まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

新設合併はよくわからない

2007-02-14 00:24:05 | 商事法務

会社法には新設合併の規定がありますが、私は新設合併の例を知りません。

【新設合併のされない理由】

     ある基本書に、①新設合併規定特に設立委員(H9改正前563)の権限が不明確。②免許事業の場合、新設会社は改めて免許申請が必要。③当事会社全部が解散すれば、どの会社の株券もすべて回収して新株券と交換せねばならず、上場会社だとその間株式売買が停止。するためと書いてありました。(最近は上記①と③の後半は違うと思いますが)

→まあ、これらも理由でしょうけど、やはり主な理由は、手間と労力(=コストアップ)が、新設合併の方がはるかに増えるということでしょう。例えば企業再編税制実施前は、合併会社は、消滅会社毎に、最後事業年度の税務申告と清算所得の合併確定申告書を出す必要がありました。新設合併では消滅会社が2社(2社合併の場合、以下同じ)ですから、吸収合併の2倍手間がかかります。会社は効率を追求します。手間の少ない・コストがかからない方法を選ぶのは当然です。

【合併の効力発生日】

     商法では、合併の効力は、当事者の定めた合併期日ではなく、登記によって発生しました。従い通常は登記申請日ですね。会社法では、吸収合併では、合併契約で定めた日即ち合併期日が効力発生日となりましたが、新設合併では、新設会社成立の日即ち登記の申請日ですね。例えば、41日が合併期日と決めても登記の日が43日だと、新設会社成立の日は3日ですよね。1日に登記をすれば良いかもしれませんが、4月1日・2日が土日なら登記が出来ませんね12月決算会社が1月1日を合併期日にしても、その日に登記は出来ません。お休みですね。

・会社法754条には新設合併設立株式会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継すると規定されています。これは成立の日が合併期日になると言う意味?でしょうか? 期日は、当事者が決めた41日なり11日でないと困りますよね。中間決算・年度決算の翌日でないと、月の途中で会社の計算を締め切り、翌日からスタートするのは大変ですしね。

【合併期日から登記前までの間の取引等】
  4月1日を合併期日とした場合、 41&2日は、新設会社は存在しませんね。この期間の取引は新設会社の名前でするのでしょうか?しかし、契約を行って、相手から登記簿謄本(証明書)出せと言われても、その日現在の新設会社も、その代表取締役も存在しませんね。消滅会社に帰属して、新設会社が成立した日に治癒されると考えるのでしょうか?よくわかりません。

41日から計算がスタートします。1日の開始BSを作成し、その日から損益が発生します。でも会社が出来ていません。設立中の会社でしょうけど、どのように考えれば良いのでしょうか。会社が存在しないのに、会社の計算を開始するのでしょうか。会社は41日に実質的に合併しているのだからということでね。あるいは3月末日を決算期として、再度4月2日を決算期として決算するのでしょうか?

追加:上記についてはその後国税庁に照会がなされ、回答が出ています。↓

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/10.htm

【実務的な問題】
・新設会社ですから税務署から始まって種々の届出が必要です。登記簿謄本を出さないと、税務署等一連の届出も、銀行の取引口座も開設出来ません。新設会社の銀行取引口座が暫くありません。登記完了も、登記申請から早くて10?(合併の場合は、消滅会社の管轄法務局とのやりとりがあるので、通常より日数がかかる)なり、混雑時は3週間以上ぐらいかかりますかね。

・その他労基署・社会保険・労働保険も、新設会社では、一からやり直して、しかも一挙に膨大な処理が必要でしょうね。

     厚生年金基金は、新設会社から、厚生労働大臣に設立認可申請を出さないといけないでしょうね。厚生労働省はゆっくり!?ですから、まあ3―4ヶ月はかかるでしょう。

     不動産登記、船舶登記、航空機登録、工場財団、企業担保権、特許権登録、商標登録等等の変更ですが、新設合併の場合は2倍かかります。(合併と同時に商号変更した場合も、吸収合併より手間が増えますが)

     許認可が承継できないケースもあり、取り直しです。業法上の許可がないと業務が停止します。取得までにまた時間がかかります。

【米国模範事業会社法の合併規定】

米国の模範事業会社法(Model Business Corporation Act)を見てみました。

Chapter 11Mergers and Share Exchangesの規定があります。11.02 Merger(c)には、合併計画書には、合併後存続する州内会社、州外会社又はその他の適格法人の名称を含むものとすると書いています。(The plan of merger must include :(1) ---and the name of the domestic or foreign business corporation or eligible entity that will be the survivor of the merger;)

11.01&02あたりを見ると、吸収合併の規定しかありません。どうも新設合併の規定が見あたりません。米国では、新設合併は無いのでしょうね。

コメント
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