女人禁制の島として知られる「沖ノ島」を含む関連遺産が2017年世界文化遺産に登録された。日本の世界遺産を学ぶ「めだかの学校」では、この度「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」に関するDVDを鑑賞し、その神秘性に迫った。
※ 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の中核的存在の沖ノ島全景です。周囲4キロということです。
私が所属する「めだかの学校」の8月第1月曜日の講座は「日本の世界遺産」をDVDで学ぶ講座だった。(月の内もう一回は野外講座を行っている)
この回の対象は、「ル・コルビュジェの建築作品」と前述した「沖ノ島」に関連するDVDの鑑賞だった。ル・コルビュジェについては、東京にある西洋美術館が彼の手による設計・建築ということだが、世界遺産となった対象の多くは海外の建築物ということで、彼の作品に論及することは割愛する。
さて、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の概要について簡略に説明している文章を見つけたので、それを紹介する。
沖ノ島は九州と朝鮮半島の間に位置し、島全体が信仰の対象とされる。4~9世紀、朝鮮半島や中国大陸との交流成就や、航海の安全を祈る大規模な祭祀が行われた。この変遷を示す考古遺跡が、ほぼ手付かずの状態で残されていた。
島では朝鮮半島からの金製指輪やペルシャ(イラン)からシルクロードを通じてもたらされたと考えられるカットグラスわん片など約8万点の奉献品が出土。全て国宝に指定され、「海の正倉院」とも呼ばれる。小屋島、御門柱、天狗岳の3岩礁は、沖ノ島の鳥居の役割を果たしている。
※ 三つの宮、そして韓国・釜山の位置関係を示す図です。
この「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は多くの構成遺産とその位置関係が複雑なので、ここで整理してみたい。
まず、この世界遺産の中核をなす「沖ノ島」である。沖ノ島は九州本土から約60キロの海上にある周囲約4キロの島である。島は宗像大社の神領(御神体島)として「沖津宮」が鎮座する。沖ノ島の周囲には鳥居の役目をしている小屋島、御門柱、天狗岳の岩礁が取り囲んでいる。
※ 沖ノ島に鎮座する「沖津宮」の拝殿です。
続いて、宗像市神湊港から約6.5キロ沖合には「筑前大島」がある。ここには宗像大社「中津宮」が鎮座するとともに、「沖津宮遥拝所」がある。島は「神守る島」とも称されているそうだ。
※ 筑前渡島にある「中津宮」の拝殿です。
そして九州本土・宗像市田島にある宗像大社「辺津宮」である。実質的にこの辺津宮が本宮的存在である。
※ 宗像市田島にある「辺津宮」の拝殿です。
この「辺津宮」から「中津宮」、「沖津宮」を一直線に結んだ145キロ沖合には韓国釜山があるという。そうしたことからも4~9世紀において中国大陸との交易にあたって航海の安全を祈願する宗像大社の存在感が大きかったことが想像される。
関連遺産には、さらに宗像市の隣にあたる福津市にある「新原・奴山古墳群」も含まれている。
とまあ、その構成遺産、そしてその位置関係だけ把握するだけでも大変である。
DVDにおいては、特に沖ノ島におけるおびただしい遺品の数々、あるいは女人や一般人の入島を禁止する措置により、その神秘性が強調され興味をそそられた。しかし、神の世界のお話は難しい…。