いよいよ夏山シーズンの到来である。今年もいつくかの山に登ってみたいと考えている。その第一弾として北海道自然観察協議会というお堅い名前の団体が主催する「春の紋別岳観察会」に参加した。
※ 支笏湖畔は桜の見ごろを迎えていた。集合場所の駐車場付近の桜です。
※ 写真の山が私たちが目指した紋別岳です。頂上付近に雲がありますね。
「紋別岳観察会」とあったので、果たして山頂まで登るのかどうか分からなかったのだが、前日の新聞で山頂まで行くと分かり急遽参加を決めた。(翌日の33キロウォークのことを考慮することなく…)
5月25日(土)、午前9時20分、支笏湖畔の集合場所に着くと約20名の参加者が集まっていた。観察協議会の説明員(リーダー)は4名だったが、2班に分けられ私はベテランリーダーの谷口氏の班となった。
国道453号線沿いにある「紋別岳登山口」の標識です。
9時40分、予定どおりスタートしたのだが、このベテランリーダーの谷口氏の説明が非常に丁寧な説明を始めた。その様子は微に入り細に入りといった感じだった。登山口に至る前から路傍の植物について説明を始めるのだ。相当に山野の植物については詳しい方だ。
登山口を通過したのが10時10分。登山口を過ぎてもリーダーの丁寧な説明ぶりは変わらなかった。
過去何度かこの種の観察会に参加したことのある私だが、いつも左の耳から右の耳へ通過しっぱなしの私には聞いたことのある名前、初めて聞く名前が入り混じってはいたが、どうもそれを覚えるまでにはいたらないのは、私自身の関心が薄いことと、私の資質に関わることかもしれない。
※ このように登山道の所々で立ち止まり説明をしてくれました。指導者の谷口氏は後ろ向きの方です。
そんな様子だから、非常にゆったりとした山行となった。「これは体力的にもそれほどきつくはなく、翌日のウォーキングに影響はないな」と思いながらリーダーの説明を聞き、メモを取り、写真を撮って歩いた。
ところがそのうちにリーダーが「この調子では山頂に届かないので、急ぎましょう!」と言い始めた。それがまだ登り始めて1/3も登っていない時点だった。
※ 登山道の所々でこのようにシカに樹皮を食べられ立ち枯れ寸前の木をたくさん見ました。
※ そのシカが骨だけの状態になったもの山道脇で見かけました。熊にでもやられたのでしょうか?
それからは普通の山登りとは変わりがなかった。あまり説明もなく、ひたすら高度をかせぐ登山となった。
紋別岳は標高866mの山だが、距離にして4,849mの間に約600mの高度をかせぐ登山である。登山路は山頂にNTTが無線中継施設を設置し、その保守点検のために舗装道路が山頂まで続いているという登山路である。(一般人はもちろん車を使えない)車が登られるようにと造られた道路のためか、極端な坂道はないもののずーっと高度を上げ続ける登山路である。
※ 写真のような舗装路が山頂まで続く登山路でした。
※ 登山道の所々にこうした標識があり励みになりました。標識の意味は登山口から2,000mの地点で、山頂まで残り2,649mという意味です。
途中からは支笏湖や対岸の風不死岳、恵庭岳などが目に入ってくる。私たちが上っている紋別岳もそれらの山々と共に支笏湖カルデラの外輪山を形成している山の一つである。
※ 樹間からは支笏湖や支笏湖畔が見えるようになってきました。
※ 支笏湖対岸には一昨年苦労して登った風不死岳が見えます。
※ 目を移すと雪とのコントラストが美しい恵庭岳の山容です。いつか登ってみたい山です。
天候は晴れてはいなかったが、遠くも見渡せ悪くはないと思っていたのだが、山頂から下りてくる方に聞くと「霧で何も見えません」と言う。
登山路に雪が目立つようになってきた。と同時に肌寒くもなってきた。
※ 頂上に近付くにつれこうして雪が登山道を覆っていました。
登山口から2時間25分後の12時35分。山頂に到達した。
山頂と云ってもちょっと味気ないものだった。NTTの大きな施設が山頂一帯を占拠(?)している。ペンキが剥げかかった手書きの標識が小さく立てかけているだけだった。
おまけに先行者が言っていたように山頂付近は霧に覆われ見通しが全く効かなかった。晴れた日には素晴らしい眺望が広がると案内書には出ていたのだが…。
私たちは山頂の風が強かったこともあり、風を避けられるところに陣取り早々と昼食を頬張ったのだった。
※ 頂上直下です。電波塔が霧で霞んでいます。
※ わずかに「紋別岳」と読めるでしょうか?風に晒され剥げてしまった標識です。
下山はところどころでリーダーが休憩を兼ねた説明をしながら1時間30分で下山した。
それにしても北海道自然観察協議会の自然観察指導員である谷口氏の博識は素晴らしいものだ。その上、70代には達していると思われるが、その体力にも驚かされた。
また、北海道自然観察協議会は数々の普及活動を実施しているが、保険料の100円を集める以外いっさいの参加料を徴収することなく完全なボランティア活動であることも特筆すべきことだと思う。
私自身は低山ながらもピークハンター的志向が強いので、この種の観察会には今後それほど参加する機会はないと思われるが、自然観察に興味のある方にとっては積極的にアプローチする価値のある団体ではと思われる。
※ 今回のレポートでは指導員の谷口氏から紹介いただいた数多くの山草については写真が非常に多くなるため残念だが割愛することした。
【紋別岳 登山データー(NTT車道コース】
標 高 865.8m (標高差576m)
駐車場 登山口に数台分の駐車場がある。
行 程 登山口 →(2時間25分 ※但し自然観察が目的のため参考にはならない)→ 紋別岳山頂 → (1時間30分 ※同上)→ 登山口
天 候 曇り、山頂は霧、風有り
登山日 ‘13/5/24