ヒトリシズカのつぶやき特論

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日本経済新聞紙の見出し「日産、車向け電池撤退 中国勢と売却交渉」を拝読しました

2016年08月07日 | 日記
 2016年8月6日に発行された日本経済新聞紙の朝刊一面に掲載された見出し「日産、車向け電池撤退 中国勢と売却交渉」を拝読しました。

 日産自動車は電気自動車(EV)向けなどの車載用電池事業から撤退すると報じています。NECとの共同出資した電池事業子会社を売却する方針を固め、国内の電池メーカーや、複数の中国メーカーと交渉に入ったそうです。

 日産自動車は自前で生産するよりも、電池専業メーカーから車載用電池を調達したほうが電気自動車などの車両価格の引き下げにつながると判断したと背景を解説します。

 日本経済新聞紙のWEb版である日本経済新聞 電子版でも見出し「日産、車向け電池撤退 中国勢と売却交渉」と伝えています。



 今回、売却する企業は、日産自動車が電気自動車「リーフ」などを開発し販売する準備として、2007年にNECと共同で、車載用のリチウムイオン2次電池を製造する事業会社として設立したオートモーティブエナジーサプライ(AESC、神奈川県座間市)です。

 日産自動車が力を入れている電気自動車事業の核心を握る車載用電池を安定して調達する目的で設立され、製造を任されてた戦略子会社です。この当時は、日産自動車と関係が深かった日立製作所傘下の日立マクセルと組まなかったことが話題になりました。

 同社は、日産自動車が51パーセントを、NECが42パーセント、NECエナジーデバイスが7パーセントを出資して設立した合弁会社です。

 同社は車載向けリチウムイオン2次電池の事業を担当し、2016年3月期の売上高は366億円だったそうです。

 日産自動車は、このリチウムイオン2次電池事業を自ら強力にコントロールしようとしましたが、その間に車載用電池の企業も登場しました。電池専業メーカーのGSユアサは、本田技研工業(ホンダ)と共同でブルーエナジー(京都府福知山市)を設立しました。同様に、GSユアサは、三菱自動車と三菱商事と共同で、リチウムエナジージャパン(滋賀県栗東市)を設立し、供給を受けています。

 この記事によれば、日産自動車は国内の電池専業メーカー数社や中国の企業を対象に、売却条件を2016年内をメドに交渉する予定です。

 興味深いのは、トヨタ自動車はハイブリット車向けの車載用ニッケル水素2次電池を安定して供給を受けるために、パナソニックと共同でプライスアースEVエナジーを設立しました。こちらは、現在ではトヨタ自動車が80.5パーセントを出資し、主導権をとっています。

 トヨタ自動車のハイブリット車の販売実績が好調なことを反映したものです。

 偶然ですが、この一面記事の横に配置された解説コラムでは、米国では自動車のドアやエンジンなどの主要アッセンブリー品を受託し供給してきたアンドロイド・インダストリー(ミシガン州)が電気自動車向けの生産受託事業に乗り出すと伝えています。

 パソコンや家電製品で一般化した生産受託サービス(EMS)事業の対象が自動車にまで及び始めるようです。

 世界市場で激しく競合する自動車市場で、その専業メーカーというフレームワークが崩れる兆しをみせています。

 日産自動車は車生産専業に人材などの資源を集中する姿勢ですが、その結果はいくらか経つと見えそうです。