ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国『中間選挙2018』事情

2018年11月06日 | 米国○○事情
アメリカの中間選挙の結果が続々と出てきています。






そしてこれは、つい先ほど出た、下院で民主党が勝利したという速報です。





以下は、D.C.のホワイトハウス前での反戦スタンディング、そして沖縄の米軍基地の撤去を訴えるべく議員事務所の訪問をしている平和活動家Shizuさんの記事です。

【GO VOTE!この白い館に住む男を喜ばせるな!】

11月6日はいよいよ中間選挙。

週末の夕刻になると、ホワイトハウス前にこの一団が現れて、投票を促す。
ヒップホップダンスあり、バンドあり。
ライトアップで『VOTE OUT BIGOTS』というメッセージ。
最終週末だから、今日は取り分け熱が入っている。


(まうみ注・動画はこちら→https://www.facebook.com/shizuko.nagashima.58/videos/pcb.1793256320801929/1793255764135318/?type=3&theater

『BIGOTS』とは、人種、宗教、政治面で、頑固に偏った考えを持つ人のこと。
分からず屋。
そういう奴らを選挙で落とせ!
というわけだ。

『Vote Blue』というサインも見える。
この国では、ブルーは民主党、赤は共和党を示す色だ。
共和党が過半数を占める現在の議会の構造が逆転すれば、トランプの好き勝手な政策にブレーキがかかる。

私は選挙権を持ってから初めての不在者投票。
「ニューヨークはどうせ民主党が勝つから、無理にしなくてもいいんじゃない?」と言う家族もいるけれど、何と我が家がある郡は、共和党派が多い地区。
前回もトランプが勝った数少ないニューヨーク州の中の郡だったから、州外にいるといっても外せないのだ。

特に今年は高校生たちが、”Vote them Out!”を合言葉に、銃規制に反対する議員を落選させようと必死になっている中間選挙。
棄権するわけにはいかない。

今頃このホワイトハウスの主は、共和党が強い地盤を回って、会場に支援者を集め、選挙演説に余念がない。
後ろでは真っ赤なシャツ着て、赤い帽子を被った人たちが奇声をあげている。
そんな様子をニュースで観ると、「OMG!(オーマイゴッド!)、何でこの男がいいの?」という言葉しか出てこない。

不在者投票は、投票日11月6日までの消印があれば有効だ。
大切だから、ワシントンの本局まで行って、重さを測ってもらってから出してきた。

11月6日、私がいたのは、この『BIGOT』大統領が喜ぶ結果が出るような国だったのかと分かったら、きっと暫く元気が失せてしまうだろう。

だから、GO VOTE!

それにしても、街頭演説もない、選挙カーもない、ウグイス嬢もいない。
この国の選挙の静かさには驚くばかり。
何処かの国とは大違いだ。
タウンホールミーティングに出かけたり、インターネットで調べたり、選挙民が自ら情報を取りに行くことが、当たり前になっている国だとつくづく思う。


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下院を民主党が主導権を握りました。
ニュースのコメンテーターたちは、津波のような激しさではなかったが、民意ははっきりと伝わったと言っています。

今回は、著名ミュージシャンの人たちが、とりわけこれまでずっと沈黙を通していたテイラー・スウィフトさんが、ちょうど今から1ヶ月前に、突然インスタグラムのポストの中で、政治的な意見を発したのでした。

これまで私は、政治的な意見を公にすることは気が進みませんでした。
でも、この2年間に、私の人生や、そして世界でも、いろいろなことがあったことから、今は考えが大きく変わりました。
私は、共和党の現職下院議員である、マーシャ・ブラックバーンを支持できません。
なぜなら彼女は、男女同一賃金法案や、DVやストーカーや性暴力から女性を守るための法案、そして同性婚に反対しているからです。
肌の色、ジェンダー、誰を愛するかといったことに関係なく、すべてのアメリカ人の尊厳のために戦ってくれない人には、投票することはできません。
私は今回の中間選挙で、民主党を支持します。


この発言後、たった1日で、有権者登録者数が、なんと6万5000人も増えたのだそうです。

テイラーさんは元々、カントリーミュージック業界に属していた歌手です。
この業界に属していたあるグループが、ブッシュ大統領の批判を行ったということで、業界から干されるという騒動が起きました。
そういうことからも、この業界に属している歌手たちは、政治的な主張、とりわけ共和党の批判を控える傾向があります。

ちなみに、テイラーさんが批判したマーシャ議員は、今日のテネシー州の上院選で当選しました。

テイラーさんは、今回の発言によって失うファンの数は、決して少なくはないだろうと言われています。
けれども彼女は、トランプ政権に対し、批判的な考えを明らかにしました。
その彼女の言葉に心を動かされた人もきっと、決して少なくはないだろうと思います。

アメリカでは、著名なミュージシャンが、堂々と政治の話をします。
「WE CAN END GUN VIOLENCE」と訴えたのはポール・マッカートニーさん
「アメリカ国民が、分別ある銃規制法案を支持する政治家に、投票することを願っています」とコメントしました。

銃規制といえば、先月末に、ペンシルベニア州ピッツバーグにあるユダヤ教礼拝所で、男が銃を乱射し、11人が射殺された事件がありました。
その事件の数時間後、インディアナ州での集会に出席し演説を行ったトランプ大統領は、その会場で、ファレル・ウィリアムスさんのヒット曲『ハッピー』を流したのだそうです。

「ユダヤ人は死ぬべきだ」などという狂った人種ヘイトを主張する男によって、11人もの尊い命が奪われた数時間後に、です。

事件を受けて、「礼拝所に武装した警備要員がいれば犯行を阻止できたはずだ」などと言い切る人なのだから、そういう神経の持ち主なんでしょうけれども…。

銃規制などするつもりは毛頭無い人間に、莫大な権力なんて与えてはいけない。
だから選挙というものを、いい加減な気持ちで考えていてはいけない。
候補者を一人一人、はっきり言って面倒くさいけど、どんな考えの人なのか、どんなことをしようとしているのかをちゃんと調べて、投票日には絶対に投票しに行く。
こういう姿勢が、ここ10年近くの間に、かなり定着してきたように思います。
ただ、この感想は、東海岸に住んでいるから持てるものなのかもしれませんが…。

この地域の小学生や中学生、そして高校生も、うちに来る生徒たちはそれぞれ、政治のことをよく話します。
きっと家庭の中に、政治の話がよく持ち出されているのだと思います。
「まだ投票できないのにね」と言うと、「投票できないからいっぱい話して、投票できる人に代わりにしてもらおうって、学校の先生が言ってた」と、いかにも残念そうに言う小学生。
「学校で、選挙や裁判ごっこクラスがあるよ」と言う中学生や高校生。
教育の中にも政治のパズルがしっかりはまっています。

さて、こちらの選挙は、上のshizuさんもおっしゃってたように、本当に静かです。
投票日は火曜日で、そのために休校になる学校や、休みになる会社もあります。
有権者はそれぞれ、最寄りの議会の傍聴に出かけたり、インターネットで調べたりして、自分で情報を取りに行くのは当たり前だと思っています。

連邦議会両院の多数党がどちらになるかによって、トランプ政権の今後の政権運営が、大きく左右される。
野党・民主党が下院で多数党となれば、トランプ政権が推進する政策や法案、予算措置の成立を、阻止できるようになる。
大統領の納税申告書など、トランプ政権が公表しない様々な資料の開示も、これまでより強力に要求できるようになる。


野党・民主党が、下院で多数党となりました!
なんと8年ぶりのことです。
そして今回、18歳から29歳の若者の3分の2以上が、民主党に投票したという結果が出ました。

上院での議員数は共和党が勝っていますが、今回の非改選議席数でいうと、共和党が圧倒的に多いので、共和党が依然として勝っているように見えますが、
上院改選議席の獲得数でいうと、民主党が24議席、共和党が9議席だったのですから、ただ過半数にいたることができなかったということです。

何より大きいことは、極右団体のティーパーティ運動のシンボルである、スコット・ウォーカー議員が落選したこと、
さらに、いまだに行われているゲリマンダー(特定の候補に有利になるように境界線を定めた結果、いびつな形になった選挙区)にも関わらず、民主党候補の議員たちが勝ち上がってきたことも、今回の選挙の特徴でした。

そして今回、これは全て民主党からですが、ネイティヴアメリカン、ムスリム、LGBT容認、最年少という、実に多様性に富んだ女性議員たちが誕生したことも素晴らしいと思います。

これからの政治、ますます目が離せません。

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