ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

「近畿大学の産学連携成果について」という講演を拝聴しました

2016年06月01日 | イノベーション
 近畿大学リエゾンセンターのコーディネーターの方による「近畿大学の産学連携成果について」の講演を拝聴しました。とても面白い内容でした。

 そのコーディネーターの方は、冒頭の挨拶から「近大マグロで有名な近畿大学の〇〇です」と笑いをとります。

 まず「近畿大学は西日本最大級の私立大学」と説明し、「14の学部、11の大学院研究科、24の研究所を持ち、学生数は約3万1000人に上る」と大学の概要を紹介します。

 近畿大学は、東大阪キャンパスに法学部など8学部あり、ここが中心です。その一方で、大阪狭山キャンパスに医学部、奈良キャンパスに農学部、和歌山キャンパスに生物理工学部、広島キャンパスに工学部、福岡キャンパスに産業理工学部と、西日本各地にキャンパス・学部を持っています。

 そして「約32年間の研究の結果、2002年(平成14年)にクロマグロの完全養殖に成功した」という成果を持つ水産研究所は、和歌山県西牟婁郡白浜町などに複数の研究・養殖拠点を持っています。



 そして、マグロだけではなく、ヒラメやイシダイ、クエ、トラフグなどの18種類の魚の養殖技術も確立し、漁業組合などと協力して出荷しています。

 その中で、話題をかなり集めたのが2013年4月に大阪市のJR大阪駅北側に出店した「海鮮料理店 近畿大学水産研究所」です。さらに、2013年12月には東京都中央区銀座にも出店しました。現在、予約がなかなか取れない海鮮料理店として有名です。このお店では、鮮魚の刺身に加えて、和歌山県産の地場の野菜などを食べることができます。

 この「海鮮料理店 近畿大学水産研究所」は、近畿大学とサントリーの子会社が設立したベンチャー会社であるアーマリン近大(和歌山県西牟婁郡白浜町)が経営・運営しています。

 同社は近畿大学水産研究所が養殖技術を確立した18種類の魚を養殖した生魚も販売しています。Webサイトからでも購入できます。

 クロマグロの完全養殖がらみでは、エースコックが2014年12月にカップラーメン「近大マグロ使用 中骨だしの塩ラーメン」を販売し、翌年の2015年12月には「近大マグロ使用 中骨だしのまろやかな魚介塩ラーメン」を発売し、ヒット商品になっているそうです。

 同様に、近畿大発ベンチャー企業のクロモンコスメティックは、薬学部の研究成果を盛り込んだ高純度スッポンコラーゲンを入れた化粧品シリーズを販売しています。

 また、UHA味覚糖(大阪市)も“近大マグロ”のコラーゲンを使用したグミを販売しているそうです。

 この2件の事例は立派な産学官連携成果です。

 こうした成果を上げている結果、近畿大学リエゾンセンターへの技術相談件数は、平成27年度(2015年度)には300件を超え、この6年間で6倍以上に急増しているとのことです。

 近畿大学リエゾンセンターの方は、「関西では私立大学は“関関同立”という言葉があります」といって、関西の名門私立大学とは、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の4校を指したと説明します。この上位4校に近畿大学は割って入ろうとしているそうです。実際に、女子学生の入学者数はかなり増えているそうです。