ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

のんびりしたようなしてないような

2010年11月26日 | ひとりごと
なんか不思議な日でした。

朝寝坊して一階に降りていっても、コーヒーのいい香りがせず、あ、今朝は旦那がおらへんのやった……とちょっとがっかり。
お茶がぎっしり入った棚を一通り調べて、なんか温かいお茶を入れようと思ったけれど、お目当てのチャイティーが見つからずまたまたがっかり。
なのでやけくそで、手当たり次第紅茶をつかみ、葉をひとつまみずつ茶こしに入れて、いったい何茶なのか見当もつかないお茶を作りました。
あかんなあ~……ひとりになった途端にこんなにトホホでは……。

のんびりとだらだらと過ごす。これをしたかったばっかりに、ペンシルバニアに旦那を置いて先に戻ってきたのに、なんだかつまらない朝なのでした。

夕方にひとりだけ生徒を教え、その後モントクレア州立大学の音楽家棟で行われる録音に参加するために、パートナーのブライアンの家に行きました。
チビだった生徒が運転する車の後ろをついて走り、大学構内の駐車場に停め、彼の案内で大学の建物に向かうのは、なかなかに面白い経験でした。
彼のチューバの先生が待つリハーサル室に入り、挨拶もそこそこにピアノをまずチェック。うわっ!シュタインウェイのアップライト!やべっ!

もしかしたらわたしかもしれません。これに限って運が極端に悪いのかもしれません。けれども、今までに一度として、シュタインウェイのアップライトピアノで、まともな物に出会ったことが無いのです。
それで……今夜のもやっぱり……かなり困ったチャンなのでした。
異常に固い鍵盤、中には底まで押し切れずに途中で止まってしまいそうな鍵盤があり、音の陰影どころか、強弱をつけることさえも難しく……これを二回目の合わせまでにどこをどうコントロールしたら、それなりにきれいな響きになるのか見つけないと……。
曲はとても微妙な、ピアニッシモの部分が多いので、内心とても困っていたのですが、大抵のソロ楽器奏者さん達は、ピアノという楽器をよく理解していないので、そんな細かいことはおかまいなし。
いつもこういう場面でふと思います。持ち運びできる楽器を専門にしたら良かった……。
それなら、いつも演奏し慣れているし、楽器の状態もよくわかっているので、我々のように、与えられた楽器の善し悪しに左右されることも、必至で対策を考えることも不必要です。
でもまあ、それでもやっぱり最終的には、ピアノをしたかったから選んだという事実が、大きな山のようにドカンと心の中にそびえたっているので、ウダウダ文句言う暇があったらもっともっとうまくなれ!ということですね、はい。
録音はたったの3テイクで終わりました。
ブライアンもとてもよく頑張りました。そして、彼の先生から「今回ブライアンは上出来だったけれど、一番良かったのは、あなたのような素晴らしいピアニストを見つけたことでしたね」と言ってもらい、わたしもニコニコ。
昨日、ペンシルバニアからマンハッタンのアパートに行き、今夜公演される『ドン・カルロ』を観に行くという、旦那父からの急なオペラ鑑賞のお誘いを、この録音があったために断らなくてはならなかったので、このお褒めの言葉は大きな慰めになりました。

家に戻り、旦那と一緒に昨日の残り物をレンジで温めて食べていると、エヴァンから電話がかかってきました。
ハイロのことで久しぶりに再会したエヴァン。彼の母親キャサリーンとも、わたしがfacebookをとうとうのとうとう始めたのがきっかけでちょくちょく話すようになっていて、せっかくだから今週末に一度、軽くお茶とかしながらしゃべろうよ!と約束していたのでした。
エヴァンは明日の昼からホテルの仕事に戻らなければならないので、じゃあ今夜、今すぐにおいでよ!ということになりました。

それでついさっきまで、おしゃべり炸裂!あ~楽しかった!
エヴァンはあと半年もしたら、ロサンジェルスに引っ越して、役者を目指して頑張るのだそうな。
彼の父方のおじいさんが向こうで住んでいて、そのおじいさんがまた、波瀾万丈の人生を歩んだとてもユニークな男性で、彼を頼って行くと決めたエヴァンの瞳はとてもキラキラ輝いていて、わたしはそれを見てすごく嬉しかったのでした。

エヴァンも拓人も恭平も、そしてカミーロも、ハイロの分も楽しんで、時には悩んで、健康に気をつけて、ずっと長生きするんだよ。