レッドイーグルス北海道とは?以前は王子製紙が母体の名門アイスホッケーチームでした。しかし、現在はクラブチームとして独立してチーム運営をしなければならない立場となりました。そのために奮闘するチームのチーフマネージャーである田中氏からその苦心と奮闘ぶりを伺いました。

昨日午後、北海道新聞本社DO-BOX EASTにおいて、「スポーツを語ろう~北海道スポーツ応援ネットワーク勉強会」なるものが開催されたので参加しました。
今回は、アイスホッケーのレッドイーグルス北海道のチーフマネージャーを務めるお二人の方を招いて勉強会(?)でした。
王子製紙のアイスホッケーというと、国内社会人チームとして日本リーグ優勝13回、アジアリーグ優勝2回、全日本選手権優勝37回、ジャパンカップ優勝3回を誇り、社会人チームとしては押しも押されぬ名門チームでした。
しかし、企業スポーツが衰退する中、王子製紙もそれに抗しきれずに2021年にはクラブチーム化することになって、企業の全面的な応援が難しくなる中、さまざまな創意工夫をする中でクラブチームとしての存続を図る奮闘が関係者の間で続けられているようです。
今回の勉強会のテーマは「レッドイーグルスの挑戦 歴史と伝統のある地域でのプロアイスホッケーチームづくり」と題して、チームの経営を支える田中強氏と、チームの戦力強化を支える荻野順二氏のお二人からお話を伺いました。
まず田中氏は、社会人チームと、クラブチームの違いを①組織、②目的、③選手・監督のミッション、④収入源、⑤課題の五つの面から分析して提示しました。
社会人チームは、①組織~法人の一部門、②目的~社員の意欲向上と法人の広告宣伝、③選手・監督のミッション~勝利、④収入源~本社からの支援、⑤課題~本社からの資金援助が無くなった時点でほぼ解散。
対してクラブチームは、①組織~株式会社などの専門特化型法人、②目的~地域の皆さまと共に、地域の課題を解決し、活力ある社会づくりに貢献する。③選手・監督のミッション~感動、④収入源~スポンサー・入場料・グッズ販売などの事業収入、⑤課題~経営をする。継続する。
ずいぶん大きな違いがありますが、こうした分析の上に立って経営戦略を立てたとのことです。

※ クラブチーム運営の工夫を語る田中強氏です。
クラブチームとなってからは当然のように、王子製紙社員が応援で試合会場に足を運ぶことも少なくなり、当初は集客面で大苦戦をしたとのことですが、田中氏を中心としてさまざまな工夫を図ってきた結果、集客も徐々に回復途上にあるということでした。
そして今シーズンはクラブチーム化5年目にあたり、「戦略的来場者促進策」をさらに推し進めると言います。そのキーワードは「ホームゲームのエンターテイメント化」だと強調しました。
なぜエンターテイメント化かというと、具体的には①20~30代女性と②お子様とその家族、を集客のターゲットとするということだそうです。この結果、女性の入場者が倍増するという結果を導き出したということです。
また、幼稚園や保育園との繋がりを大切にし、選手と子どもたちの距離を近くすることで、子どもたちの家族も巻き込んだ集客が期待できるようになったと話されました。
プロスポーツのエンターテイメント化は、バスケットボールをはじめその傾向があらゆるスポーツに波及しているように思われます。プロ野球なども例外ではありません。特にドーム球場などは光と音の演出が派手に取り入れられているようにも思えます。
今や若い世代にアピールするには、こうした手法が欠かせない手段なのかもしれません。
田中氏はさらに言います。
「試合結果(勝敗)に左右されない、エンターテイメント空間を創出する」ことが若い世代を繋ぎとめるためには 必須であると…。
そのためには、選手をアイドル化することも一つの手段であるとして、写真集やグッズ販売にも注力しているとのことです。
こうした経営的戦略により、チームの経営状態が良くなり、選手強化にも繋がれば何よりだと思います。
スポーツを観戦することが、地域の人たちにとって良い意味での娯楽となり、それが地域の活性化に結び付くとしたら、レッドイーグルス北海道というチームの存在目的にも適うことであるので、応援したい気持ちです。
勉強会の後半は、選手経験者であり、昨年までチームの監督だった荻野順二氏が「アイスホッケーの魅力とは?」と題して、選手目線、監督目線からアイスホッケーの魅力について語っていただきましたが、 こちらに関してのレポは割愛させていただきます。
私も過去には何度か、社会人のアイスホッケーを観戦したことがありますが、とにかくスピードが速い!といった印象があります。
今シーズンはレッドイーグルスの試合が札幌でも開催されると聞いていますので、一度くらいは観戦して田中氏たちの創意工夫を実感してみたいと思っています。