ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

東京電力は高温超伝導材料製線材の電導ケーブルの実証実験を始めました

2012年10月31日 | イノベーション
 2012年10月29日午後に 東京電力と住友電気工業、前川製作所は、高温超材料を利用した電導ケーブルを実際の系統電力に、日本で初めて接続する実証試験を始めました。

 液体窒素を約マイナス210度(摂氏)に冷却し、その液体窒素で超伝導線を冷やすと、電気抵抗がゼロになり、効率良く電気を送ることができることを実証する試験です。米国や欧州、韓国などが高温超伝導材料製線材を利用した電導ケーブルの実用化を図る動きに負けないように、日本でも始めるようです。

 この実証試験は、東京電力の旭変電所(横浜市)で、発電所から送電される高電圧の電力を中間の電圧に変圧する三つの変圧設備の一つを改修して試験します。その対象となる変圧設備です。



 手前から伸びるオレンジ色のケーブルが高温超伝導材料製線材が使われている電導ケーブルです。

 変電所に敷設された高温超伝導材料製線材の電導ケーブルが地表に出ている部分です。



 今後、1年間にわたって実運用で連続使用し、高温超伝導材料製線材の電導ケーブルの運用性や信頼性、安全性などを検証するそうです。

 高温超伝導材料製線材の電導ケーブルは、住友電工が作製したビスマス(Bi)系高温超電導線「DI-BSCCO」を適用しています。高温超伝導ケーブルを3本、一つの断熱管の中に収納した「三心一括型超電導ケーブル」として利用しています。



 ステンレス鋼製の“魔法瓶”構造の二重断熱管の中に、高温超伝導材利用のケーブルを配置しています。ケーブルの中を、液体窒素を流して強力に冷却しています。

 液体窒素は変電所内に設置された、6台の冷凍機で極低温に冷却され、ポンプで加圧されてケーブル内に押し出されます。

 この実証試験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」において実施されます。実証試験開始にあたって、実証試験開始のセレモニーが行われ、東京電力などの企業3社の役員と、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構の幹部が、テープカットしました。

 そのテープカットのセレモニーが終わって、壇上から降りる役員と幹部の方々です。



 実証試験開始のテープカットのセレモニーを取材する報道機関の方々です。



 高温超伝導材料製線材の電導ケーブルの利点は電力損失が少なく、細い線で大電力を送電できることにあるそうです。現在、前川製作所が開発中の高効率な冷凍機を用いれば、超電導送電による損失は、従来の銅線を用いた送電に比べて約50%まで低減できる見込みだそうです。

 高温超伝導材料製線材の電導ケーブルは2020年をメドに実用化する計画です。この場合には、電線敷設の建設費を「トンネル工事を含めた従来の建設費の半分にしたい」そうです。

埼玉県さいたま市中央区の与野公園は、秋のバラの花が咲いています

2012年10月30日 | 季節の移ろい
 埼玉県さいたま市中央区の与野公園は、森の中のバラ園が売り物の公園です。さいたま市に合併される前の与野市を代表する公園でした。

 秋バラの開花は少し過ぎて、秋バラの開花の終了間近という感じになっています。



 バラ園の背景にある針葉樹や落葉樹などが植えられている森は紅葉を始めています。

 大きなオレンジ糸のバラは「アシュラム」です。ドイツで改良されたバラだそうです。





 深紅の花を咲かせているのは「イプピアッチエ」です。フランスで改良されたバラだそうです。



 大きな白い花のバラは日本で改良された品種だそうです。



 白い色で縁にピンク色が入っている花は「プリンセス ドゥ モナコ」です。フランスで改良された品種です。



 もうしばらくすると、バラは休眠し、来年春の開花のために、準備を始めます。春夏秋冬の季節の移ろいの速さに驚かさせられます。
 

一橋大学教授の米倉誠一郎さんの“快刀乱麻”の解説の講演を拝聴しました

2012年10月28日 | イノベーション
 一橋大学イノベーション研究センター教授の米倉誠一郎さんの「日本の競争力の強化のために」という講演を拝聴しました。

 研究・技術計画学会が開催した公開シンポジウム「日本の競争力強化のためのイノベーションの実現に向けて」の中で、基調講演として講演されました。



 登壇すると、元気な声でお話を始めました。偶然、一橋大学本館で「犯罪学会も講演会を開催しており、最初は間違えて行ってしまった」と笑わせます。最初に映し出された講演タイトルは「創発的破壊」となっており、事前に公表されたものとは違っていました。





 「現在、日本の市場は消費層の中心である団塊の世代が60歳を超え、相当数がリタイアし始め、購入意欲を減らし、日本の市場が小さくなっている」と、現在、日本の電機メーカーが事業収益を落とし、事業赤字が増えている理由を説明します。

 以下は、米倉さんの解説です。「日本は戦後の1947年当時の特殊出生率(大まかには、女性1人が産む子供の数)は4.54人と多数の子供が産まれていた。この結果、戦後数年間に子供が多数生まれて団塊の世代が形成された。1973年当時でも、特殊出生率は2.14人と2人を超えていて、人口は増えていた。この結果、日本の高度成長期には、多くの家庭がテレビ・洗濯機・冷蔵庫の“家電・三種の神器”や車を購入し、日本の市場は成長し、電機メーカーや自動車メーカーは成長した」のです。

 ところが、「1996年になると日本の特殊出生率は1.42人と大幅に減少し、日本の市場は小さくなった。日本市場は少子高齢化によって収縮し始めているにもかかわらず、2000年以降も、日本の電機メーカーは市場が収縮している日本市場向けに製品を投入し続け、販売先を見誤った」と解説します。

 「日本は貿易立国と考えている人は多いが、輸出比率データを調べると、あまり高くなく、国内マーケット重視で事業化を進めてきた。2000年以降の日本の携帯電話機(通称“ガラケイ”)は国内市場向けに開発され、販売されてきた。世界市場でみれば、日本の全メーカーの携帯電話機のシェアはわずか約3%弱しかなかった」そうです。この時点で、日本国内ではなく海外市場、時に人口が増え、市場が成長している中国やインドなどのBRIC'sなどの成長市場向けに参入することが大事だった」そうです。このことから、2000年ぐらいから、日本の電機メーカーは事業収益を高めるためにリストラを本格化したために、実は付加価値率を下げていったと分析します。

 「日本が復活するには、ある程度の内需、優秀な労働力、高い教育・集団行動力を持っているので、成長市場向けのユーザーが求める製品を開発するイノベーションを起こすことが必要になる」と説明されます。

 以下、発言内容を簡潔にたどると「日本はICT(情報通信技術)やセンサー、省エネ設計、ビッグデータなどを生かして、成長市場のユーザーが求めている製品を投入する。供給サイドと需要サイドの両方でダブル・イノベーションを起こすことで、日本は再起できるだろう」といいます。話は飛んで、将来の日本は「分権化された都市国家になるだろう」と予言します。

 講演の中で、海外に行って日本の実情に詳しい方に「日本はイノベーションを起こすリーダーはいるのか」と質問されると、「毎年、首相を変えるぐらいリーダー人材はいると答える」とのジョークを飛ばし、「欧米に比べて、日本は女性を活用していない」との指摘に対しては、「日本は今後の切り札して、優秀な女性人材をとってある」とジョークで返しているそうです。

 米倉誠一郎さんは才気あふれる方でした。
 

東京都国立市の一橋大学キャンパスは赤レンガ色の建物が魅力的な場所でした

2012年10月27日 | 季節の移ろい
 東京都国立市にある一橋大学の西キャンパスは、赤レンガ色の大学らしい雰囲気の建物が並ぶ、由緒を感じさせるものでした。

 西キャンパスの正門から入って少し進むと、レンガ造りの兼松講堂の建物があります。なかなか雰囲気のある建物です。


 
 進んで俵型のロータリーを回ると、やはり歴史を感じさせる本堂が立っています。



 本堂の中の各教室もかなり由緒あるものです。本堂は奥に深い構造の建屋です。

 俵型のロータリーの先には噴水と俵型の池があり、その奥に附属図書館が建っています。塔が由緒を感じさせます。



 一橋大学の西キャンパスはあちこちに花を植えたコンテナや花壇があり、由緒ある大学らしいキャンパスの雰囲気を醸し出しています。インパチェイスの花やベコニアの花がきれいに咲いています。





 JR中央線の国立駅から南側にまっすぐ幅広い道路が伸びており、両側に街路樹と緑道などが配置され、いい外観をみせています。学園都市という雰囲気が漂っています。

大学発新産業創出拠点プロジェクという新政策について拝聴しました

2012年10月26日 | イノベーション
 文部科学省は今年度から始めた大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)のキックオフミーティングとしてシンポジウムを最近、東京都文京区で開催しました。

 大学発新産業創出拠点プロジェクトは、日本でイノベーションを起こし、新産業を振興させるのが狙いです。日本の大学や公的研究機関(研究機関系の独立行政法人)などの研究成果の中から、ベンチャー企業創業という手段によって事業化する研究開発プロジェクトを27件採用しました。

 その27件の研究開発プロジェクトは、例えば、早稲田大学大学院情報生産システム研究科教授の後藤敏さんが研究代表者を務める「次世代ハイビジョン用画像デコーダLSIの事業化」です。この研究開発プロジェクトはウエルインベストメント(東京都新宿区)というベンチャーキャピタル(VC)の瀧口匡代表取締役の事業プロモーターチームが事業化を支援します。

 大学発新産業創出拠点プロジェクトの特徴は、ベンチャーキャピタルの専門チームが研究開発プロジェクトの事業化を具体的にあれこれ支援する“ハンズオン”支援をすることです。数年後にベンチャー企業の創業に成功した場合は、その支援したベンチャーキャピタルがさらに投資し、そのベンチャー企業の成長を支援します。



 このため、大学発新産業創出拠点プロジェクトでは、「プロジェクト支援型」として研究開発プロジェクトと事業プロモーターチームの組み合わせを公募し、文科省が組織した推進委員会が、審査して採用する工夫をこらしています。

 研究開発プロジェクトの研究代表者は、研究開発プロジェクトの申請時に、7チーム用意された事業プロモーターチームを指名して申請します(具体的には、特定の1チームの事業プロモーターチームを指名するだけでなく、複数のチームを指定したり、7チームすべてを指名することもできます。かなり複雑なので説明はここまでです)。

 今回開催された大学発新産業創出拠点プロジェクトシンポジウムでは、7つの事業プロモーターチームが参加し、来年度の研究開発プロジェクトを申請したいと考えている大学・公的研究機関の関係者、行政関係者などが会場で顔を合わせました。

 来年度の概算予算は「平成25年度の同事業の概算要求額は20億3400万円と7億3400万円増額している」そうです。



 シンポジウムの後半に実施されたパネルディスカッションでは、「本施策は、ベンチャー企業の創業などを通して、大学などの研究成果を事業化し、日本にイノベーションを起こすことを目指している」と解説し、「技術移転などを通した従来の新産業振興手段と並行して日本にイノベーションを起こしたい」との説明がありました。