あの特徴のあるブルーグラスの音をたっぷりと堪能した3時間だった。技量的にはマチマチの感は否めなかったが、それが学生のサークルの特徴か?コンサートでは酪農学園の学生気質のようなものを見え隠れして興味深かった。
※ 開演前のステージの様子です。
昨夜(6月20日)、江別市の「ドラマシアターども」において「酪農学園ブルーグラス研究所」の「新入生歓迎コンサート」があり、物好きにも参加した。
※ ドラマシアターどもの外観です。ステージは2階に造られています。(ちょっと写真が斜め)
ドラマシアターどもは、江別駅の近くの廃業したビルを再活用したもののように見えた。内部は観客が100人も入ればいっぱいのような小さな空間に、ステージもそれほど大きくないものが設えられていた。
※ ステージ横に立てられたサークル名が書かれた木標です。
私は確か新聞で、ブルーグラスを聴くことができると知って、懐かしさに駆られて江別市まで出かけたのだった。私がブルーグラスに出合ったのは、フォークグループの「高石友也とナターシャーセブン」がコンサートで盛んにブルーグラスを取り上げていたことがきっかけだった。
ちなみにブルーグラスをよくご存じでない方のために、この日配布されたプログラムに載っていたものを紹介すると…。
「アメリカ南部発祥の音楽で、主にカントリーやブルース、ゴスペル、アイリッシユなどを基盤として発展してきたジャンルです。フィドル(バイオリン)、フラットマンドリン、五弦バンジョー、アコーステックギター、ウッドベースなどで構成され、そのアコースティックなメロディーから古き良きアメリカの風景を感じ取ることができます。明るく軽快なメロディーとは対照的に、歌の内容は失恋や死別といった悲しいものが多いのも特徴です」
となっていた。
※ トップバッターを担った「はんぺん丸」の演奏です。なかなかの実力とみました。
酪農学園のブルーグラス研究所には今年15名の新入部員が入ったという。それで部員の合計は40名を突破したそうだ。これは大変な人数である。けっしてメジャーではないブルーグラスという音楽を追求するサークルに40名以上も集まったのは何なのだろう?と考えた。やはり酪農学園という大地(農地)を対象するとする学問を究めようとする若者たちにとってブルーグラスはどこかで通底するものがあるのでは、と思ったのだがどうなのだろう?
ブルーグラス研究所では、サークル員同士でバンドを結成して練習に励むようだ。この日は9つのバンドがそれぞれ曲を披露した。だいたいは学年別に編成されていたため、その技量もそれに応じていたように聴こえてきた。
1年生は部員が多いだけに4つのバンドが出演したが、やはり入学から3ヵ月しか経っていないのだからブルーグラスの良さを表現するには無理があったようだった。まだまだブルーグラス特有の軽快さを表現するまでには至ってなかった。
※ 一年生バンドの「キムチハーモニー」の皆さんです。外国出身が二人加入しています。
2年生になると、それがもう立派なブールグラスバンドに成長していた。2年生のどのバンドもしっかりプルーグラスの良さを表現していたように聴こえた。1年生たちがこれからの1年間でどこまで成長するのか確かめたい思いになった。
紹介などをきいているかぎり、3年生部員は少ないようで、3年生だけで組んだバンドはなかったようだ。4年生のバンドは「さすが!」という、いわばこなれた演奏を披露してくれた。
※ さすがの技量を披露した4年生バンドの「ヒチュジウンマーズ」です。ただし一番目立つ
右から2番目の彼は2年生だそうです。
特徴的だったのは、演奏の合間、バンドが交代する合間のMCである。私からみると、誰もが口ベタの印象を受けた。まったくステージに慣れていない、たどたどしい説明であり、おしゃべりなのだ。私は思った。彼らは物言わぬ大地や動物たち(獣医学科)を対象とする学問を究めようとしている学生たちである。そこではコミュニケーション能力などというものはそれほど問題ではないのだ。彼らの多くは素朴で、どちらかといえば朴訥な若者が多いのだろうと…。そのことに私はとても好感が持てた。
※ 右の彼の腰のところを見てください。長い布がぶら下がっています。演奏の合間に、布で
楽器に付いた汗などをぬぐっていましたが、多くの奏者がそうしていたことを見ると、ブルー
グラスの奏者たちのファッションなのではとにらみました。
酪農学園ブルーグラス研究所…、彼らが楽しくブルーグラスを追求するとともに、仲間づくりに励み、また私たちに素敵な音楽を届けてほしいと願った夜だった。
※ コンサートの最後に一年生が勢ぞろいして抱負などを語ってくれました。
※ 何の因果か?本日はまた北大のブルーグラス研究所のコンサートを聴きにこれから出かけようと思っている。また、そのことをレポすることができたらと思う。