G20が上海で開かれた。
会議出席前に、吉田茂の孫の麻生太郎財務相は、「G20各国は株安の現実を直視すべきだ」と述べていた。
そして、そののちに「中国の生産設備の過剰が世界的な重しになっている」というようなニュアンスのことを述べた。
だが、その主張は、評論家的であり、どこか人ごとのように私には思えた。
中国だけでなく日本や米国、欧州も当時者なのに、他の国よりも強く中国に風を当てるのは、あまりにも安易すぎて私は納得できないものを感じた。
世界同時株安は、ただ一つの国に責任をなすりつけて解決するものではないだろう。
インターネットに数多い中華嫌い、麻生太郎氏シンパには痛快な出来事かもしれないが、G20は歌舞伎ではないのだ。
国際会議で、見得だけを切っても意味がない。
私は常々、中国というのは大国としての自覚がない国だと思っている。
おのれだけしか見ていない。
米国は、「世界の警察官」という自負があるから、良かれ悪しかれ、お節介なほど他国の動向に気を配っている。
他の先進国も国家間のバランスに気を配っている。
だが、中国は、「俺たちの近辺の領土」にしか興味がないように思われる。
その経済は膨張したが、彼らはそれを「世界経済のために」などとは考えていないようにも思える。
つまり、稚拙である。
その稚拙な経済は、いくら膨張したとしても彼らの領土の上で風船が膨らんでいるようなものだから、素人の私としては、中国の人民元が世界経済を揺るがすほどの影響を及ぼすとは思えないのだ。
さらに、膨らんだ風船の一部が「爆買い」という形で、日本列島にかかっているが、今のところ、これは世界同時株安や中国の構造改革とは関係がない。
専門家の意見では、世界同時株安の原因を原油安と中国経済の減速に絡めるのが主流である。
だが、その2つが本当に影響しているかについて私は疑心暗鬼だ。
原油安には、いいこともあったはずだ。
高止まりしていた原油価格が下がったことで、流通関係のコストは下がって、世界の物流が円滑にいったことは世界経済にとってはプラスだったと思う。
物流がなければ経済は成り立たない。
原産国にとっては大損だろうが、利用者にとってはマイナスばかりではなかったと思う。
中国経済の減速に関しては、おそらく中国の一部の人以外には、本当のことはわからないのではないか、と私は疑っている。
人民元が世界的に力を持ってきたとはいっても、まだドルや円、ユーロほどの信頼性はない。
つまり、「虚像の元」に近い。
それが読めない限り、元という通貨に絡む世界経済への影響はすべて推測になる。
全くないとは言い切れないだろうが、前段でも述べたように、元が主流でもない世界経済が、元によって冷えたり怯えたりするほどの影響力があるとは、素人の私には考え難い。
それは、GDP世界第2位の数字に過剰反応しているだけのように思える。
言い方を変えれば、「株安の原因は中国経済の減速だ」と言っておけば誰もが納得するだろうという、安易すぎる理論を組み立てているに過ぎない。
中国の発表する景気動向には疑問も付きまとうが、中国がプラス成長を続けているのは間違いないだろう。
10パーセントの成長率が6や7パーセントに下がったとしても、それを明確な減速と言っていいのか、私は疑問を持っている。
だから、素人の私には、世界同時株安の原因に関しては納得しかねる。
ただ、日本の株価低迷の原因はこうなのだろうな、という憶測はできる。
日本では、量的緩和をしてもインフレ率が上がらないで、株価だけが上昇した。
今の中央銀行の総裁が、就任時に「インフレ率を2パーセント上げることを目標とする、そうしないと賃金が上がらない」と言っていた記憶が私にはある。
しかし、量的緩和と円安で株価は上がったが、インフレ率は上がらず、大企業以外の賃金もさほど上がらなかった。
それはなぜかというと、日銀が量的緩和で市中銀行から国債を買い上げ、銀行の資金量が増えたからといって、銀行が無策だったら金は市中に出回らないからだ。
銀行が住宅ローンの金利を下げたとしても、それを金融政策とは言わない。
それは住宅政策だ。
土建業とマイホーム取得層に動きがあったとしても、そこで潤った金が隅々まで行き渡るわけではない。
一角にだけ水が流れて、それが川になっただけだ。
その川が太くなって支流を形成するほど、その流れは強くない。
株が上がって、企業の利益が増えたとしても、それを内部留保に回してしまったら、景気の川はせき止められたも同然だ。
さらに、金が川に流れる前に銀行が金をせき止めてしまったら、インフレになるわけがない。
追うようにしてマイナス金利にしたところで、その結果また増えた資金を有効に市中に浸透させる策を銀行側が持っていないのだから、また空振りするのは必然のことだ。
総裁がマイナス金利を発表したとき、投機筋が銀行の能力を信じていないから、銀行株が下がるという笑えない「笑い話」もあった。
はたして、株価だけを上げて現実経済を低空飛行させる中央銀行の総裁は、有能と言えるのか。
マイナス金利を決定するにあたって、寸前まで悩んだと言っていたが、年初からジェットコースターのように下がった株価に直面したら、インフレ率のことなど考えられなくなったのではないか、と私は邪推している。
つまり、彼に残された策は、マイナス金利しかなかった。
ただ、米国のように、金利を下げてから量的緩和をしたわけではなく、日銀総裁は、量的緩和をして株価を上げたのち、株価が急速に下がったのを受けて慌ててマイナス金利にした。
つまり、アメリカとは順序が逆だ。
そこが、小さいながらもプラス成長を続ける米国とプラスからマイナスに落ち込んだ日本との違いではないのか。
結論を言わせてもらうと、日本の株価下落の原因は、切らなくてもいいジョーカーを切ってしまった中央銀行の責任者とそれを看過した国の責任者のせいではないか、と私は思っている。
ついでに言うと、日本の中央銀行は、失態を犯しても国民や政府に対して責任を取らないという歴史を繰り返している。
中央銀行の独立性を考えたら、ジョーカーを切るのは総裁の権限であることは間違いないが、ジョーカーを切って失敗したら責任を取らなければ、権利義務のバランスが取れない。
その当然のことができないなら、それは組織として完成されているとは言えない。
もしも、完成されていない組織が経済の舵をとって国の景気が良くなったら、それは奇跡と言っていいだろう。
以上、素人のチョット真面目な経済論でした。
会議出席前に、吉田茂の孫の麻生太郎財務相は、「G20各国は株安の現実を直視すべきだ」と述べていた。
そして、そののちに「中国の生産設備の過剰が世界的な重しになっている」というようなニュアンスのことを述べた。
だが、その主張は、評論家的であり、どこか人ごとのように私には思えた。
中国だけでなく日本や米国、欧州も当時者なのに、他の国よりも強く中国に風を当てるのは、あまりにも安易すぎて私は納得できないものを感じた。
世界同時株安は、ただ一つの国に責任をなすりつけて解決するものではないだろう。
インターネットに数多い中華嫌い、麻生太郎氏シンパには痛快な出来事かもしれないが、G20は歌舞伎ではないのだ。
国際会議で、見得だけを切っても意味がない。
私は常々、中国というのは大国としての自覚がない国だと思っている。
おのれだけしか見ていない。
米国は、「世界の警察官」という自負があるから、良かれ悪しかれ、お節介なほど他国の動向に気を配っている。
他の先進国も国家間のバランスに気を配っている。
だが、中国は、「俺たちの近辺の領土」にしか興味がないように思われる。
その経済は膨張したが、彼らはそれを「世界経済のために」などとは考えていないようにも思える。
つまり、稚拙である。
その稚拙な経済は、いくら膨張したとしても彼らの領土の上で風船が膨らんでいるようなものだから、素人の私としては、中国の人民元が世界経済を揺るがすほどの影響を及ぼすとは思えないのだ。
さらに、膨らんだ風船の一部が「爆買い」という形で、日本列島にかかっているが、今のところ、これは世界同時株安や中国の構造改革とは関係がない。
専門家の意見では、世界同時株安の原因を原油安と中国経済の減速に絡めるのが主流である。
だが、その2つが本当に影響しているかについて私は疑心暗鬼だ。
原油安には、いいこともあったはずだ。
高止まりしていた原油価格が下がったことで、流通関係のコストは下がって、世界の物流が円滑にいったことは世界経済にとってはプラスだったと思う。
物流がなければ経済は成り立たない。
原産国にとっては大損だろうが、利用者にとってはマイナスばかりではなかったと思う。
中国経済の減速に関しては、おそらく中国の一部の人以外には、本当のことはわからないのではないか、と私は疑っている。
人民元が世界的に力を持ってきたとはいっても、まだドルや円、ユーロほどの信頼性はない。
つまり、「虚像の元」に近い。
それが読めない限り、元という通貨に絡む世界経済への影響はすべて推測になる。
全くないとは言い切れないだろうが、前段でも述べたように、元が主流でもない世界経済が、元によって冷えたり怯えたりするほどの影響力があるとは、素人の私には考え難い。
それは、GDP世界第2位の数字に過剰反応しているだけのように思える。
言い方を変えれば、「株安の原因は中国経済の減速だ」と言っておけば誰もが納得するだろうという、安易すぎる理論を組み立てているに過ぎない。
中国の発表する景気動向には疑問も付きまとうが、中国がプラス成長を続けているのは間違いないだろう。
10パーセントの成長率が6や7パーセントに下がったとしても、それを明確な減速と言っていいのか、私は疑問を持っている。
だから、素人の私には、世界同時株安の原因に関しては納得しかねる。
ただ、日本の株価低迷の原因はこうなのだろうな、という憶測はできる。
日本では、量的緩和をしてもインフレ率が上がらないで、株価だけが上昇した。
今の中央銀行の総裁が、就任時に「インフレ率を2パーセント上げることを目標とする、そうしないと賃金が上がらない」と言っていた記憶が私にはある。
しかし、量的緩和と円安で株価は上がったが、インフレ率は上がらず、大企業以外の賃金もさほど上がらなかった。
それはなぜかというと、日銀が量的緩和で市中銀行から国債を買い上げ、銀行の資金量が増えたからといって、銀行が無策だったら金は市中に出回らないからだ。
銀行が住宅ローンの金利を下げたとしても、それを金融政策とは言わない。
それは住宅政策だ。
土建業とマイホーム取得層に動きがあったとしても、そこで潤った金が隅々まで行き渡るわけではない。
一角にだけ水が流れて、それが川になっただけだ。
その川が太くなって支流を形成するほど、その流れは強くない。
株が上がって、企業の利益が増えたとしても、それを内部留保に回してしまったら、景気の川はせき止められたも同然だ。
さらに、金が川に流れる前に銀行が金をせき止めてしまったら、インフレになるわけがない。
追うようにしてマイナス金利にしたところで、その結果また増えた資金を有効に市中に浸透させる策を銀行側が持っていないのだから、また空振りするのは必然のことだ。
総裁がマイナス金利を発表したとき、投機筋が銀行の能力を信じていないから、銀行株が下がるという笑えない「笑い話」もあった。
はたして、株価だけを上げて現実経済を低空飛行させる中央銀行の総裁は、有能と言えるのか。
マイナス金利を決定するにあたって、寸前まで悩んだと言っていたが、年初からジェットコースターのように下がった株価に直面したら、インフレ率のことなど考えられなくなったのではないか、と私は邪推している。
つまり、彼に残された策は、マイナス金利しかなかった。
ただ、米国のように、金利を下げてから量的緩和をしたわけではなく、日銀総裁は、量的緩和をして株価を上げたのち、株価が急速に下がったのを受けて慌ててマイナス金利にした。
つまり、アメリカとは順序が逆だ。
そこが、小さいながらもプラス成長を続ける米国とプラスからマイナスに落ち込んだ日本との違いではないのか。
結論を言わせてもらうと、日本の株価下落の原因は、切らなくてもいいジョーカーを切ってしまった中央銀行の責任者とそれを看過した国の責任者のせいではないか、と私は思っている。
ついでに言うと、日本の中央銀行は、失態を犯しても国民や政府に対して責任を取らないという歴史を繰り返している。
中央銀行の独立性を考えたら、ジョーカーを切るのは総裁の権限であることは間違いないが、ジョーカーを切って失敗したら責任を取らなければ、権利義務のバランスが取れない。
その当然のことができないなら、それは組織として完成されているとは言えない。
もしも、完成されていない組織が経済の舵をとって国の景気が良くなったら、それは奇跡と言っていいだろう。
以上、素人のチョット真面目な経済論でした。
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