1010 Radio

ラジオから色んな情報が発信されるように、車いすの視点から情報や思いを発信。

先例のない挑発

2012-09-20 | ラジオ
もしもピョンヤンが軍事演習を行い、そのなかで北朝鮮軍による韓国占領に関する演習が行われると発表された場合には、世界に一大センセーションが巻き起こるだろう。
おそらく国連安保理の紛糾は避けられないだろうし、侵略を説得する怒号にも似た依願が寄せられることだろう。
翻って韓国の新聞ドナイリボに最近行われた、韓米共同軍事演習の枠内で、北朝鮮の占領を想定した訓練が行われたとの記事が載ったにも関わらず、ほとんど耳目をひくことはなかった。

朝鮮半島情勢を見極める際のダブルスタンダードは全く露骨だと、ロシア科学アカデミー極東研究所のアスモロフ研究員は考えている。
「北朝鮮が人工衛星を打ち上げると、あたかもミサイルが発射されたかのように騒ぎが持ち上がり、紙面に標的はソウル、あるいは東京といった大きな活字が並ぶ。しかし韓国が、北朝鮮占領という具体的目的に基づく、具体的な軍事演習をしても、世界は何の反応も示さないのだ」
研究員は、このようにコメントしている。

韓国とアメリカの共同軍事演習が行われたのは8月のことだったが、演習において想定されたシナリオ、韓国軍による北朝鮮占領に付いて明らかになったのは最近のことだ。そのシナリオとは韓国軍による北朝鮮領制圧と、それに続く治安維持というものだった。
このような課題をもった軍事演習は初めてのものだとコンスタンチン・アスモロフ研究員は指摘し、さらに次のように続けている。
「これまで演習では、北朝鮮から攻撃が加えられた場合の行動が訓練されていた。韓国はこれら軍事演習を、外国からの自己防衛のためのものだと正当化することが出来た。翻って今度の演習は、本質においてほとんど挑発だ。韓国とアメリカは北朝鮮の神経を逆なでしただけではない。本質においてこの演習は、アジア太平洋地域全体の利益を損ねかねない、侵略的傾向のデモンストレーションだったのだ」
研究員は、このようにコメントしている。

韓国のイ・ミョンバク大統領は、南北両朝鮮の統一を南による北の吸収という形でしか考えていない。北朝鮮にとって、これは宣戦布告と同義だ。
韓国が南北両朝鮮統一基金に増資すると決定した直後、北朝鮮の金正恩第一書記が軍備の増強を指示したことは偶然ではない。金正恩第一書記はまた、韓国・アメリカサイドから挑発行為があった場合、応分の報復攻撃を行う計画へも署名した。

米韓共同軍事演習は、アメリカおよび韓国が地域の緊張緩和に関心を持っていないということを示した。
この戦争ゲームは明らかに、朝鮮半島における軍事的な衝突の確率を高めた。あらゆることから判断して、対抗の意味で平壌の軍事ドクトリンは修正を余儀なくされ、北朝鮮プロパガンダは恐らく、南に陣取る民族の敵に対する新たなキャンペーンを喧伝することだろう。
北京も同様に、ソウルとワシントンが公然と隣国を飲み込もうとしているプランに沿った演習を行っていることを、黙って見ていることは出来ない。
朝鮮半島の北部には、伝統的に中国の影響圏が残っている。北京は国益を損ねないために全てのことをするだろう。最悪の場合には、従順な北朝鮮に代わって米軍基地もろとも、中国自身が半島を自国国境のうちに収めてしまうかもしれない。

9月12日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。