リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

歌っていない歌手

2011-10-23 09:16:53 | オヤジの日記
音楽番組やライブ映像を見ていると、口は動いているのだが、実際に歌っていないという場合がある。

観ていて恥ずかしくなる。

むかし日本の音楽番組で、ENYAやマライヤ・キャリー、ブリトニー・スピアーズが、堂々と「歌う演技」をしていたのを観た。
音と口が、微妙にずれているから、とても違和感を覚えた。

日本の歌手の中にも、ダンスをしながら歌う人や大人数のグループ、アイドルグループなどは、「ん? 歌ってない?」と感じさせる人たちがいる。


それを好意的にとらえる人は、下手な生歌を聴かされるより、歌っているフリの方がましだ、と考える。

もっと好意的な人は、顔が見えるだけで有り難い、と考える。


確かに、ファンは、それでいいのかもしれない。

だが、歌手というのは、歌を歌うのが仕事のはずである。
歌っているフリをするのが、プロの歌手だというのなら、誰でもプロの歌手になることができる。

それでは、プロのハードルが、低すぎないだろうか。

たとえば、ライブというのは、生で歌い、生で演奏し、生身の肉体が動くから、ライブなのである。

お顔を拝見し、お上手なダンスを観るだけのステージは、ただのパフォーマンスの場でしかない。


私の偏見かもしれないが、外国から日本にやってくるミュージシャンが、プロモーションで日本のテレビ番組に出ると、高い確率で「歌っていない」場合が多い。

日本の歌手より遥かに高額の報酬を受け取っている人が、そのお声を聴かせない、という現実は何を意味するのだろう。

もともと来日の契約条項に、その種の約束があるからか。
あるいは、外国のプロ歌手は、テレビでは口を動かすだけでいいという暗黙の了解があるとか。
または、「CDと違って下手」と言われるのを恐れているのか。
まさか、日本の視聴者を馬鹿にしているなんてことは・・・・・。


たとえば、オペラ歌手の中には、俺様はタバコを吸っているが、関係なく歌うことができるぞと豪語する人もいるが、プロ意識に徹したほとんどのオペラ歌手は、タバコを吸わないようだ。酒を飲まないという人も多い。

聞くところによると、B'zの稲葉浩志は、タバコを吸わず、コーヒーなどの刺激物もとらず、夏は冷房も避けて、加湿器、吸入器などで、喉を保護しているのだという。
中には、それをストイックすぎる、と揶揄する人がいるようだが、高額の報酬をもらうプロの「自己管理」として、それは当たり前のことのように、私には思える。


ライブや音楽番組の収録に合わせて、体調を整える。

それは、オリンピック出場選手が、オリンピックに合わせて調子を整えるのに似ている。
ボクシングの世界タイトルマッチで、チャンピオンが調子をピークに合わせることと同じだとも言える。
企業のコンペで、プレゼンテーションに備えて、すべての準備をして万全の体制で臨むのと一緒である。

マラソン選手が、五輪本番で走るフリはできない。
世界タイトルマッチで、お互いがシャドー・ボクシングをするだけなんて、ありえない。
資料も説明もないプレゼンテーションなんて、ない。

毎回準備しないで登板し、毎回KOされる投手は、首脳陣からもファンからも信頼されない。
普通なら、プロとして失格、の烙印を押される。

ただ、プロ歌手を、それらと同列に厳密に規定しなくてもいいだろう、という考え方は、あるかもしれない。
歌手というのは、競うものではなく、楽しませる職業だ。
受け手側が、それを観て楽しくなれば、その人はプロとしての素質があるのではないか、と思う人もいるだろう。

その考え方を否定はしないが、私は、それを認めたくはない。


テレビの音楽番組に出て、本当に「歌っていない歌手」は、ライブでも「歌っていない」のではないか、と私などは思ってしまう。

高額のチケット代を支払って、時間のやり繰りをして、遠いライブ会場まで足を運び、開演前に胸をときめかせる。

しかし、幕が開くと、その歌手は「歌っていない」のである。

その姿を見たら、私は楽しめない。


裏切られたような気になる。




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