田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

松浦武四郎 & 伊能忠敬

2018-08-12 21:11:34 | 講演・講義・フォーラム等

 探検家・測量家として日本国内の地図の作成に取り組んだ第一人者・伊能忠敬、そして北海道内を6度にわたり隈なく歩いた松浦武四郎は、探検・測量家として伊能の系譜に繋がっているという。その二人はある因縁で結ばれていた。

  現在、北海道博物館では特別展「幕末維新を生きた旅の巨人 松浦武四郎-見る、集める、伝える-」が開催されているが、その特別展の関連イベントとしてミュージアムカレッジ「1818-生と死」が開催され参加した。講師は北海道博物館の非常勤研究職員の佐々木利和氏が務めた。佐々木氏は国立博物館に長く務められ、最後は北大教授で退官された武四郎研究では第一人者のようだ。

                

 佐々木氏はまず「1818-生と死」のタイトルについて触れた。1818年とは2月に松浦武四郎が生まれ、4月に伊能忠敬が亡くなるという、二人にとっては因縁の年だそうだ。

 そして佐々木氏は北海道の測量に関して次のような系譜を示した。

     伊能忠敬村上島之允間宮林蔵村上貞助

                   |

                今井八九郎松浦武四郎

  佐々木氏は松浦武四郎を測量の人とするにはちょっと違和感はあるが、伊能忠敬の影響を受けたことは間違いないとした。

 

 講座の前半は、伊能忠敬の精密な地図の作成方法について触れた。伊能は“針突法”といって、図の上に針を刺して作図するという方法を用いたという。もちろん伊能のそれは“針突法”だけではなく、当時の測量技術を駆使したものではあったのだろうが、その精密さには驚かされる。そうした技術が先に示した系譜のように受け継がれていったものと思われる。

              

            ※ ウェブ上から拝借した伊能の ‟針突法” を表す図です。子細に見ると、北海道の外周に針が刺さっています。

 講座の後半は、松浦武四郎が残したアイヌ関連資料について紹介だった。

 武四郎はアイヌ民族の生産の様子について実に詳細に観察している。紹介されたのは、中国に輸出されるアワビの採集や加工現場、あるいはワカメの採集、乾燥の現場、音楽を楽しむアイヌの様子などである。その様子は武四郎の図や文章だけでなく、平澤屏山、村上貞助などがそれを補強するような図を残している。

             

            ※ 松浦武四郎が残したアイヌの生活の様子を描いた図です。

 松浦武四郎は現在特別展でも展示されているように膨大な資料を残している。特にアイヌの人々の生活や文化には特に関心を示して資料を残している。ただ、佐々木氏によれば彼が残したものには民族誌的な観点からの資料が少ないという。その理由が何だったのか、について佐々木氏は論及しなかったが、研究者的視点から見ると残念だということなのだろう。