田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

久しぶりに “奏楽” を聴いたコトニクラシック

2024-10-02 15:14:28 | ステージ & エンターテイメント
 アンサンブルグループ “奏楽” は私が好きなグループの一つである。その理由の一つは、大人の音楽を奏でてくれるからである。西区の文化の殿堂(?)コンカリーニョで “奏楽” の演奏を楽しんだ。
     
 9月27日(金)夜、コンカリーニョで「Kotoni Classic in Concarino」が開催され、知人から入場整理券を譲られたので喜んで馳せ参じた。
 喜んだのは、出演が「アンサンブルグループ “奏楽”」だったからだ。アンサンブルグループ “奏楽”は、元札幌交響楽団の団員だったオーボエ奏者の岩崎弘昌さんが、市内の若手演奏家たちの活躍の場を広げようと呼びかけて結成されたグループと聞いている。

      
      ※ "奏楽" の代表である元札響団員の岩崎弘昌さん

 これまで私は “奏楽” の演奏を何度か聴いているが、岩崎さんがリードする音楽は若い集団なのだが、どこか落ち着いた大人の音楽を提供してくれるという思いがある。さらに、専門にMCを担当するピアノの前田朋子さんのユーモアと知性を併せ持ったアナウンスが、とても暖かく上品なコンサートへと導いてくれるところが魅力なのだ。

       
      ※ "奏楽" のスポークスマン的存在のピアノの前田朋子さん
  
 この日も、上記お二人に加え、クラリネットの福井遥香さん、ファゴットの石黒玲さん、ホルンの畑田咲藍さんを加えた5人のグループでの演奏だった。例によって演奏曲目を紹介すると…、
《第1部》
 ◇リックル/カッサシオン 変ホ長調より 第一楽章Adagio₋Allegro
 ◇モーツァルト/きらきら星変奏曲
 ◇ビゼー/「カルメン組曲」より ハバネラ、セギディーリャ
 ◇シューベルト/「ロザムンデ」間奏曲
 ◇モーツァルト/ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調 K452より第1楽章
      
※ コンサートの様子の写真撮影はもちろんNGなのだが、コトニクラシックのHPに当日の様子を写したものが掲載されていたので、それを拝借しました。

《第2部》
 ◇フォスター/ビューティフル・ドリーマー、金髪のジェニー
 ◇本居長世/七つの子
 ◇岡野貞一/紅葉
 ◇ロドリゲス&奏楽/ラ・クンパルシータ SORAバージョン
 ◇バーンスタイン/「ウェストサイドストーリー」より、マリア、トゥナイト
〈アンコール〉アイルランド民謡/ロンドンデリーの歌
 いずれの曲も “奏楽” らしい落ち着いたメロディ―を楽しむことができた。特に私としてはモーツァルトの五重奏曲「変ホ長調 K452より 第1楽章」は五つの楽器の音が適度に重なり合って気に入った一曲だった。
 前田さんのMCもいつもどおりユーモアも交えた心地良いものだった。
 “奏楽” のコンサートをこれからも機会あるごとに聴いてみたいと思わせてくれたコンサートだった。
      

興味深かった道総研オープンフォーラム

2024-10-01 16:31:42 | 講演・講義・フォーラム等
 えっ?ニンジンが木質化するって?カボチャの軸切りってそんなに大変なんだぁ?等々、私が知らなかった農産物の生産現場の苦労と、その苦労を改善・改良する北海道総合研究機構のスタッフの創意工夫の様子を聴いた。

     

 9月27日(金)午後、かでるホールで開催された「第8回 道総研オープンフォーラム」に参加し、研究者たちのお話を聴いた。
 フォーラムは、北大副学長の横田篤氏の基調講演と、北海道総合研究機構スタッフの研究事例6本を聴く構成となっていた。研究事例の方は2部構成となっていたのだが、私は所用のため第1部のみをお聞きして会場を後にしたため、基調講演と事例発表の第1部のみのレポとなる。
 基調講演は北大副学長の横田篤氏「北海道の未来を見据えた北海道大学の取り組み~SDGsを中心に~」題して講演された。北海道大学が以前から「Sustainable Campus(持続可能な社会の構築に貢献する大学)」を標榜していたことは知っていたが、その思想は全国的に見ても他大学よりはいち早く取り組んだことを横田氏は強調されていた。またそれだからこそ、その後の研究においても着実にその歩みを続けていること話されていたと理解した。ただ講演の内容がどうしても総花的な印象が拭えず、聴いていた私には北海道大学の特徴的な取り組みを伺えなかったような印象に終わった。横田氏がSustainable Campusの北大におけるまとめ役的立場にいらっしゃる方のため致し方のない面もあったのかと思われた。

   
   ※ 講演をする横田北大副学長です。

 ということで、私の関心はむしろ北海道総合研究機構のスタッフによる具体的な研究内容・成果の方に関心が向けられた。
 その研究内容・成果の発表の第一は「隠れた不良品を紫外光でクッキリ識別~木質化ニンジン判別装置の開発~」の発表だった。
 私たち消費者は、ニンジンの芯の部分が木のように固く木質化するなどということはまったく知らなかった。ところが生産農家によると、生産するニンジンの芯の部分が木質化し、食材としては不適となるニンジンが一定数あり、それを選別することが課題となっていたということだ。
 道総研のスタッフは、その選別のために振動式、超音式、X線式(CT検査)、近赤外光式と可能性がありそうなありとあらゆる方式を試したものの思うような成果が挙げられなかったという。その末に紫外光式という方法を見出すことで識別率84.2%まで成績を向上させることができたそうだ。さらに現在はその紫外光式にAIを用いることによって性能の向上を図っているということだった。生産者の苦労、その苦労を軽減させようと奮闘する道総研のスタッフの地道な努力の姿を見た思いだった。
 続いては「つらい収穫作業を省力化~カボチャ軸切りハサミの開発~」についての研究成果の発表だった。こちらの苦労は私でも想像できる。あのカボチャの軸がいかに固いかは、私たちの手に届いてからも容易に想像できる。あの硬い軸を切り落とすには相当な力が必要で重労働を伴うことは私にも良く分かる。その軸切リハサミの性能を向上させ、かつ安全性を高めたハサミの開発に取り組んだということだ。ハサミの性能向上と安全性の確保という二律背反的な要求は研究スタッフにとっても難問だったようだが、苦心の末生産者からも満足してもらえる性能のハサミの開発ができたという報告だった。

   
   ※ 道総研のスタッフが開発したカボチャの軸切ハサミです。

 三つ目の報告は、「シイタケ生産の現場が代わる~新栽培技術とAI選別による省力化~」と題する発表だった。
 シイタケ栽培は、以前は原木栽培が主だったが、現在はそのほとんどが菌床栽培に移行しているという。その菌床栽培の場合、シイタケが菌床の上面だけでなく、横面からも伸びてくるため収穫作業が大変なのだという。さらにはシイタケの場合は製品の等級が細分化(8段階?)しているため、等級判別に多くの時間を要するという困難さがあったそうだ。
 その問題について道総研のスタッフは、トレーを培地に敷設することによって上面発生を促すように工夫したということだ。(この仕組みについて、私は良く理解できなかった)
 また、等級判別に関してはAIを活用することにより、大まかな判別が可能となり、生産者の省力化に寄与できるようになったとの発表だった。

   
   ※ シイタケの等級識別機は実演がされていました。写真の機会は3段階に識別していました。

 三つの発表を伺い、私たちの目に見えぬところで、多くの技術開発が進められていることに改めて気付かされた。現在、農業生産者は高齢化、生産人口の減少が深刻であるとも聞く。生産の効率化、省力化に北海道総合研究機構のスタッフが日夜取り組んでいることの一端を知ることができた貴重な機会だった。
 道総研では、研究の一端を道庁ロビーで「ランチタイムセミナー」と称して定期的に市民に発信してくれていたが、今回のように本格的に広く道民にアピールする「オープンセミナー」もとても良い試みだと思う。これからも機会が合ったら拝聴し、道総研の動きを知り、理解したいと思っている。

本番!さっぽろラウンドウォーク セクション9(アンデルセン福祉村 ⇒ 滝 野すずらん公園渓流口)

2024-09-30 20:16:33 | さっぽろラウンドウォーク
 この札幌ラウンドウォーク始まって初めて6人揃ってのウォークとなり、気温も適度で楽しいウォークとなった。しかし、白旗山自然歩道、札幌ふれあいの森、有明の滝自然歩道と歩き継ぐルートはけっこうワイルドな15.5キロだった。

      

 本日(9月30日)、「めだかの学校」札幌ラウンドウォーク踏破クラブとして8度目となる「ラウンドウォーク セクション9」を実施した。
 メンバーは、このウォーク始まって以来最高の6人のクラブ員全員が揃ってラウンドウォークとなった。コンディションは曇り空、気温もそれほど上がらずグッドコンディションだった。歩き始めに微かな小雨があり心配したが、その後は直ぐに上がり何の問題もなかった。

   
   ※ スタート直後の道路の歩道上を往くメンバーの方々です。

 このルートを実施するにあたって、唯一私が事前踏査をしなかったルートだったため、ルート上の細かな情報が皆無だったのが少々心配だった。何せ、一人で踏査するには山道が大半を占めるため「もしも…」のことが気になり勇気が出なかったのだ。
 ルートは「アンデルセン福祉村」を出て、「白旗山競技場」に向かう。「白旗山競技場」はFIS公認の本格的なクロスカントリースキーコース(25km)のスタート&ゴールが設けられているところである。私は当初その競技場を横目に見ることができるのでは?と期待していたのだが、ルートはその外側を往くルートだった。
 「白旗山競技場」を過ぎると直ぐに白旗山々中に入り、「白旗山自然歩道」となった。とはいってもルートは車が通行できる広い道で、斜度も緩く、メンバーも淡々と歩いていたように思えた。約1時間のウォーキングで白旗山の山頂直下に辿り着いた。ルートは白旗山山頂へは向かわず「札幌ふれあいの森」へ向かって伸びていた。

   
   ※ 白旗山々頂を目ざす入口のところにベンチがあり給水タイムです。

 山頂を体験することも考えたが、私が以前登った際に眺望が全くないことを知っていたため、それを話すとメンバーも山頂へ向かうという強い希望がなかったので、ラウントウォークのルートどおり「札幌ふれあいの森」のルートを通り麓にある「ふれあいセンター」を目ざした。

   
   ※ 札幌ふれあいの森のルートはご覧のような野趣あふれるルートでした。

 こちらにルートはいかにも自然歩道という感じで、谷川に沿って細い山道が続くルートだった。私はここでネットを通じて購入して持参したクマよけ(?)の「おどし玉」を試してみた。「おどし玉」は見事に爆ぜたが、中国でよくお正月に行われている爆竹の単発版かな?という程度で効果のほどは???であった。
 この谷川の細いルートは、私にとってはすっかり遠ざかってしまった登山時の下山を想起してしまった。下山時のひと時ではあったが楽しい山道歩きとなった。
 そしてちょうど12時近く、白旗山の一方の登山口となっている「ふれあいセンター」に着き、芝生広場のベンチでランチタイムとなった。

   
   ※ 昼食タイムを終え、「有明の滝自然歩道」に向かうメンバーの方々です。

 約30分の昼食休憩後、厚別川を挟んで「札幌ふれあいの森」と対を成すようにそそり立つ「有明の滝自然歩道」に入った。ルートは最初からぐいぐいと上っていく。そして15分も上がったところに「有明の滝」がルートから少し横に入ったところにあった。落差13mの滝ということだが、小規模とはいえなかなか立派な滝だった。

   
   ※ 有明の滝の前では、全員が一人ずつ写真を撮らせてもらいました。

 問題はこの後だった。ルートは滝を後にしてさらにぐいぐいと高度を上げていった。私は「有明の滝」、そして「有明小滝」ともに体験しているが、その時は二つの滝を別々に道路からアクセスしていた。今回のように自然歩道を歩いて二つの滝を結ぶコースは初めてだった。後で資料を見てみると、この山中の自然歩道は約7kmということだったが、山中を上がったり、下がったりの7kmは70代のメンバーにとってはかなりタフなルートだった。

   
   ※ 自然道はいち早く落葉したホウの葉が道を埋めていました。
   
   ※ 山奥高いところを流れる小川の脇を往くメンバーの方々です。

 私は大忙しだった。責任上トップを切りながら、アプリでルートを確認し、全体のペースを考え、さらには私たちが行く前に山親爺さんなどが出現しないか注意を怠らず、そして頼まれてもいないのに、時には記録写真も撮らねばならないという一人三役も四役もこなしながらのウォークとなった。しかも前述したように事前踏査をしていなかったことからルート選択を2度も間違えてしまうミスも犯してメンバーに迷惑をかけてしまった。メンバーもかなり疲労を蓄積したようだった。もちろん私も…。

   
   ※ 有明の滝自然歩道の途中にあった唯一の休み処で小休止です。
   
   ※ 写真のように上がり下りが連続して訪れ、かなり苦労しました。

 「有明の滝自然歩道」の山中を上り下りすること約1時間半、私たちはようやく「有明小滝」を道路(道々341号線)からアクセスできる道路に辿り着いた。そして間もなく、その道路脇を落下する「有明小滝」(落差5m)を横目に見ながら、道々341号線に出た。

   
   ※ 落差5mの「有明小滝」です。

 後は、「滝野すずらん公園」の「鱒見口」から公園内に入り、公園の遊歩道を歩き14時50分、無事にこの日のゴールの「滝野すずらん公園渓流口」に着いたのだった。

   
   ※ 自然道では見なかった紅葉がすずらん公園内で見ることができました。
   
   ※ 私はこの光景が大好きなのです。

 途中、若干遅れ気味となるメンバーもいたが、私たち70代のメンバーは全員健脚揃いである。ゴールした全員がまだまだ余裕しゃくしゃく、バスを待つ間も楽しく談笑しながら待つ余裕があった。

   
  ※ この日のゴールのすずらん公園渓流口でようやく6人一緒の写真が撮れました。

 次回は、 これまでパスしていたセクション2(旭山記念公園 ⇒ 宮の沢ふれあい公園)を踏破する予定である。
 なお、この日のコースはマップ上では約13kmとなっているが、私の歩数計では15.5kmとなっていた。

北星女子高音楽科演奏会に感動!

2024-09-29 16:58:35 | ステージ & エンターテイメント
 真摯に取り組む姿がとても美しく感じた北星女子高等学校音楽科の定期演奏会だった。音楽科の生徒の中からオーディションで選抜された10名の生徒が独唱に、そして独奏にあの広いKitaraのステージで堂々と発表した!

      

 少し時間が経ったが9月26日(木)夜、札幌コンサートホールKitaraにおいて北星学園女子高等学校 音楽科「第54回 定期演奏会」が開催され、知人から入場整理券を譲られたので観賞することにした。
 案内によると「オーディション選抜者によるソロステージ」とあった。つまり、音楽を専門に学んでいる生徒の中から選抜された生徒がステージで声楽や器楽の演奏を披露するという演奏会なのだった。
演奏された曲目をプログラム順に紹介すると…(生徒名は省略)
 ◇ピアノ演奏   M.ラヴェル/水の戯れ
 ◇声楽独唱    G.ロッシーニ/La promessa  G.プッチーニ/O mio babbino caro
 ◇フルート独奏  P.A.ジュナン/「椿姫」によるファンタジー Op.18
 ◇ピアノ独奏   C.ドビッシー/「版画」より 雨の庭
 ◇声楽独唱    F.P.トスティ/Preghiera
 ◇ピアノ独奏   G.フォーレ/即興曲 第3番 変イ短調 Op.34
 ◇フルート独奏  P.タファネル/「魔弾の射手」によるファンタジー
 ◇ピアノ独奏   G.フォーレ/ノクターン第2番 Op.33-2
 ◇オーボエ独奏  R.シューマン/アダージョとアレグロ Op.70
 ◇声楽独唱    W.A.モーツァルト/Alma grande e nobil  K.578
計10名の演奏だった。
 プログラムには生徒が、演奏する曲目をどのように解釈し、どのように表現したいのかについて詳しく記されたメモが挿入されていたが、私はそれをチェックしながら生徒の演奏に耳を傾けた。すると、生徒一人ひとりが己の解釈を基に演奏に臨んでいることがよく伝わってきた。
 演奏自体の巧拙は私のような音楽の素人にはよく分からなかったが、それぞれがあの大きなKitaraのステージ上で堂々と発表していたように思えた。
キャパ2,008席の大ホールに聴衆はけっして多くはなかったが、それでもあの大舞台で演奏する体験を生徒たちに与えている学校側の力の入れようを思い知った。
 演奏会は、独唱、独創の後、音楽科生徒全員(?)による合唱を2曲演奏して幕を閉じた。感動した私は、アンケートに次のように一文を記してアンケート回収箱に投函した。その内容は…、
 「御校の定期演奏会を初めて聴かせていただきました。私は音楽は素人ですが、一人ひとりの演奏者が演奏曲目を深く理解した上で、演奏されていることが伝わってきて感銘を受けました。それぞれの皆さんが将来にわたって音楽の道を志すものと思いますが、それぞれの生徒さんたちの大成を願っています。ありがとうございました」
と記した。

熱闘!激闘!高校ラグビー

2024-09-28 19:12:59 | スポーツ & スポーツ観戦
 お正月に花園ラグビー場で開催される全国高校ラグビー選手権に出場する南北の北海道代表を決める決勝戦を観戦して帰宅したばかりである。両試合ともに高校生らしく若さが弾けた熱戦が展開された!    

 本日、月寒野外競技場(ラグビー場)において全国高校ラグビー選手権の北海道代表を決める決勝戦2試合が行われ観戦してきた。今日は講座を受講する予定だったのだが、急遽予定を変更してラグビー観戦をすることにした。
 午前11時から南北海道大会の決勝戦において札幌山の手高校函館ラサール高校が対戦した。
 札幌山の手高校ラグビー部は、道内ではラグビー強豪校として知られ、全国大会に数多く出場している学校である。日本代表を長く務めるリーチ・マイケルの出身校としても知られている。

   
   ※ スクラムの様子ですが、左の赤っぽいジャージが函館ラサール高校、右の青と橙のジャージがサッポ山の手高校です。

 一方の函館ラサール高校ラグビー部は、札幌山の手の壁が厚くなかなかその壁を崩せなかったが2015年にその札幌山の手を破って花園初出場を決めたラグビー部である。
 本日の対戦では、札幌山の手のFW(フォワード)が函館ラサールFWを圧倒していたといえる対戦だった。結果は33対7で札幌山の手高校の勝利(優勝)だった。

   
   ※ 両チームのラインアウトの攻防です。

 ただ、函館ラサールに好機がなかったわけではない。前半に相手ゴール近くで攻め続ける場面があったのだがゴールを奪えなかったのが痛かった。仮にその場面で1トライでも取ることができていたらチームの士気も上がったのだが…。そして後半開始直後、キックを相手にチャージされてトライを許し、19対0となった時点で、万事窮すという感じの対戦だった。

    
    ※ 残念ながら敗れた函館ラサール高校のフィフテーンです。

 私が座った席は、正面スタンドだったのだが、そこはちょうど函館ラサールの父母の応援団が占めていた座席の近くだった。その父母の方々の応援がとても熱心に応援している姿に影響されて、後半23分には函館ラサールがこの日唯一のトライをあげた時は、私も思わず歓声を挙げてしまったほどだった。函館ラサールの健闘に拍手!

    
    ※ 好天も手伝い正面スタンドはほぼ満員の盛況でした。

 続いて午後1時からは北北海道大会の決勝戦が行われ遠軽高校羽幌・芦別・富良野の合同チームの対戦だった。高校ラグビーでは今年度から合同チームの全国大会出場が認められるようになったそうだが、羽幌・芦別・富良野の合同チームは単独高校を次々と破り決勝戦までコマを進めてきたということで本日の道新でも特集していた。

    
    ※ 合同チームの父母が着ていたTシャツです。文字の意味を聞くと、左から羽幌のH、芦別のA、そして富良野のFという文字をデザインしたそうです。

 一方、遠軽高校は近年北北海道においてめきめき力を付け強豪校にのし上がってきたチームである。
 体格的には合同チームが勝っているように見えたが、スクラムでは遠軽が押す展開が続き、全体としても遠軽が押し気味に見え、先制したのも遠軽だったのだが、遠軽はラインアウトで2度続けてノットストレートの反則を取られ波に乗れないところを突かれ、連続トライをとられ前半は12対5と合同チームがリードして折り返した。

    
    ※ 左青のジャージが遠軽、右の白のジャージが合同チームです。

 後半に入ると今度は遠軽が2分、14分に連続トライを決めて後半途中までは17対12と逆にリードする展開となった。しかし、意気上がる合同チームは後半20分に同点トライを決めた。その後も両チームは一進一退の攻防を続けたが、決め手に欠きタイムオーバーととなり両チーム優勝という結果となった。
 ラグビーの場合は、野球やサッカーと違い延長戦がないことを初めて知った。したがって、花園出場を決めるのは抽選ということだった。別室で行われた抽選で花園出場は遠軽高校に決定したとアナウンスがあった。合同チームには不運な結果となったが、困難な条件を乗り越えて優勝を飾ったということに拍手を贈りたいと思う。

    
    ※ 優勝はしたものの全国切符を逃した合同チームのフィフテーンです。

 しかし、ラグビーというスポーツは相当に過酷なスポーツだと思う。何せ、途中10分間のハーフタイムはあるものの、60分間を走り続けねばならない競技である。それも相手のタックルを受けたり、かわしたりしながら…。本日の対戦でも、相手のタックルを受けて脳震盪を起こしタンカーで運ばれた選手、あるいはハーフタイム時に胃の内容物を嘔吐してしまった選手の姿もあった。
 そんな過酷なスポーツだけに選手たちは非常に真剣に競技に立ち向かっていることが伝わってきた。それだけにノーサイドのホイッスルが鳴った瞬間、彼らの多くが全力を尽くしたことに涙するのだろう。出場した4チームの選手たちの健闘に心から拍手を贈りたい。
 そして、全国大会にコマを進めた札幌山の手高校、遠軽高校のフィフティーンには花園の全国大会での健闘を祈りたい。

“岡ちゃん” 饒舌に事業を、教育を語る

2024-09-27 12:12:43 | 講演・講義・フォーラム等
 “岡ちゃん” とは?サッカー日本代表を2度にわたってWCに導いた智将 岡田武史氏の愛称である。氏は今、愛媛県今治市においてサッカーを通じて、彼が抱いた “夢” の実現のため全力投球中である。エネルギッシュに活動を続ける “岡ちゃん” の話に耳を傾けた。

 昨日(9月26日)午後、札幌エルプラザにおいて「道新BIZ産学連携ビジネスフォーラム」なる集いに参加した。目的はそのフォーラムの基調講演の講師が岡田武史氏だったからだ。
 岡田氏は「チームでマネジメント~主体性を持ち自立した人物を育てるには~」と題して1時間にわたって氏の実践を話された。

        

 岡田氏は2014年、幾多のチームの監督就任などの要請を断り、四国サッカーリーグ・FC今治のオーナーに就任している。FC今治は当時四国の地域リーグに所属する弱小チームであった。しかし、彼の “夢” の実現のためには「弱小チームなら時間はかかるかもしれないけれど一から始めることは比較的簡単」ということで知人からのオファーを受け入れたという。それから10年、FC今治は現在J3で奮闘中である。
 岡田氏は就任当初、日本のサッカー選手の欠点である「指示待ち選手」からの脱却を図るために選手の自主性を尊重しようとしたという。しかし、自由を与えられた選手は戸惑い混乱するばかりだったという。そこで岡田氏は改めてヨーロッパの名門チームの実態を調べ、ティーチングとコーチングの違いを知ったという。
 ティーチングとは、経験豊富な人が経験の浅い人を相手に自分の知識やノウハウを伝える手法であるのに対して、コーチングとは、自発的行動を促すコミュニケーションという違いがあると知ったそうだ。岡田氏はそれを日本の武道に伝わる「守・破・離」とも通ずると語った。
 こうしたこともありFC今治は想定していたより時間はかかったが、現在J3で活躍中なのだが、将来のJ2、J1への昇格を見据えて、岡田氏がオーナーを務める「(株)今治 夢スポーツ」は、2017年にJ3規格の「ありがとうサービス、夢スタジアム」を完成させたのをはじめとして、現在はJ1規格にも対応する日本で3番目となる「民設民営」の365日人が集えるような「里山スタジアム」完成を目指しているそうだ。その他にも、「自然塾」を運営したり、今春には「FC今治里山高校」を開校したり、「FC今治レディース」や下部組織も拡大しつつあり、順風満帆の成長を続けているようである。
 岡田氏のお話を聴いていて感じたのは、岡田氏の抱く “夢” の実現に向けての強力なリーダーシップである。ぐいぐいと会社スタッフをリードし続ける姿を、氏の話から容易に想像することができた。その岡田氏を強力に後押しするのが、岡田氏が著名な経営者たちを知古としていることである。岡田氏はそうした方々と交流する中から多くのことを学び、自己の経営に生かされているようだった。
 岡田氏はここでは紹介し切れない多くの言葉を話されたが、講演時間の60分間をノー原稿で途切れなく話続けられた。講演依頼が引きも切らない状況の中、どのような講演依頼にも応えられるものを持っているのだろう。その饒舌さには聴いている私の方が圧倒される思いだった。
 最後に岡田氏はアメリカのネイティブインディアンの教えを紹介してくれた。その教えとは「地球は子孫から借りているものである。だから美しい状態で返すべきものなのだ」という教えを守ることが私たちの責務であると…。
 もう一度、そしてまだまだ聴いてみたいことがたくさんある。岡田武史氏のお話をもっともっと聴いてみたいと思った。

「さっぽろの古を訪ねて Ⅲ」山鼻屯田兵村を訪ねる

2024-09-26 11:59:15 | 「めだかの学校」関連
 札幌近郊の屯田兵村を訪ねる企画の最終回「山鼻屯田兵村」を訪ねた。この日(9月24日)は秋日和に恵まれて、気持ち良く屯田兵村の史跡を訪ね歩くことができた。
    
         
 
 私が所属する「めだかの学校」では、今期野外見学学習として札幌近郊の屯田兵村を訪ね歩く企画に取り組んでいる。実はこの企画は「さっぽろの古を訪ねて」という大きく企画の一環で、「Ⅲ」と示すとおりに3年目の企画なのだ。
 1年目(2018年度)は特にテーマは設定せず、札幌の開拓に携わった人物の史跡を訪ねて回った。
 2年目(2019年度)は、「お雇い外国人の史跡を辿る」をテーマに、各所を巡った。
 そして今年度が3年目ということである。その間4年の空白があるが、これはコロナ禍によって中断を余儀なくされ、今年度ようやく3年目で「北の守りと開拓を担った屯田兵の史跡を辿る」をテーマとして行うことができたのだ。
 さて、その3年目の最終回「山鼻屯田兵村」を訪ねるでは、次のところを巡り歩いた。
 ① 山鼻屯田記念館
 ② 明治天皇御駐蹕(ごちゅうひつ)の地
 ③ お声掛かりの柏跡(その二世の若木)
 ④ 山鼻屯田兵村開設碑
 ⑤ 行啓通り
 ⑥ 山鼻神社
 山鼻屯田記念館は、(一財)山鼻記念碑保存資産が1988(昭和63)年に建設した3階建の建物で、1階は店舗として貸出、2階が資料室となっている。(3階の用途は不明)

   
   ※ 山鼻屯田記念館の担当者から説明を聴く「めだかの学校」の会員です。

 記念館では担当者から説明をいただいたが、ややあっさりとした説明でやや物足りなさも感じたが、資料としては当時の生活道具や開村当時の地図、西南戦争に赴いた資料など興味深い資料を見ることができた。

   
   ※ 山鼻屯田記念館の資料室の展示の一部です。

 問題はその後だった。というのも、琴似屯田兵村や野幌屯田兵村では、それらについて詳しく説明してくれる方がいたのだが、山鼻屯田兵村ではそうした方が見当たらなかった。
 窮余の策として、私が俄か勉強で取得した浅はかな知識を伝えることでお茶を濁すことにした。
 資料などから得た知識では通り一遍のことしか伝えられなかったきらいはあったが、それなりに会員の方々に伝えることができたかな?と自己評価している。
 面白いと思ったのは、「明治天皇御駐蹕の地」の碑は山鼻小学校のグランドと仕切られた金網の外側に建てられているのに対して、その目前にあったと思われる「お声掛かりの柏」の跡は金網の内側(つまり学校のグランド内の一角)に木片で円形に描かれて残されていたことだ。

   
   ※ 「明治天皇御駐蹕の地」の碑です。

 道路を隔てた「山鼻公園」内の中央付近に「山鼻屯田兵村開設碑」が建てられている。高さ6mの堂々たる石碑だった。そこから少し離れたところに「お声掛かりの柏」二世の若木が育っていた。「山鼻公園」で存在感を放っていたのはスズカケノキ(別名:プラタナス)の大木である。合せて3本ほどあったと思われるが、いずれも見上げるほどの大木で、屯田兵村開村以前から植わっていたものではないかとも思われるが、どうなのだろうか?

   
   ※ 「山鼻屯田兵村開設碑」の横の説明を見入る「めだかの学校」の会員です。

 「山鼻公園」から「行啓通り」を東方向に1キロほど行ったところに「山鼻神社」が祀られている「札幌護国神社」に向かった。「山鼻神社」そのものは現在「札幌護国神社」内の「多賀神社」に相殿されている。その「山鼻神社」の碑や祠は「札幌護国神社」内の「彰徳苑」という戦没者慰霊碑がたくさん立ち並ぶ奥の一角にひっそりと建てられていた。
 以上、予定していた史跡等を巡り歩き今回の学習を終えた。
 私たち「めだかの学校」では、これまでの3年間にわたる「さっぽろ古を訪ねて」の見学学習を終え、その成果を顧みることも必要ではないか、という声から来年度の企画として(仮題)「 “さっぽろの古を訪ねて” から学んだこと」の企画が進んでいる。私たちが棲む札幌のことをより深く知るというところに大きな意味があると思っている。



映画  グリーン 森を追われたオランウータン №379

2024-09-25 16:59:37 | 映画観賞・感想
 かなり衝撃的なドキュメンタリーである。一切のナレーション無しでインドネシアのスマトラ島に棲むオランウータンが森林伐採のために森を追われた悲劇を追うドキュメンタリーである。

       

 昨日(9月17日)午前、エルプラザで開催された「エルプラシネマ」に参加した。「エルプラシネマ」では主として環境問題に関連する映像資料を視聴するのだが、今回取り上げられたのがタイトルにもある「グリーン 森を追われたオランウータン」である。

  
  ※ 保護されたがぐったりとして横になるグリーン
    
 映画は、インドネシアのスマトラ島に棲むオランウータン。名前は保護した施設の職員が「グリーン」と名付けた。森を追われたグリーンは、目に生気がなく、ぐったりとベッドに体を横たえている。インドネシアではパーム油製造のため、森林伐採が進んでいてパーム油の原料となるアブラヤシを植えるために森林を切り倒しプランテーションを建設している。次第に衰弱していくグリーンの姿と共に現れるのは森林開発の様子である。チェンソーで木を次々となぎ倒し、森を燃やす人間たち…。その様子をナレーション無しで淡々と撮り続けたフィルムを私たちは見た。

  
  ※ 深い密林をブルドーザーで容赦なく樹々をなぎ倒しているシーンです。

 結局グリーンは救助した施設の職員たちの懸命の看護もむなしく亡くなってしまい、映画は終わる。その間、一切のナレーションが無かったのは、むしろ非常に効果的だった。一緒に映画に見入った人たちは一声も発することなく、それぞれの中でグリーンのこと、森林伐採のこと、あるいはパーム油の恩恵にあずかっている日々の生活のこと、等々をそれぞれの中で反芻していたに違いない。
 帰宅して「パーム油」について少し調べてみた。それによると、パーム油はアブラヤシの果実から得られる植物油である。そのパーム油は、食用油をはじめとして、マーガリン、ショートニング、石鹸などの原料として利用されているほか、近年ではバイオディーゼルエンジンや火力発電、バイオマス発電の燃料などとしても利用されているとのことで、世界で最も生産されている植物油だという。ということは、私たちの日常の生活にも深く関わっているということである。

  
  ※ 密林はこうして丸裸らされ、アブラヤシの農園へと変身していきました。

 スマトラ島の密林の中ではオランウータンばかりでなく、たくさんの種類の動物たちが生息しているところも映像は映し出していた。
 それらが生息している密林をブルドーザーがなぎ倒し、はては焼き尽くし、広大なアブラヤシの農園へと変貌していく。
 その様を見せつけられて、私は複雑な思いにとらわれざるを得なかった。私たちの生活を便利に、そして豊かにしてくれている「パーム油」を一様に否定することはできないという思いもある。しかし、無秩序に、あるいは生産第一のために自然界の動物たちを一様に犠牲にしている現実を顧みることもまた必要ではないか、という思いもある。
 自然との共生……、むずしい問題ではあるが、どこかで私たちは人間第一の思想からの脱却を進めねばならない時期に来ているのではないだろうか、という思いを抱かせてくれた映画「グリーン」だった…。

月寒高校マンドリン部定期演奏会 2024

2024-09-24 18:40:44 | ステージ & エンターテイメント
 今年もまた高校生33名が奏でるマンドリンの調べを堪能した。技術的には未熟なところも垣間見えるが、高校生が繊細な楽器マンドリンに取り組むという姿勢に私はエールを贈りたいと思った。

     

 9月23日(月・祝)午後、かでるホールで第34回月寒高校マンドリン部定期演奏会が開催されると知って駆け付けた。同校マンドリン部の定期演奏会を聴くのは昨年に引き続いてである。そのため昨年と同じタイトルにしたのだが末尾に2024と入れることにした。

   
   ※ 月寒高校マンドリン部全34名による演奏風景です。

 高校生のマンドリン部というと珍しい存在である。月寒高校は北海道において唯一マンドリン部を設置して活動しているクラブと聞いている。高校年代というと、ブラスバンドとか、電気的に増幅された大音量で演奏することを好む高校生が多い中、繊細な音を追求するという姿勢に拍手を贈りたいと思う。
 そうした姿勢に共感を覚える人も多いようだ。この日も前年同様キャパ521名のかでるホールの約8割は埋められていたように思われる。

   
   ※ 「やはり」といおうか、女性部員が目立ちますね。

 この日演奏された曲目は以下のとおりである。
《第1部 オリジナル曲ステージ》
 ◇津田甫/札幌月寒高等学校校歌
 ◇中崎智大/夜空への回想曲Ⅰ~冬空の帰り道~
 ◇森安浩司/最後のダンス~アヴィニョンに眠る君へ
 ◇武藤理恵/華・Japanesque
《第2部 ポピュラー音楽ステージ》
 ◇藤原聡/P.ノーダクト
 ◇星野源/SUN
 ◇Vaundy/怪獣の花唄
 ◇弦哲也/天城越え
 ◇武藤理恵/コバルトブルーの奇跡~旅立つ君へ~ (卒業演奏)
※ アンコール曲 米津玄師/カイト

 演奏された曲の大半は私には初耳の曲ばかりであった。だから演奏の巧拙を評することは私にはできない。しかし、高校生たちは懸命に楽譜を追っていることが伝わってきた。おそらく大半の生徒は高校に入ってから初めて手にした楽器だったのではないだろうか?だからベテランの奏者たちと比較するのは酷である。
 ただ、ちょっと気になった部分もあったのは事実である。それは若者らしい溌溂さのようなものをもっと感じたかったなぁ、という思いである。楽譜を懸命に追うあまり、やや硬くなっていたのでは、という感じが私には伝わってきた。いいじゃないか!多少躓いても…、若者らしく 音を奏でる楽しさを前面に出して、音楽を心から楽しんでいる表情を私は感じたいんだよ!

    
    ※ 3年生部員6名による卒業演奏の様子です。

 最後の3年生部員6人で演奏した「コバルトブルーの奇跡~旅立つ君へ~」の演奏後のキャプテンの挨拶が感動を呼んだ。3年生部員は例年に比べて少ない人数だった。その少ない人数で部をリードすることが大変だったようだ。その大変だった日々が蘇ったのだろう。涙で用意していた挨拶ができなくなるハプニングに会場は感動に包まれた。一度しかない高校生時代を、勉学と部活動の両立に苦闘した日々が偲ばれ、多くの人たちの涙を誘った瞬間だった。

    
    ※ 感動を呼んだ3年生キャプテンの挨拶の様子です。

 また来年の感動をいただきに月寒高校マンドリン部定期演奏会に足を運びたいと思った。
※ この種のコンサートとしては珍しく写真撮影が許された。そのうち数枚を掲載することにした。

陰謀論・フェイクニュースとどう向き合うのか

2024-09-23 19:19:46 | 講演・講義・フォーラム等
 スマホをはじめとしたインターネットの普及は、様々な言説が飛び交うようになり “何が真実か” が見えにくくなってしまった。こうした現実に問いを発した中央大学学術講演会は私にとっては難解なところもあったが、非常に興味深いものだった。

   

 9月20日(金)午後、北海道経済センターホールにおいて、中央大学学術講演会があり出席させてもらった。
 講演は、中央大学法学部の教授で、副学長も務められている橋本基弘氏「陰謀論・フェイクニュースとどう向き合うのか~陰謀論の時代と表現の自由~」と題して講演された。
 この問題は、個人への誹謗中傷とか、有名人への根拠のない批判とかいうレベルにとどまらず、政治の世界や国家間のレベルでも問題とされる事象が多発している。このようなセンシティブな問題を90分間にわたって語られたのだが、そのことを正確にまとめる力など私にはない。あくまで私がお話を聴いて感じたことをレポしたに過ぎないことをお断りしておく。
 まず「陰謀論」についてだが、これは実際に起きた、あるいは起きている事実の背景には、少数の有力な者がいて、これらの者がその事実を起こしているという物語を創り出してしまうことを指すという。例えば、自分が今不幸なのは、陰にいる者の陰謀があるからだと言いふらすこと、だという。
具体的な例では、前回の米大統領選挙において落選したトランプ前大統領は、「自分が落選したのは、選挙の開票作業において不正が行われたからだ」と根拠のない主張を繰り返したことにより、トランプ支持者が「ホワイトハウス襲撃事件」を起こしてしまったのは、まさにそこに陰謀論が働いた例であるという。
 橋本氏は陰謀論の横行が次のような事態を引き起こすと悲観した。
 ① 陰謀論は、社会の分断を加速させ、修復不可能な状態まで追い込んでいく。
 ② 陰謀論は、スケープゴートを生み出し、民族浄化や反対者の粛清、大量殺戮を生み出す。
 ③ 陰謀論は、人々を疑心暗鬼にさせ、社会不安を増大させ、最終的には人権の否定に繋がる。
 ④ 陰謀論は、民主社会に不可欠な合理精神(証拠に基づく推論、反証による検証など)を否定し、市民相互の理解(コミュニケーション)の可能性を否定する。

    
 一方、「フェイクニュース」には二つの種類があると橋本氏は云う。
一つは、見るからに誤りであると分かる情報、あるいは結果としてその誤った情報を受け入れるように導く情報、があるという。これを「誤情報」というそうだ。
 もう一つは、人をあざむく意図をもって、作られ、拡散される情報があるという。これを「偽情報」と呼ぶ。
 フェイクニュースには、「誤情報」と「偽情報」のどちらかを含んでいるのだが、時には「誤情報」が意図的に拡散されることにより「偽情報」に変化することもあるという。
 今の社会には、こうした陰謀論・フェイクニュースが横溢している社会だとも云えるようだ。そうした中、生成AIの登場によって、フェイクなのか、真実なのかの見分けがますます難しくなってきている現実もある。
 こうした陰謀論やフェイクニュースが社会をますます混乱させている現状にあるのだが、こうした現状に対して橋本氏は最後に現時点でのまとめとして次のように提示してくれた。
 ① 陰謀論、フェイクニュースの問題は、近代立憲主義そのものを問い直す難問である。
 ② 公私二分論、不法行為法、民主主義の維持における国家の役割など、これまでのリベラルな憲法思想では対応できない難問が幾重にも積み重なっている。
 ③ 表現の自由理論も大幅な修正を求められている。
 ④ プラットフォーム(GAFAなど)をどう位置づけるかの検討はまだ緒に就いたばかりである。
 ⑤ 21世紀に入り、まったく新しい対応策が求められている。

 う~ん、難しい問題である。私たちはこれまでにはなかった新たな機器や、仕組みが登場するたびに、それを享受し続けてきたが、その裏にはこれまでには考えられなかった不都合なこと、新たな脅威が出現していることも常に意識していかねばならないということを改めて教えられた思いである。それにしても近代立憲主義を最上のものと考えてきた私たち人類は、こうした問題をどのように改善、改革しようとしているのだろうか?私たち一人ひとりにも課せられた課題でもあるのだが…。