、いろんなことを隠し続けてきました。
その量は膨大で、真っ黒に塗られた書類は数知れず。
それが当たり前の世界の人間たちなのです。
その結果のひとつが、54基もの原子力発電所であり、使用前、使用中、使用済み核燃料が、小さな領土にぎっしりと置かれているという現実。
しかもその小さな領土の真下には、何層もの活断層がひしめき合っている。
この無責任さの責任をとらせること。
そのためにも、こんな、権力側に都合の良い超悪法は、絶対の絶対に通させてはなりません!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/40/3dcb586d3cf79a04e92389fa0a90ef89.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/82/18bc896d4ff1c3fad1f89ae6f8ade9f8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/35/9c5aa4b23cd9286b3c1892b371c09f25.jpg)
特定秘密保護法案
【中日新聞・社説】
<1>自由に壁が築かれる
2013年11月18日
特定秘密保護法案は、「戦争をしない国」から「戦争ができる国」に進める歯車の役目さえ果たす。
日本版NSC(国家安全保障会議)を設ける法案と、セットで提案されているうえ、
その先には、国家安全保障基本法案が見えているからだ。
自民党の法案概要では、憲法九条を改正しなくとも、集団的自衛権の行使ができる魔法のような法案だ。
同党幹部は、米中央情報局(CIA)のような、諜報(ちょうほう)機関を新設することも公言している。
この文脈が示すのは、軍事や治安分野への傾斜度を、格段に高めることだ。
秘密保護法案をめぐる国会の議論は、この大きな視野が欠けている。
政府は、米国から情報をもらうために、秘密保護法が必要だと説明する。
だが、他国の軍隊や治安機関から情報を得るには、相互主義が基本である。
「ギブ・アンド・テーク」が鉄則とされる。
「秘密保護」という表面の言葉に惑わされず、裏面の「ギブ」にも注意を払うべきだ。
米国に提供されうる重要情報である。
現状は不明だが、その収集活動にあたるのは、防衛・公安当局などだ。
対象は、中国や北朝鮮、イスラム系など、在留外国人の動向にとどまらないはずだ。
米軍基地の反対運動や、反原発運動など、幅広い市民活動に対しても、監視が強まるだろう。
これを正当化し、本格化させるのが、裏面の目的といえよう。
そもそも、法案の前提にされる、「日本はスパイ天国だ」という指摘は本当だろうか。
安倍晋三首相が、「過去15年間で、情報漏えい事件を5件把握している」と答弁したのが、正直な現状ではないか。
現行法でも十分に対処できるうえ、立法事実も存在しない。
もし、この法案が成立すれば、蛇口を閉じるように、行政機関からの情報量が、大幅に減る心配がある。
何が「特定秘密」かも明らかでないため、公務員側は、ジャーナリストの取材にたじろぐ。
一般情報さえ口にしにくい空気が、役所内部に醸成されよう。
個人情報保護法ができたとき、さまざまな名簿が、忽然(こつぜん)と消えた。
それ以上の萎縮効果が広がるだろう。
民主主義社会は、自由な情報に基づいて築かれている。
厳罰法制は、知る権利や報道の自由などに、鎖をつけるに等しい。
行政機関の情報漏えいならば、内部の情報保全を徹底すれば済む。
社会全体に投網をかける必要はない。
情報統制色を帯びる法案を、成立させてはならない。
<2>情報は国民のものだ
2013年11月19日
「迷ったら、公務員は情報を開示することが原則だ」
米国のオバマ大統領は、一期目の就任初日に、こんな趣旨のメモを記した。
軍事大国で、元CIA(米中央情報局)職員スノーデン氏が告発したように、通信情報を広範に収集している国だ。
だが、基本的に、情報はオープンという伝統を持つ、自由と民主主義の大国である。
情報公開を促す、「情報自由法」を持つ。
国家機密でも解除は10年未満に設定され、25年たつと「自動解除」原則がある。
50年、75年の例外的なケースもあるが、行政機関がずっと秘密を持ち続けることの方が、困難な制度をつくっている。
機密の指定段階でも、大統領令で、行政機関の「長」はフリーハンドで行えず、常に「説明しなさい」という状態に置かれる。
疑念があれば、行政内部で、異議申し立てが奨励される。
外部の委員会に、審査請求できる仕組みもある。
ここで機密解除された裁決は、2010年度で68%にのぼる。
秘密の範囲が無限定になると、民主主義が危機に陥ってしまう。
同年には、過剰な機密指定を削減する法律もつくったほどだ。
秘密保護法案(日本)は、秘密の指定や保管、解除、処罰に大きな欠陥を抱えている。
海外メディアの特派員でつくる「日本外国特派員協会」が、「報道の自由、および民主主義の根本を脅かす悪法だ」と声明を出したのも、うなずける。
そもそも、行政情報は国民のものである。
国民主権原理が常に働いているからだ。
外交上の秘密であっても、必要最小限のみを指定すべきであり、秘密保持期間も、本来は一時的でなければならない。
その外交政策が後に適切であったかどうかの、検証も必要である。
「国政に関する情報が、基本的に国民に開かれていることが原則である。
(中略)なんでも秘密だというのでは、自由の原則が崩れてしまう」
1980年代に、スパイ防止法案が論議されたとき、谷垣禎一法相は、月刊誌にこう書いた。
「刑罰で秘密を守ろうという場合は、よくよく絞りをかけておかないと、人の活動をいたずらに萎縮させることになりかねない」とも記した。
まっとうな意見だ。
現在、谷垣氏は「当時と状況が違う」と語るが、「自由の原則」は不変のはずだ。
民主主義の根幹を揺るがす法案には、外国特派員とともに、「悪法」と呼びたい。
<3>崖っぷちの「知る権利」
2013年11月20日
国民の「知る権利」と安全保障は、いわば綱引きのような関係である。
政府は「秘密にしたい」と言い、国民は「情報を公開してほしい」と願う。
調整をどのように図ったらいいのか。
「あらゆる人は、公的機関が保持する情報に、アクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは、政府の責務である」
今年6月にできた「ツワネ原則」は、そう定めた。
安全保障と情報に対する権利の、国際原則である。
世界70カ国余りの専門家、約500人で作成した。
兵器開発や軍隊の作戦など、限られた範囲での情報制限は認めているが、政府に証明を負わせる点は重要だ。
秘密指定を、行政機関の「長」に委ねる特定秘密保護法案と、出発点が決定的に異なる。
さらにツワネ原則は、国際人権法に反する情報など、「何を秘密にしてはならないか」を明確にしている。
どこまで秘密に覆われるか不明な日本の法案とは、まるで正反対である。
国家の公衆監視も規制し、裁判所で秘密が公開され、審理できる保障も定めている。
ことごとく考え方が逆方向なのだ。
国連や米州機構、欧州安保協力機構などのメンバーが加わった最先端の原則から、わざわざ踏み外す法案を、なぜ政府はつくるのか。
秘密に対する、日本の官僚のおそまつさを示す一例を挙げよう。
2006年と08年に、当時の「原子力安全・保安院」の、審議官クラスらが渡米した。
原発への航空機衝突や、火災などの場合について、対処法の説明を受けた。
だが、米国側から、「秘密だ」と注意された。
そのため、保安院側は、原子力安全委員会にも、電力会社にも伝えなかった。
原発の過酷事故に関する重要情報を、せっかく米国から提供されていたのに、全く生かせなかったわけだ。
秘密情報であっても、関係機関内で共有され、活用されなくては、何の意味もない。
重罰で秘匿化をより強める法案は、実用的でないうえ、官僚をさらに束縛する。
逆に官僚は、公文書の公開には無関心すぎる。
11年度に保存期間が満了した、行政文書のファイル約230万件のうち、廃棄された割合は、実に92.5%にものぼる。
国立公文書館に移管されたファイルは、たったの0・7%にすぎない。
このうえ、秘密の密封度を高める法案とは何事か。
国民の「知る権利」は、崖っぷちに立っている。
<4>捜査が暴走し始める
2013年11月21日
普通に生活する町のクリーニング業者が、まさかスパイであるはずがない。
でも、米軍の機密情報を入手したとして起訴され、有罪判決を受けるという、信じ難い出来事が過去にあった。
米海軍の横須賀基地(神奈川)に所属する、軍艦の乗組員を相手に、商売をしていただけだ。
クリーニング店の支配人は、営業上の必要から、基地に勤務する軍人を、料理店でもてなしたりした。
そして、基地に出入りする軍艦の、入港予定日や時間などを記したペーパーをもらっていた。
これが、米海軍の機密にあたるとされた。
「不当な方法で、探知し、または収集した」とし、1957年に、横浜地裁は、懲役8月執行猶予2年の判決を出したのだ。
罪名は日米地位協定に伴う、刑事特別法違反である。
安全保障条約に基づく法律で、機密漏えいばかりでなく、探知も陰謀、教唆、扇動も処罰する。
最高刑は懲役10年である。
陰謀は共謀と同じだ。
骨格が、今回の法案とそっくりなのだ。
もてなしも「不当な方法」と認定された。
特定秘密保護法案は、防衛や外交、特定有害活動やテロリズムの防止-の4つの分野を対象にしている。
しかも、「その他の活動」や「その他の重要な情報」など、「その他」の言葉が、三十六回も散乱する。
いかなる解釈もできるよう、官僚が意図して、曖昧に書いているのではないだろうか。
社会の幅広い場面で、法律が適用される懸念は大きい。
しかも、何が秘密であるかも秘密にされる。
必然的に、どこまで処罰の範囲が広がっているのか、国民には全く手掛かりがつかめない。
民間人が、秘密に近づく事前行為さえ、処罰する。
「話し合い」は共謀であり、「呼び掛け」は扇動となる。
近代刑法は、犯罪の実行を要するのに、その前段階で取り締まることが可能なのだ。
刑事裁判の場合も、秘密は公開されないはずだ。
「外形立証」という、秘密指定の理由や手続きなどの審理だけで、「実質的に秘密に値する」と認める手法だ。
被告人は、内容を知らないまま罪に問われる。
無実の証明は困難になるだろう。
「裁判の適正手続きを侵害する」などと、刑事法学者らも反対の声をあげている。
捜査当局は、新たな“武器”を得るのに等しく、どんな運用をするかもわからない。
歯止めのない法律は、やがて暴走し始める。
(論説委員・桐山桂一)
実は、署名フォームがパンクしたため、日本時間の21日の朝6時まで延長されていたそうです。
ごめんなさい!知らずにいました。
けれども、ここのブログ記事を読んでくださった方が、なんと3万5千人を超えるという、びっくり仰天の結果が出ていて、
やはりみなさんも、大変に心配しておられる、危機感を持ってくださっていると、しみじみと実感することができました。
この署名に関してのその後のお知らせです。
↓↓↓
★11月20日(水)10時までに集まった署名は、10,742筆に達しました。
メッセージもとても理性的で、説得力のあるものでした。
本日の議員事務所訪問で、衆議院の自民党・公明党・みんな・維新の議員たちに、提出させていただきました。
★21日(木)に、各党の国会議員に提出します。
ぜひ、みんなで提出に行きましょう!
朝10時に、参議院議員会館ロビーにご集合ください。
★提出したあと、11時から記者会見を行います。
こちらにもぜひ、みなさんご出席ください。
場所はまだとれていないのですが、参議院議員会館ロビーに、11時にご集合ください。
ということで、時差の14時間というのはやはり、なかなか厳しいです。
みんな、すでにもう終ってしまってました……。
お知らせが後手後手になってしまい、本当にすみませんでした。
署名という行動で、秘密保護法案への反対の意思を表してくださったみなさん、
闘いはまだ始まったばかりです。
などというようなことを言うわたしは、もう完全に『扇動罪』の対象ですね。
いやもう、こんなとんでもない悪法は、なにがなんでも却下です!
決めようとしている者達の顔を見ただけでわかります。
意味分かってませんもん。
分かろうという気も無い。
国会議員になった途端に、いや多分それ以前から、
選挙運動で声枯らして自分の名前を連呼する。
議会の席に座って、大多数が賛成しそうな案件に賛成しとく、
あとは適当に、自分のためになりそうな物事や人物に擦り寄る、ぐらいが仕事で、
そんなこんなの大事な法案もTPPも原発も、基地も公害も、
どういうもので、どういう影響があるのか、などということを学ぼうとする議員が、あまりにも少な過ぎて話になりません。
まともに仕事をしないのならクビにしてやる。
主権者を怒らしたら恐ろしい。
わたしらの力を今、この今、見せるべきです。
今が境目だと思います。
自民党はこれまでも、ずっとずっと、いろんなことを隠し続けてきました。
その量は膨大で、真っ黒に塗られた書類は数知れず。
それが当たり前の世界の人間たちなのです。
その結果のひとつが、54基もの原子力発電所であり、使用前、使用中、使用済み核燃料が、小さな領土にぎっしりと置かれているという現実。
しかもその小さな領土の真下には、何層もの活断層がひしめき合っている。
この無責任さの責任をとらせること。
そのためにも、こんな、権力側に都合の良い超悪法は、絶対の絶対に通させてはなりません!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/40/3dcb586d3cf79a04e92389fa0a90ef89.jpg)
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特定秘密保護法案
【中日新聞・社説】
<1>自由に壁が築かれる
2013年11月18日
特定秘密保護法案は、「戦争をしない国」から「戦争ができる国」に進める歯車の役目さえ果たす。
日本版NSC(国家安全保障会議)を設ける法案と、セットで提案されているうえ、
その先には、国家安全保障基本法案が見えているからだ。
自民党の法案概要では、憲法九条を改正しなくとも、集団的自衛権の行使ができる魔法のような法案だ。
同党幹部は、米中央情報局(CIA)のような、諜報(ちょうほう)機関を新設することも公言している。
この文脈が示すのは、軍事や治安分野への傾斜度を、格段に高めることだ。
秘密保護法案をめぐる国会の議論は、この大きな視野が欠けている。
政府は、米国から情報をもらうために、秘密保護法が必要だと説明する。
だが、他国の軍隊や治安機関から情報を得るには、相互主義が基本である。
「ギブ・アンド・テーク」が鉄則とされる。
「秘密保護」という表面の言葉に惑わされず、裏面の「ギブ」にも注意を払うべきだ。
米国に提供されうる重要情報である。
現状は不明だが、その収集活動にあたるのは、防衛・公安当局などだ。
対象は、中国や北朝鮮、イスラム系など、在留外国人の動向にとどまらないはずだ。
米軍基地の反対運動や、反原発運動など、幅広い市民活動に対しても、監視が強まるだろう。
これを正当化し、本格化させるのが、裏面の目的といえよう。
そもそも、法案の前提にされる、「日本はスパイ天国だ」という指摘は本当だろうか。
安倍晋三首相が、「過去15年間で、情報漏えい事件を5件把握している」と答弁したのが、正直な現状ではないか。
現行法でも十分に対処できるうえ、立法事実も存在しない。
もし、この法案が成立すれば、蛇口を閉じるように、行政機関からの情報量が、大幅に減る心配がある。
何が「特定秘密」かも明らかでないため、公務員側は、ジャーナリストの取材にたじろぐ。
一般情報さえ口にしにくい空気が、役所内部に醸成されよう。
個人情報保護法ができたとき、さまざまな名簿が、忽然(こつぜん)と消えた。
それ以上の萎縮効果が広がるだろう。
民主主義社会は、自由な情報に基づいて築かれている。
厳罰法制は、知る権利や報道の自由などに、鎖をつけるに等しい。
行政機関の情報漏えいならば、内部の情報保全を徹底すれば済む。
社会全体に投網をかける必要はない。
情報統制色を帯びる法案を、成立させてはならない。
<2>情報は国民のものだ
2013年11月19日
「迷ったら、公務員は情報を開示することが原則だ」
米国のオバマ大統領は、一期目の就任初日に、こんな趣旨のメモを記した。
軍事大国で、元CIA(米中央情報局)職員スノーデン氏が告発したように、通信情報を広範に収集している国だ。
だが、基本的に、情報はオープンという伝統を持つ、自由と民主主義の大国である。
情報公開を促す、「情報自由法」を持つ。
国家機密でも解除は10年未満に設定され、25年たつと「自動解除」原則がある。
50年、75年の例外的なケースもあるが、行政機関がずっと秘密を持ち続けることの方が、困難な制度をつくっている。
機密の指定段階でも、大統領令で、行政機関の「長」はフリーハンドで行えず、常に「説明しなさい」という状態に置かれる。
疑念があれば、行政内部で、異議申し立てが奨励される。
外部の委員会に、審査請求できる仕組みもある。
ここで機密解除された裁決は、2010年度で68%にのぼる。
秘密の範囲が無限定になると、民主主義が危機に陥ってしまう。
同年には、過剰な機密指定を削減する法律もつくったほどだ。
秘密保護法案(日本)は、秘密の指定や保管、解除、処罰に大きな欠陥を抱えている。
海外メディアの特派員でつくる「日本外国特派員協会」が、「報道の自由、および民主主義の根本を脅かす悪法だ」と声明を出したのも、うなずける。
そもそも、行政情報は国民のものである。
国民主権原理が常に働いているからだ。
外交上の秘密であっても、必要最小限のみを指定すべきであり、秘密保持期間も、本来は一時的でなければならない。
その外交政策が後に適切であったかどうかの、検証も必要である。
「国政に関する情報が、基本的に国民に開かれていることが原則である。
(中略)なんでも秘密だというのでは、自由の原則が崩れてしまう」
1980年代に、スパイ防止法案が論議されたとき、谷垣禎一法相は、月刊誌にこう書いた。
「刑罰で秘密を守ろうという場合は、よくよく絞りをかけておかないと、人の活動をいたずらに萎縮させることになりかねない」とも記した。
まっとうな意見だ。
現在、谷垣氏は「当時と状況が違う」と語るが、「自由の原則」は不変のはずだ。
民主主義の根幹を揺るがす法案には、外国特派員とともに、「悪法」と呼びたい。
<3>崖っぷちの「知る権利」
2013年11月20日
国民の「知る権利」と安全保障は、いわば綱引きのような関係である。
政府は「秘密にしたい」と言い、国民は「情報を公開してほしい」と願う。
調整をどのように図ったらいいのか。
「あらゆる人は、公的機関が保持する情報に、アクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは、政府の責務である」
今年6月にできた「ツワネ原則」は、そう定めた。
安全保障と情報に対する権利の、国際原則である。
世界70カ国余りの専門家、約500人で作成した。
兵器開発や軍隊の作戦など、限られた範囲での情報制限は認めているが、政府に証明を負わせる点は重要だ。
秘密指定を、行政機関の「長」に委ねる特定秘密保護法案と、出発点が決定的に異なる。
さらにツワネ原則は、国際人権法に反する情報など、「何を秘密にしてはならないか」を明確にしている。
どこまで秘密に覆われるか不明な日本の法案とは、まるで正反対である。
国家の公衆監視も規制し、裁判所で秘密が公開され、審理できる保障も定めている。
ことごとく考え方が逆方向なのだ。
国連や米州機構、欧州安保協力機構などのメンバーが加わった最先端の原則から、わざわざ踏み外す法案を、なぜ政府はつくるのか。
秘密に対する、日本の官僚のおそまつさを示す一例を挙げよう。
2006年と08年に、当時の「原子力安全・保安院」の、審議官クラスらが渡米した。
原発への航空機衝突や、火災などの場合について、対処法の説明を受けた。
だが、米国側から、「秘密だ」と注意された。
そのため、保安院側は、原子力安全委員会にも、電力会社にも伝えなかった。
原発の過酷事故に関する重要情報を、せっかく米国から提供されていたのに、全く生かせなかったわけだ。
秘密情報であっても、関係機関内で共有され、活用されなくては、何の意味もない。
重罰で秘匿化をより強める法案は、実用的でないうえ、官僚をさらに束縛する。
逆に官僚は、公文書の公開には無関心すぎる。
11年度に保存期間が満了した、行政文書のファイル約230万件のうち、廃棄された割合は、実に92.5%にものぼる。
国立公文書館に移管されたファイルは、たったの0・7%にすぎない。
このうえ、秘密の密封度を高める法案とは何事か。
国民の「知る権利」は、崖っぷちに立っている。
<4>捜査が暴走し始める
2013年11月21日
普通に生活する町のクリーニング業者が、まさかスパイであるはずがない。
でも、米軍の機密情報を入手したとして起訴され、有罪判決を受けるという、信じ難い出来事が過去にあった。
米海軍の横須賀基地(神奈川)に所属する、軍艦の乗組員を相手に、商売をしていただけだ。
クリーニング店の支配人は、営業上の必要から、基地に勤務する軍人を、料理店でもてなしたりした。
そして、基地に出入りする軍艦の、入港予定日や時間などを記したペーパーをもらっていた。
これが、米海軍の機密にあたるとされた。
「不当な方法で、探知し、または収集した」とし、1957年に、横浜地裁は、懲役8月執行猶予2年の判決を出したのだ。
罪名は日米地位協定に伴う、刑事特別法違反である。
安全保障条約に基づく法律で、機密漏えいばかりでなく、探知も陰謀、教唆、扇動も処罰する。
最高刑は懲役10年である。
陰謀は共謀と同じだ。
骨格が、今回の法案とそっくりなのだ。
もてなしも「不当な方法」と認定された。
特定秘密保護法案は、防衛や外交、特定有害活動やテロリズムの防止-の4つの分野を対象にしている。
しかも、「その他の活動」や「その他の重要な情報」など、「その他」の言葉が、三十六回も散乱する。
いかなる解釈もできるよう、官僚が意図して、曖昧に書いているのではないだろうか。
社会の幅広い場面で、法律が適用される懸念は大きい。
しかも、何が秘密であるかも秘密にされる。
必然的に、どこまで処罰の範囲が広がっているのか、国民には全く手掛かりがつかめない。
民間人が、秘密に近づく事前行為さえ、処罰する。
「話し合い」は共謀であり、「呼び掛け」は扇動となる。
近代刑法は、犯罪の実行を要するのに、その前段階で取り締まることが可能なのだ。
刑事裁判の場合も、秘密は公開されないはずだ。
「外形立証」という、秘密指定の理由や手続きなどの審理だけで、「実質的に秘密に値する」と認める手法だ。
被告人は、内容を知らないまま罪に問われる。
無実の証明は困難になるだろう。
「裁判の適正手続きを侵害する」などと、刑事法学者らも反対の声をあげている。
捜査当局は、新たな“武器”を得るのに等しく、どんな運用をするかもわからない。
歯止めのない法律は、やがて暴走し始める。
(論説委員・桐山桂一)