まりっぺのお気楽読書

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『檸檬』昭和初期ブログ型小説

2011-10-14 23:01:53 | 日本の作家

梶井基次郎

教科書で『檸檬』の書き出しに感動して買ったような気がする梶井基次郎の短篇集、
小説の形はとっているものの、梶井基次郎の心情を綴った日記のような気がします。

ほとんどの小説の主人公が、著者同様病に罹っていて健康を案じる身で
文学を学ぶ学生、あるいは文筆を生業にしている男性です。

どちらかといえば活動的ではない主人公たちが、窓から外を眺めているか
あてもなく町を散歩する… という内容が多かった印象があります。

だから、あらすじ…というのとはちょっと違う気がするのですが
何篇かさらっと内容をご紹介します。

『檸檬/1924年』
気分が優れない日が続き、見窄らしくも美しいものに惹かれています。
気に入っていた果物屋の店先で檸檬を見つけひとつだけ買いました。
檸檬を握っているとその冷たさに少し気が晴れ誇らしい気さえします。
足が遠のいていた丸善に入り画集を眺めることにしました。

『城のある町にて/1924年』
峻が妹を亡くし、近所にお城跡がある姉夫婦の家で過ごした一夏の記憶。
ちょうど義兄の妹信子も帰省していました。
花火や手品を姉夫婦一家と見に出かけたりと、他愛無い日々が過ぎて行きます。
峻より一足先に、信子が学校の寄宿舎に戻る日がやってきます。

『冬の蠅/1928年』
渓の温泉宿で、日光浴の時に冬の部屋の日だまりで暖をとろうとする蠅を見るのが
日課のようになっていました。
しかし、ある日郵便局に出かけた帰りに宿へ戻りたくなくなり、数日帰らずにいたら
蠅たちは人気の無い部屋の寒さで死んでしまっていました。

起承転結がある話はほとんどなくて、気に入った風景、ふと目についた花、
散歩の途中で見かけた少女、空の色…などなどからおこった感情を書き留めています。
でも、そこは作家ですから、とても綺麗に詩的に書かれていますけどね。

数篇猫のことを書いてある短い話があり、そこにはちょっとしたユーモアが感じられます。

私は完全に間違ったブログの使い方をしていますが
本来ブログとは日記みたいに日々のことを書くものですよね?

もしもこの短篇集の作品に写真やスケッチなどが添えられていたら
ずばり “ 文学的ブログ ” と言えますでしょう。

ただ、著者が抱く感情というのが、能天気な私には合わなかったみたいです。

窓の外の花の香りで季節を感じたり、気持のいい道を見つけてご満悦になったりして
感動しているうちは良いのだが、そこからあれよあれよという間に暗くなっていくのよね

そして行きつく先は “ 死 ” です。
なんでも、いろいろなかたちで、とにかく死に結びついちゃう…
けれども、登場人物=著者が、果たして死を恐れているのか、死に憧れているのか、
読みの浅い私にはよくわかりませんでした。

梶井基次郎という方は、頽廃と暴力が同居していたような方らしく
けっこう乱暴と放蕩をされていたようです。
寡黙そうで人生に疲れたような作風はポーズなのか? 心の叫びなのか? も
いま一つわかりません。

何度か読み直してみなければ理解できないと思います。
しかし、そこまでするほどの思い入れは無い… というのが正直な感想です。

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