ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

さいたま市の見沼自然公園で、黄色い羽根のマヒワの群れに遭遇しました

2013年02月27日 | 季節の移ろい
 さいたま市緑区にある見沼自然公園に立ち寄った際に、マヒワの群れに出会いました。広大な見沼田圃(たんぼ)の中でも、見沼自然公園は自然豊かな公園です。

 オナガカモなどのカモ類が多数いる大きな池を周回していると、野鳥観察の方の数人が息をひそめて、何かを観察しています。何を観察しているのかを伺うと「マヒワの群れが来ている」と教えてただきました。

 10数羽のマヒワの群れが木々の根元の地面に降りて、食べ物を探しています。野鳥観察のある方が「あの小さなサクラの木に留まってくれると、絵になるのに」とつぶやいた後に、マヒワの群れはこのリクエストに答えるように、何かの拍子に地面から飛び上がり、小さなサクラの木の枝に留まりました。





 蕾をほんの少し膨らませ始めたサクラの木の枝に留まったマヒワの群れは、それぞれのマヒワがいくらか距離を置いて、枝に留まっています。日の当たり方がよいために、黄色い羽根がよくみえます。





 野鳥観察の方によると、先程までは、マヒワの群れは地面から飛び上がると、別の背の高い木の枝に留まるために、日当たりが悪く、観察しにくかったそうです。

 冬鳥のマヒワは4月ごろの春になると、日本を離れて中国の東北部やソ連のシベリアなどに向かいます。

 サクラの木の枝に留まったマヒワの群れの観察を堪能した後に、池の周りを一周しました。すると、少し離れた雑木林の所に、先ほどのマヒワの群れが飛んできて、頭上の枝先に留まりました。少し経つと、地面に降りて、食べ物を探しています。



 食べ物を探す地面を変えたようです。日本から旅立つために、体力をつけようと、エサをあちこちで探して食べ続けているようです。

 3月下旬に、佐久荒船高原の麓にある山里の田圃付近では、マヒワの大群を見かけることが増えます。今回のように、近距離でマヒワの群れを観察したのは初めてです。春になったら、無事に旅立ってほしいと思いました。

グリーン・イノベーションフォーラムでは、事業プロモーター活動の話を伺いました

2013年02月26日 | 汗をかく実務者
 日本政策投資銀行系のベンチャーキャピタル(VC)のDBJキャピタル(東京都千代田区)が開催した「グリーン・イノベーションフォーラム」を拝聴した話の続きです。

 昨日(2023年2月25日編)に掲載した「グリーン・イノベーションフォーラム」の内容を伝えるWebサイトの表紙では、「文部科学省 大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)」の文字が、上部に表記されています。



 文部科学省は、平成24年度(2012年度)から始めた新事業の大学発新産業創出拠点プロジェクト(通称、START事業)の中で、DBJキャピタルの取締役投資部長の山口泰久さんを、大学発新産業創出拠点プロジェクトの研究開発プロジェクトをマネジメントする“事業プロモーター”の一人に選んでいます、

 文部科学省は平成24年度には事業プロモーターを合計7人選び、研究開発プロジェクトのマネジメントを委託しています。選ばれた事業プロモーターは7人そろって、ベンチャーキャピタリストです。山口さんは、日本で初めて本格的な知的財産ファンドを立ち上げ、運営した実力者です。



 画像の向かって右側の方が山口さんです。その左側の人は京都府立大学教授の石井さんです。

 ここ10数年間ほど、文部科学省などの行政機関は大学や公的研究機関の優れた研究成果を基に、その事業化を図る産学連携プロジェクトを強力に推進してきました。それなりの予算をつけ、投資してきました。しかし、あまり成果が上がっていないとの評価が下されています。

 このため、各研究成果を基にした産学連携プロジェクトの事業化戦略・ビジネスプランづくりをマネジメントする役目の事業プロモーター制度を設け、事業プロモーターを選び出し、役目を委託しました。

 山口さんは、昨年から研究開発プロジェクトを5件、マネジメントしています。「DBJキャピタル・グリーンイノベーションフォーラム」では、5件の内の4件の研究開発プロジェクトの事業化を目指す開発態勢や事業計画など(“プレベンチャー”と呼ぶ)を解説しました。

 解説された4つの研究開発プロジェクトは、九州大学大学院の浜本芳徳准教授の「スマートエネルギー利用植物工場」、横浜市立大学大学院の城武昇一准教授の「生分解性抗菌ナノ粒子による農業用抗菌剤の研究開発」、九州工業大学大学院の西田治男教授の「未利用バイオマスからの高性能コンポジット開発」、京都府立大学大学院の石井孝昭教授の「菌根菌(きんこんきん)とそのパートナー細菌を活用した食料増産技術の研究開発」です。

 京都府立大学教授の石井さんは、アーバスキュラー菌根菌とそのパートナー細菌、その細菌などの増殖を助ける“パートナー植物”を活用する有機農法の事業化について解説しました。

 菌根菌は、土壌中に張り巡らした菌糸から、リン酸や窒素などを吸収して“宿主植物”に提供する菌です。マツタケを育てる“マツタケ菌”も菌根菌の一種と解釈されています。菌根菌が宿主植物”にリン酸や窒素などを提供する代わりに、エネルギー源として共生相手の植物から炭素化合物をもらって、菌根菌自身が成長するという共生関係を保ちます。多くの菌根菌は共生植物に対して成長促進効果を持つと考えられています。

 京都府立大学教授の石井さんは、アフリカのルワンダでマカダミアナッツの栽培と加工工場の事業化を進めたり、インドネシアでゴマ栽培の事業化を進めているそうです。アーバスキュラー菌根菌とそのパートナー細菌やパートナー植物などの研究成果を活かして土壌改良を行っているそうです。この結果、肥料と農薬の量を減らし、安心・安全な食糧増産技術の確立を図っているそうです。

 今後は、京都府立大学発ベンチャー企業を設立し、アーバスキュラー菌根菌とそのパートナー細菌やパートナー植物などの研究成果を基にした技術移転による技術指導のライセンス料を得る仕組みの事業を確立する計画だそうです。

 「農業作物のトレーサビリティー技術を確立し、栽培品の高付加価値化を図る事業モデルを目指したい」と説明されました。ルワンダとインドネシアでの事業成果を基に、他国へも水平展開し、対象作物を増やしていく予定だそうです。当然、日本国内にも水平展開するようです。

政策投資銀行系VCが開催したグリーン・イノベーションフォーラムを拝聴しました

2013年02月25日 | イノベーション
 日本政策投資銀行系のベンチャーキャピタル(VC)のDBJキャピタル(東京都千代田区)が開催した「グリーン・イノベーションフォーラム」を拝聴しました。東京都千代田区大手町の日本政策投資銀行が入居している、割と最近できたビルで開催されました。

 「グリーンイノベーションフォーラム」の主題は、日本の農業でイノベーションを起こして国際的な競争力を高めることです。



 つい最近、安倍晋三首相が訪米し、オバマ大統領とTPP(環太平洋戦略的経済連携協定について原則を議論した直後で、日本側は日本の農業をどう守り、事業性を向上させるかを議論している最中です。この点で、今回のフォーラムはタイミング良く開催されたものといえます。

 今回のフォーラムの基調講演の一つは「植物工場によるグリーン・イノベーション戦略を考える」です。講演者は、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(NARO、つくば市)の上席研究員の中野明正さんです。

 高度な環境制御によって、野菜などを計画生産できる“植物工場”を基に、工場的な生産を可能にし、季節や天候に左右されずに安定供給することを目指すそうです。従来の温室ではなく、人工光・太陽光などや二酸化炭素ガス(CO2)温度、湿度などをそれぞれ高度に制御するシステムを導入したものを“植物工場”と呼ぶそうです。光合成などを盛んにする仕掛けなどです。

 この“植物工場”は、日本では三回目のブームだそうです。第一回目と第二回目の植物工場ブームの問題点はなんだったのかは、実は講演内容からはあまり分かりませんでした。

 中野さんは、具体的にはトマトの植物工場の実施例・未来予想図を基に解説されました。日本のトマトの植物工場(準じるものも入っている模様)は中規模生産施設が中心で、規模が1ヘクタール以上の大規模生産施設が少ないのが現状だそうです。

 今後は、国土は狭いが農業品の収量が高く、高い国際競争力を持つオランダを目標に、日本の農業の国際競争力を高め、“儲かる”農業を実現することが、日本の未来の農業を救うと主張されます。

 農業・食品産業技術総合研究機構が実施した“植物工場実証拠点”のプロジェクトでは、トマトやキュウリ、パプリカなどの野菜を対象に、養液栽培での生産性を高め、作業環境も快適化し、作業の自動化を図るなどの実証試験を実施したそうです。ユビキタス環境制御システムを導入してるそうです。このシステムでは作業者や作物情報も、安全・安心を高めるために発信しているそうです。



 トマト栽培では、CO2(2酸化炭素)ガスを供給し、加湿などの温度・湿度制御を施すことで、生産量を増やすことに成功しているそうです。

 “植物工場実証拠点”での実証成果から、環境制御する植物工場を普及させることで、多収穫・高品質(高糖度)を実現できると解説sします。

 講演では、農業分野の専門用語などが多く、何がイノベーションなのか、そのビジネスモデルは何かなどは、ある意味では当たり前として解説されたために、ビジネスモデルの具体像はよく分かりませんでした。ただし、農業先進国のオランダでできたことを、日本でも実施、普及させることで、日本の農業を成立させたいとの主張は印象に残りました。

 農業の専門家が、日本の農業でのイノベーションを素人にも分かりやすく説明しないと、食べ手である消費者の共感は得にくいとも感じました。

 中野さんは、日本の未来の農業のあり方を植物工業によるイノベーションによって未来像を解説されました。こうした議論を深めていかないと、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についての実質的な議論が進まないと感じました。日本農業のイノベーションについて分かりやすく解説し、ユーザー(消費者)の共感を得ないと、前進しないと感じました。

長野県佐久市の佐久荒船高原の草原部は雪に覆われ厳寒期が続きます

2013年02月24日 | 佐久荒船高原便り
 長野県佐久市の東側に位置する佐久荒船高原は、今年の厳しい寒さによって草原部分は雪に覆われ、厳寒期の様相です。例年よりも、積もった雪の量がいくらか多いようです。

 毎年9月に、一面がコスモスの花で埋め尽くされる草原部分は、雪に覆われ白い平原になっています。



 今年の寒さが厳しいために、積もった雪はまったく融けないようです。地面が出ている個所がないために、野鳥の声が聞こえません。野鳥は、枯れた野草の種などを採取できないようで、山里などに降りているようです。

 雑木林の木々の間は、積雪量が20から30センチメートルぐらいです。その積もった雪には、ウサギの足跡があちこちに残っています。



 シカの足跡も少しありました。

 佐久荒船高原の南にそびえる荒船山(標高1423メートル)も、艫岩(ともいわ)とその下側部分には雪が張りついています。





 午後3時近くの西日に照らされて、荒船山の北面が明るくなっています。

 3月下旬までは、標高1100メートルから1200メートルの佐久荒船高原は雪に覆われ続けて、静かさを保ちそうです。厳冬期から初春に変わるのは、4月初めごろです。

CYBERDYNEが担当した災害対策用作業アシストロボットも公開されました

2013年02月23日 | イノベーション
 経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、2013年2月20日午後に「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」の成果報告会を千葉工業大学の芝園キャンパスで開催した話の続きです。

 “災害対応”とは、事実上は東京電力の福島第一原子力発電所の原発事故の解体・廃炉などの作業向けに、多様なロボット技術を開発し、必要な要素技術を整えることだと推定しています。

 「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」で開発は、平成24年度の約1年間に約10億円投入された“緊急のプロジェクト”です。参加した組織・機関は、千葉工業大学、千葉工業大学発ベンチャー企業の移動ロボット研究所(千葉県習志野市)、三菱重工業、日立製作所、東芝、筑波大学発ベンチャー企業のCYBERDYNE(つくば市)の6者です。

 この中で、異色なのはCYBERDYNEが担当した「災害対策用作業アシストロボット」の開発です。福島第一原子力発電所の事故現場では、有害物質や高温多湿などの極限環境の中で、ロボットだけではなく“人間”も過酷な復旧作業をする可能性が高まっています。

 こうした事故現場の周辺部で復旧作業をする作業員の安全や健康を確保することが必要条件になっています。この課題を解決するために、CYBERDYNEは同社が持つロボットスーツHALを基に、新型の災害対応用ロボットスーツを開発しました。







 災害対応用ロボットスーツは、放射線による被曝量を大幅に低減させるために、タングステンなどの防護服によって、ガンマー線の被曝線量を半分程度まで低減させる被爆防止を付け加えました。



 災害対応用ロボットスーツを“着た”作業員の防護服内に冷気を直接送風することによって、作業者の体温上昇を抑えて熱中症を防ぐクーリングシステムを付加しました。

 災害対応用ロボットスーツを“着た”作業員の胸にバイタルセンサーを取り付け、心拍数、体温、加速度のバイタル情報をリアルタイムにモニタリングできる安全管理機能を付加したそうです。

 話は、三菱重工業、日立製作所、東芝の3者に戻ります。今回の災害対応無人化システムでは通信規格などを共通化し、互いに開発した要素技術を互いに使えるシステムとしての基盤技術を築いたそうです。三菱重工業、日立製作所、東芝の3者は、今後は原子力発電所の解体や廃炉という共通の目的で連携し協力していく構えの表れです。

 さらに、今回の災害対応無人化システムの開発は、各社の原子力事業部がすべて担ったそうです。他の事業部の支援は原則、受けていないそうです。この辺に、大手重工メーカーの人材の豊富さを感じると同時に、事業部が事実上の“会社”単位になっており、大手重工メーカー自身が全事業部を横断的にまとめ上げることはできないと感じました。

 これが将来、強みになるのか弱みになるのかはまだ判断できません。日本的な大企業体質であることは間違いありません。