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金正恩、自らの側近をクーデターに駆り立てかねない

2013-12-22 | ラジオ
先週の北朝鮮は、ま、政治的なセンセーショナルな出来事が続いた。チャン・ソンテク元国防委員会副委員長が解任され、裁判が行われて処刑に至ったことは、ピョンヤンの政治ゲームのルールが急激に変化したことを物語っている。
ここでは50年代の末から守られてきた、つまり今の正恩氏の祖父、おじいさんにあたる金日成の時代から守られてきた政治ゲーム上の大きな2つの原則が破られている。
金日成氏は政治全体を自分の手中に収めてきた人物だった。最初の非公開のルールとは、最高幹部の指導者らが弾圧を受けた場合、それは公開的な性格を持たないということだ。指導者の不満を買った役人らは、ただ姿を消すというものだ。もう一つのルールのほうは、失脚した役人は普通処刑されず流刑に処せられた。役人には命だけでなく、時間が経過すれば指導部の地位に返り咲く可能性も残されていたのだ。

これはもしかしたら、60年代、最高幹部の大多数が元パルチザンであり、金日成氏とともに満州で抗日戦を戦った戦友であったことと関係があるかもしれない。
金日成氏は自分の元戦友を肉体的に亡き者にしてしまうことには、ある種のモラル上の禁則を感じていた。モラル上、倫理上やってはいけないと感じていた。
パルチザンは流刑になるか、監獄に入れられる、ということはあっても、処刑されるというのは非常に稀なケースだった。時間とともにこの伝統は、すべての高官らに普及していったように思われる。

金日成、金正日の時代、北朝鮮の最高レベルの役人は、仮に自分の頭上に暗雲が立ち込める事態になっても、完全に絶望することはない、ということを自ら知っていた。
最悪の場合は、職を追われポストを追われ、数週間また数ヶ月、侮辱的な自己批判を我慢して、その後流刑されるか、どこかの村か炭鉱で働かされることになる、ということだった。
閣僚や中央委員会書記というポストにあった人々にとっては、そうした未来は決して好ましいものではないが、真剣に抵抗を考え、外国へ逃亡し、また何か陰謀を組織せざるを得ないほど、切迫した事態ではなかったように思われる。
逆に追求された役人または将軍は、大人しく自分の罪を認め、誤りを直すことを約束し、流刑地でしっかり働いたものだった。こうした場合、許される可能性はかなり大きかったといえる。このような一種ソフトな処罰は、国内政治の安定を保証するために大きな貢献を果たしたと評価されている。

しかし現在、新しい指導部のもとでこうした規則が変化したことは明らかだ。すでに2012年の始めから、ピョンヤンでは国家のハイクラスの役人や、軍事指導部の役人が銃殺刑に処せられたという噂が流れていた。チャン・ソンテク氏の逮捕、処刑の後、この噂は真実であること、信憑性が高いことが証明されたように思う。
金正恩氏が据えた目標のひとつは、政権の安定性の強化なのではないだろうか。
しかし実際には正恩氏の採る、見せしめ的な、こうした措置の数々は全く逆の効果を生みかねない。閣僚や将軍たちは、権力がなくなれば自分たちにとっては、それは死を意味することを理解するようになってしまうからだ。
こうした状況は、ついこな間まで有り得ないことだった。そしてこうした状況は以前は考えられなかったような行動に彼らを駆り立てるかもしれない。たとえば予審判事による捏造ではなく、本物の反政府クーデターを企てることだって、ことも今後は起こりうるかも知れない。

朝鮮戦争の謎と真実―金日成、スターリン、毛沢東の機密電報による
クリエーター情報なし
草思社

12月17日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル


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