まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

Dead Lock条項

2016-07-03 11:54:45 | 商事法務
○ 合弁相手との間で意見の対立があり、両者の話し合いではなかなか解決しない場合がありますね。50%-50%合弁では取締役の任数も同数が多いでしょうから、取締役会でもDead Lockに遭遇します。また、持株比率が拒否権保有以上の比率であり、仮に取締役の人数もその比率を勘案した取締役会であっても、全会一致事項(Reserved Matter)として合弁契約に記載し定款にも記載してある場合にも、取締役会レベルでDead Lockに遭遇します。

取締役会レベルでなく株主総会レベルでは、拒否権を持つ株主が、会社の重要事項、即ち合併とか解散の決議で拒否権を発動すればDead Lockですね。
その場合は、事前・事後に株主の責任者同士が事前によく話し合うことが重要ですが、欧米の金融投資家などは、事業への拘りよりもROIとかIRRの数字で、リターンがどれだ けかを計算して、さっさと売却して逃げる会社もありますね。
Fundなどは、裏にがめつい機関投資家等の出資者がいますし、米国などCalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金)等は個人の年金基金ですから究極的には個人ですね。

○ では、Dead Lockになったときに、当然まず指名された取締役が指名元である株主に連絡します。その際に株主間でどうするか議論・妥協点を見つける方法を探るのが普通でしょうけで、それでも解決しない場合は、どうすればよいかを決めるのが、合弁契約等で定めるDead Lock条項ですね。

○ ということで、今回は、どのようなDead Lock条項があるか見てみましょう。私がdraftingする合弁契約には、DrasticなDead Lock条項は基本的には入れません。しかし、新米弁護士に頼むと、嬉しがって入れる人がいます。自分は、こんな条項知っているんだよと言いたげですね。当事者が長年苦労して築き上げた合弁で、こんな別れ方がありますよと得意になって、頼みもしない条項を入れてきます(Dead Lock条項以外にも、ちょっと指摘したら、余計なことまで記載してくる弁護士が多いです。特に契約書作成などは経験ある弁護士は行いません。新米弁護士の勉強ですから。それでも勿論、しっかりお金を取りますから、注意が必要です。)

○ Dead Lock条項(一応2社合弁が前提)

1) Russian roulette:合弁相手に、お前の持株売るか、わしの持株買うかどっちかだと通知(売買価格のoffer込)を出して迫るやり方ですね。通知を受けた相手方が、それじゃ通知書記載に持株全部をキャッシュで売却するとか買収するとか決めて通知して、合弁を解消する方法です。
金融投資家の好みそうなやり方ですね。合弁会社ではそれぞれの強みを持った人を派遣しています。製造・品質管理責任者とかマーケティング責任者とか、合弁解消したら出向者は株主に戻りますね。経過的な処置も必要ですね。

2) Texas shoot-out:Russian rouletteは、一方当事者が相手方に迫るやり方ですが、こちらの方法は、各当事者が第三者に、相手方保有株式の全ての現金買取offer を第三者にSealed Bidで提出します。そのsealed bids は同時にオープンされて、高い価格を提示した方が、その価格で他方当事者の持株全部を買い取るわけですね。勿論相手方は売却義務があります。

3) Mexican shoot-out (あるいは'Dutch auctionともいう):.上記Texas shoot-outの変形ですね。Texas shoot-outは買取価格のofferですが、こちらは売却価格のofferで相手方が買うわけですね。売却価格の高い方が勝ちで、高い方の売却価格を提示した方が、安い方の売却価格を提示した(負けた)相手方保有の株式を買取り負けた方は売却義務が生じます。

4) その他のアプローチ:

① Arbitrationなどに付して第三者に決めてもらう。
② Mediationを記載する場合もあります。

まあ、基本は当事者の話し合いでしょうね。別に相手方の持株全部を売買して合弁解消するだけが解決方法ではないですね。持株比率を下げて20%未満にして、ビジネスは継続するというのもありですね。
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