まりっぺのお気楽読書

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『スキュデリー嬢』実話ですか?

2009-04-11 12:57:36 | ドイツの作家
DAS FRAULEIN VON SCUDERI 
1818年 エルンスト・テオドール・ホフマン

スキュデリー嬢とはいっても、70歳の老婦人なんですのよ。
実在の詩人だったそうです。

ある夜スキュデリー嬢の家に若い男が押し入り小箱を置いて立ち去りました。
その小箱の中には世にも見事なネックレスとブレスレット、そして
スキュデリー孃に対する感謝と賞賛が書かれた手紙が入っていました。

当時パリでは宝石強盗殺人事件が頻発していて、夜道を愛人のもとへ急ぐ貴族たちが
多数被害にあっていました。
「安心して愛人に会いに行けない」という “さすがフランス貴族” な訴えを聞いていた
ルイ14世は、たまたま部屋にいたスキュデリー嬢にどう思うか尋ねました。
彼女が何気なく口にした詩のおかげで、ルイ14世が捜査を強化する必要はなしという
判断をくだしたため、殺人犯に感謝されてしまったようです。

それまで清廉潔白に生きてきたスキュデリー嬢は事件に巻き込まれていきます。
彼女は犯人として逮捕された青年を救ってあげようとするのですが
状況証拠から見て、覆すのは難しそうでした。
最終的には宝石強盗殺人の真犯人に辿り着くわけですが・・・

ミステリーになるのかしら?
犯人はほぼ最初から分かっているような状況ですし、彼女が探り当てたというより
関係者が勝手に喋ってくれた、という感じです。
だからスキュデリー嬢が名探偵で、あっ!と驚くどんでん返しという話しでは
まったく、ありません。

この物語にはルイ14世やマントノン夫人なども脇役として登場していますし
ブランヴィリエ侯爵夫人の毒殺事件など実際におきた事件も書かれています。
スキュデリー嬢も、類いまれな宝石職人カルディラックも実在していたようなので
実際にあった事件にインスピレーションを受けて小説にしたんじゃないか?
という気がして調べてみたのですが分かりませんでした。

推理小説だとしたらあまり面白くないのですが、宮廷文学と思えば少しは…
実在の貴族が登場する物語は嫌いではないので☆3つにしてみました。

スキュデリー嬢 岩波書店

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2 コメント

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ホフマン (ペーチャ)
2009-04-12 01:12:30
どうもこんにちは。

へ~、ホフマンってこんな小説も書いているんですね。知りませんでした。岩波文庫なのに…。
岩波文庫の『解説総目録』を繰ってみたら、確かにありました。完全に見落としていました。

短い話のようですし、今度見かけたら読んでみようかと思います。レビューで紹介して下さってありがとうございました。
返信する
こんばんわ (まりっぺ)
2009-04-12 22:42:59
こんばんわ。

実は私はホフマンの名は聞いたことはあるのですが、どんな物語を書くのかはまったく
知りませんでした。
この本は、岩波文庫のリクエスト復刊がまとめて置いてある本屋さんでたまたま手にしたものです。
解説を読むと作家だけではなくて、いろいろな芸術を幅広くやっていた方らしいですね。

他の方のブログで見たのですが光文社からも文庫がでているみたいで、そちらは他の物語も
収められているみたいです。

今はやはりリクエスト復刊で買ったアクサーコフを読んでいます。
最初は・・・ちょっとつまらなかったのですが、徐々に盛り上がってきています。
ただ、やはりロシアの小説は名前の決まり事を覚えていないとこんがらがってしまいますね。
誰だっけ?これ、と何度も登場人物一覧表(添付されていました)を見ながら読んでいます。

では、また。
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