まりっぺのお気楽読書

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『感情教育』棚ボタ男のウダウダな青春

2008-12-13 02:32:05 | フランスの作家
K'EDUCATION SENTIMENTALE 
1864年 - 1869年 ギュスターブ・フローベール

育児本ではないんですよぉ
恋愛小説なのかな?

とにかくずーっと一人の女性を思い続ける青年の物語なんですが
美しい恋だろうが、儚い恋だろうがどうでもいいけど、あきれてものが言えないね!!

大学受験に合格した18歳のフレデリックは
一時帰郷する途上で見かけたアルヌー夫人に惹かれてしまい
大学に入ってパリで暮らし始めると彼女のことばかりを考えて日々を送るようになります。

以下、すごくはしょるけど
アルヌー夫人に会うためには・・・ってことに
金も時間も浪費するフレデリックなのですが、どうにも報われない腹いせに
夫アルヌーの情婦ロザネットを(これまた追いかけ回して)手に入れてみたり
政界への思いや上流階級への憧れから、ダンブルーズ夫人を落とそうと
(またまた足しげく通って)とうとう再婚相手にまでなったりします。
その間、故郷の裕福な隣人の娘ルイズとも結婚の約束をしたりします。
しかし結局はアルヌー夫人への想いが断ち切れず、皆手放すことになります。

けっしてただの女好きってわけではなく、誰に対してもそれなりに誠実だし
ロザネットもダンブルーズ夫人もルイズも、ちゃんと恋愛感情を持っているようです。

ただ、そればっかりっていうのがどうなのさ? ということなんです。
フレデリックは叔父から遺産をもらって、まとまった年金をもらうようになりますが
(当時の2万7千リーブルってどのくらいの価値かわかりませんけど)
仕事をしないわ、学校も行かないわ、国をゆるがす革命にも特に参加することなく
女性と会うための部屋とかインテリアとか食事とか雰囲気とか
そんなことばっかり考えてるわけ!

もちろん、ロマンチックなことを考えてくれる男性は素敵だけど
そればっかり考えてる人ってどうですか?
親友デローリエは、フレデリックがそんなことにかまけていることに怒って
一時期フレデリックを裏切ったりしますがその気持ちは分かります。
自分はなんとか地位をつかもうと必死にやってるんだから。

アルヌー夫人とうまくいっていれば、一途に愛して、穏やかに過ごせて
仕事や社会活動にせいをだしたかもしれませんね。
(でも人妻なんだけど・・・)

フランスの小説を読んでて思うのは、人妻ってことをまったく気にかけないという
男性陣の不思議さなんですけど・・・
恋人にしようと決心したりいつ打ち明けようかと悩んだりする前に
「人妻だ」って考えないのかな?
それから自分になびかない人妻を見て「彼女の恋人はどいつだ?」って考えるのはなぜ?
夫がいるっていってるでしょー!

それなのに、自分の妻は貞淑で浮気なんかしない! という
その自信はいったいなんだろう?

ラテンな恋の七不思議でございます。

感情教育〈上〉岩波書店


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まずは上巻から…

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