まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

「重要な社外取締役」の嘘―検証が必要

2009-03-08 17:15:52 | 企業一般

     2009.1.26の日経新聞Monday Nikkei法務インサイドに以下のような記事がありました。「社外取締役の議論も白熱してきた。買収防衛に限らず、企業統治の要は取締役の忠実義務。-その対極が保身など取締役の自己利益の追求だ。一方、独立した社外取締役は生え抜き経営者に比べ保身動機が少ない。」「19日午前の金融庁「スタディグループ」の会議でも、上場企業への社外取締役の義務付け、独立性強化、取締役会議長を社外取締役とすることの是非を問う論点メモが配布された。」等と言っています。

米国の社外取締役中心の取締役会の猿真似議論ですね。社外取締役が果たしている機能・現実の検証をすることなく、社外・独立取締役を入れる・増やせば企業統治が改善するという議論は、何を根拠に言っているのでしょうか?

-          日本でもアメリカの真似をして、内部統制制度が実施されています。SOX法制定の原因の一つを作った米国のエンロンの取締役会は、世間に名の売れた大物の社外取締役を中心に構成され、全米でも「ベスト・ボード」と高く評価されていました。事件後エンロンの社外取締役は、議会で証言して、「情報が与えられず経営陣と外部監査人に欺かれた」というような事を言っています。社外取締役が重要な局面で機能を発揮しましたかということです。

-          エンロン事件等一連の事件を契機にしてSOX法が制定されたと言われています。そうかもしれません。しかし内部統制自体の議論は80年代からあり90年代初頭のCOSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会=the Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)の内部統制フレームワークがありました。この事件等を契機として制定された訳ですね。

-          では、エンロン事件等一連の事件で、社外取締役や委員会の機能等が米国の企業でどれだけ役に立っているのか?その辺の検証がされましたか?またそれを踏まえて日本でどれだけの議論がなされましたか?私は、殆ど聞いたことがありません。なぜ社外取締役が重要なのですか?何の実証もされずに、よく重要等と勝手に決めつけますね。また学者先生の中にも、社外取締役を重視している人もいます。何を根拠に言っているのですか?

-          社外取締役など役に立たないとしている、新日鐵やトヨタ自動車の主張に耳を傾けましたか?ということです。

     月に1度の取締役会に、ろくに事前配布書類も読まないで出席する社外取締役がどうして役に立つのでしょう?社外取締役にその会社の事業等分かりません。オフィシャルな取締役会に違法な事など上程されません。西松建設のようにまずい事は裏で処理します。儀式の取締役会です。形骸化しています。会社の水面下で何が起こっているのか等社外取締役にわかる筈ないでしょ。議案の内容もその会社の事業の詳細・背景を理解していない人に例外を除き十分解かる訳ないですね。

     事業報告の内容として、会社法施行規則124条(社外役員を設けた株式会社の特則)4号では、社外役員の活動状況の記載を求めています。

 取締役会への出席の状況

 取締役会における発言の状況

 当該社外役員の意見により当該株式会社の事業の方針又は事業その他の事項に係る決定が変更されたときは、その内容(重要でないものを除く。)

 当該事業年度中に当該株式会社において法令又は定款に違反する事実その他不当な業務の執行(当該社外役員が社外監査役である場合にあっては、不正な業務の執行)が行われた事実(重要でないものを除く。)があるときは、各社外役員が当該事実の発生の予防のために行った行為及び当該事実の発生後の対応として行った行為の概要

     出席状況の記載では、出席率の悪い役員を日経新聞等が報じています。出席しても、事前配布資料を十分検討し、きちんと質問等している社外役員がどれだけいますか?「発言の状況」では、「有益な発言を行った」とか記載されています。「有益な発言」というのは、せいぜい中身の無い世間話、自分の会社や身の回りで過去に起こった事などをコメントした程度です。要するに、ろくな発言をしていないということです。

○ 日経新聞は、「重要な社外取締役」等と言う前に、例えば日経225銘柄でもいいですが、それらの会社の事業報告書を全部チェックして、施行規則124条4号の内容を分類整理して、上記イロハニの内容を調べて欲しいと思います。その調査結果に基づき、現在の状況、あるべき方向性、社外取締役の資格と能力等の議論をきちんとして欲しいと思います。

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