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まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『女生徒』太宰的女性万華鏡

2009-12-22 01:41:14 | 日本の作家

太宰 治

若い頃ハマりましたよ、太宰治。
なぜかっていうと母の初恋の人(中学校の先生)の写真がすごく似ていて
気になってしまったからなのね。

記憶も薄れかけていましたので
ブームに乗って本棚から黄ばんだ文庫本を取り出してみました。

豆電球がよく似合う暗さと侘しさがあるのに、ユーモアが感じられる作風、
読んでいたら思い出してきました。

年ごろも境遇もバラバラな女性が主人公の、14篇が収められています。
主人公たちは、一見弱い立場や悩み多き状態の女性のようですが
なぜかポジティブ、というか、おおらかな印象を受けました。

女性は何も言わずに耐えるが良し!と思ってそうな気がしないでもないけどね。
でも、男ってしょうがないのです、という雰囲気も漂う…
だから許してね、ってことか?

3~4篇を選ぶのがすごく難しかったのですけれども、特に気に入ったものを…

『恥/1942年』
作品に書いてある通りの、貧しく自堕落で病気がちな作家だと思って叱咤激励の手紙を送り
ついには毛布をあげようと家まで訪ねて行ったのに…

“ 作家 ” という響きが醸し出すイメージ…今なら外国で猫と遊んでいそうですが
当時は酒浸りで女たらしタイプが主流だったのかしら?

『十二月八日/1942年』
いつものような朝支度の合間に、ラジオから「米英と開戦」と聞こえてきます。
変わらない日常のようで、新聞もラジオも会話も、戦争のことばかりになります。

第二次世界大戦開戦の日、主婦が送った一日を記したものです。
まだまだ庶民生活は長閑で、皆が「日本が勝つ!」と思っているんですよね…

『雪の夜の話し/1944年』
せっかくスルメを手に入れて、妊娠中の兄嫁に持って帰ろうとしたのに
雪にはしゃいで落としてしまいました。
そこで美しい景色を瞳の中に残して、兄嫁へのおみやげにしようと思います。

これは『少女の友』という雑誌に掲載されたそうで、とても可愛いお話です。
でも怠け者で金づまりの作家(兄)が登場したりして… 自分のことかな?

『貨幣/1946年』
七七八五一号の百円札のひとりごとです。
新しかった時はありがたがられたのに、次第に闇の世間で使われるようになりました。
でも時には、とても心温まることに使われることもあるんです。

女性に見立てられた百円札が身の上を語るんですけどね… いい話し。
お金を使う時に、この物語を思い出せば無駄遣いが減るかしら?

他にも、孤高と清貧の画家だと思っていた夫がぁぁぁ という『きりぎりす』
十二歳で将来を嘱望されてしまった少女の戸惑いを描いた『千代女』
人の良さにつけ込まれて客をもてなし続ける『饗応夫人』なんかが好きでした。

『おさん』というのは、主人公の夫が心中する話しなんですけれども
これが太宰自身の心中を、前もって茶化しているような気がして…ちょっと複雑です。

ほんと、再読して良かったわ!!
他の本も全部読み直してみようと思っています。

太宰治 筑摩書房


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ちくま文庫は表紙が素敵です

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ごぶさたです (ペーチャ)
2010-01-15 00:14:28
ごぶさたです。
実は古いパソコンではどうしてもまりっぺさんのブログが正しく表示されず(ちなみに他のいくつかのサイトもそうでした)、コメントしたくてもコメントできない状況が長らく続いておりました。しかし本日新しいパソコンが家に届き、ようやくこうしてコメントすることができるようになった次第です。いやあ、よかったです。

「女性徒」はぼくも昔読みました。太宰治はまだ読んでいないものがけっこう残っているので、読んでおきたいな、と思っています。『津軽』とか。
返信する
ペーチャさん! (まりっぺ)
2010-01-17 01:17:08
ペーチャさん、こんばんわ。
ごぶさたしています。
またペーチャさんのコメントがもらえて本当に嬉しいです。

最近は在宅で仕事をしていて(通勤時間が無くなったので)本を読む時間が減ってしまったのですが、なるべく時間をとるようにしています。

太宰治はけっこう持っているのですがかなり前に読んだので覚えていないものが多いので、再読しようと思っています。
ただ最近の太宰ブームには若干戸惑いがあるんですけど…
今の若い女性が太宰の主人公のようなタイプの男性を素敵と思えるのかしら? なんて。
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