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天皇陛下 国民統合の象徴から国家元首へ

2013-03-21 | ラジオ
ジャパン・タイムズ紙が伝えたところによると、与党である自由民主党は議会に対して憲法改正を提案し、天皇が国家元首であると明記することに言及した。
これはロシアの専門家らの間で大きな関心を呼んでいる。極東研究所け日本研究センターのキスタノフ所長は、自由民主党の提案について、現実的な意味を持つものではないと指摘している。
「(放送局側のトラブルで音声が流れず)それに1945年以来、天皇が実際上の国政に参加するという伝統と経験が失われてしまったため、それをどのように戻すのかは分からない」
キスタノフ氏は、このようにコメントしている。

キスタノフ氏は、自民党の提案が国民の一致団結を目指す、もしくは現実の難しい問題から注意をそらすといった、目的を持ったものである可能性も排除できないとしている。現在日本は、諸隣国との領土問題のほか、経済問題、原発問題など、困難な問題に直面している。

モスクワ国立国際関係大学のストレリツォフ東洋学講座長は、自民党がこの改憲案を通すことは難しいだろうと指摘している。
「改憲のためには衆参両院で3分の2の承認が必要であり、国民投票でも承認されなくてはならない。しかし自民党が3分の2の議席を持つのは衆議院だけであり、それも公明党の支持を得た上でのものだ。公明党は改憲案に非常に慎重だ。ですから自民党が自らの提案への支持を得ることはないのだ。
提案の本質について言えば、天皇の新しい役割についてではなく、天皇の地位の変更についてのものだ。現行憲法においてすでに天皇は、国家元首に類する権限を多く持っている。例えば首相を任命することなどだ」
このようにコメントしている。

またストレリツォフ氏は、自民党の改憲案が承認されたとしても、天皇に不可侵の権限があった戦前のシステムが復活することはないとしている。
おそらく戦後という時代の終焉を打ち出そうという象徴的ジェスチャーであり、日本を完全な独立国として位置付けるためのものだろう。安倍首相がアメリカの占領解放60周年を祝う行事を実施するのも、同様の文脈で解釈しなくてはならない。
安倍首相にとって多くの問題に直面する条件下で、自らのポジションを強化するためには必要なのだ。

ストレリツォフ氏は、円安誘導による輸出促進を目指すアベノミクスが成功することはないと見ている。外交においても、中国および韓国との問題のほかにも、アメリカとの関係も容易ではない。日本政府はアメリカと中国との間で行われている安全保障対話を疑いの目で見ている。日本を素通りしてアメリカが判断を下すのではないかということだ。

しかし天皇の地位変更を含めた改憲は、革命的な意味を持つ可能性もある、そのようにストレリツォフ氏は指摘している。もし一連の改憲が行われるとすれば、第九条の平和条文削除をめぐる議論や、一院制への移行、首相公選制といった、ほかの変化についての議論への道が開かれることになるかもしれないからだ。

一部、放送局側のトラブルにより音声が流れず

改憲は必要か (岩波新書)
クリエーター情報なし
岩波書店

3月16日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル


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