まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『運命の裏木戸』おしどり探偵の老後

2010-04-23 21:19:44 | アガサ・クリスティ
POSTERN OF FATE 
1973年 アガサ・クリスティ

『親指のうずき』から5年、ついにタペンスはリューマチにかかっています。
終焉に近づくクリスティの執筆活動…哀しいですね。
でもこの時クリスティ82か83歳! もう充分楽しませてくれましたね。

トミーとタペンスは、田舎町ホロウキィに手頃な家を見つけて移り住みます。
前の持ち主が置いていった古い蔵書をかたずけていると
奇妙なアンダーラインが引いてある本がありました。
組み合わせると…
「メアリ・ジョーダンは自然死ではない。犯人は私たちの中にいる」になります。

タペンスは興奮気味ですが、トミーは取合いませんでした。
しかし、そのアンダーラインを引いたらしいアレグザンダー・パーキンソンなる人物が
14歳で急死したと知ってからは、興味を持たずにはいられませんでした。

なにしろかなり昔の事件で、実際に知っている人がほとんどいません。
祖父母に聞いたり大叔母にきいたり、といった話ばかりです。
有力な証人はじい様とばあ様ばかりで、あんまり記憶がはっきりしないんだしね…

メアリ・ジョーダンはパーキンソン家の養育係だった女性とわかりましたが
ドイツ人と言われていて、スパイじゃないかという噂だったらしいのです。
彼女は夕食にほうれん草と間違って混ざっていた毒草で死にました。

トミーが昔のツテを利用してホロウキィに関するスパイ事件の情報を集めると
なんと!まさにその事件の舞台になった家を自分たちが買っていたことが判りました。

例によってはしょるわね。

タペンスは何度か危ない目に遭った挙げ句
ついに、ピストルで狙われ肩に怪我を負いました。
なぜかというと温室である書類を見つけたからなのですけど…

書類が見つかった経緯は説明できないんだけど
クリスティの読書好きが垣間見える、古い書物からの引用が手がかりになります。

書類が見つかった後はというと…
なんだか犯人が自分から現れて、簡単に見破られてしまうという
ちょっとクリスティらしくないラストでありました。

トミーとタペンスも孫がいる年代ですもの。
自らアクションたっぷりに捜査する…というわけにはいかないのはわかりますが
結局全ては諜報部が解決したみたいになっちゃって残念です。

とにかく、トミー&タペンス以外の登場人物に
80歳や90歳を越えたじい様、ばあ様が多くって、会話のとりとめの無さはすごい
年代が定かでないのに自信たっぷりに「あの時よ」と教えてくれる迷惑な親切、
自分が言うことが一番正しいという、希薄な根拠による頑固な応酬の数々。

読んでるうちに目に浮かんでくる老人ぶり…
クリスティが友人や自分自身を皮肉たっぷりに書いているようで笑えました。
そして「若者よ、あなたたちもいつかはね…」と言われているようでもありました。
私も決して若くはないんだけど…

いきなり老けこんだトミーとタペンスが大活躍!
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね


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4 コメント

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もう読んだかな…? (アンジェリク)
2010-05-14 23:21:14
まりっぺさんは、アガサ・クリスティーの本を沢山読んでいるようですね。
『そして誰もいなくなった』を読んだ事はありますか?
本を休み休み読む私が、『ハリー・ポッター』の次に一気に読破してしまったのが『そして誰もいなくなった』でした。
ミステリーは恐そうでちょっと…と、今までは偏見の目を持っていたのですが、この本においては、読んでいる内に吸い込まれるように没頭し、夢中になって読み耽りました。
もう読んだかもしれませんが、読んでいなかったらお勧めです。
もちろん、最後までハラハラドキドキの連続です!
それが・・・ (まりっぺ)
2010-05-15 00:33:46
アンジェリク様、こんばんわ

アガサ・クリスティーは、スパイものと、別名で書いていた恋愛小説以外は読んでいると思います。

『そして誰もいなくなった』はかなり前に読みまして、あんまり覚えていないんです。
しかも、犯人とトリックだけは覚えているという最悪なパターン

でも、クリスティーの本はブログをするようになってから再読したものが多くて、しかもドラマとか映画で何回も見ちゃってるから犯人は分ってるのですが、文章が面白いのでまったく苦になりません。
『そして誰もいなくなった』も読んでみます。
Unknown (小径)
2012-05-08 16:09:57
まりっぺさん、はじめまして。
私はGWにこの本を読みました。

有名どころから乱読していたので、
「いつ波乱があるか、いつどちらかが拉致されるか」
ハラハラしながら読んでいたんですが、結局真相なるものは最後の数ページですべて語りで明らかになり、それでも更に?は残るという状態で、クリスティーにもこのような運びの本があるの?!と不思議になり、書評を検索した結果ここにたどり着きました。
この本はミステリー要素は今ひとつでしたね。

70歳になって未だになかよしのトミーとタペンスのおしゃべりは、私もこんなふうにお話できる相手がいるとステキだなあ。と思いました。
トミーとタペンスについては、NかMかだけしか読んでいないので、これから彼らについてはさかのぼって読み進めたいと思います。
NかMかで養子にしたベティのその後に加えて、
彼らの子供デボラとデリクも、トミタペコンビの探偵業について十分な理解を持っている様子が描写されていたのが
なんとなく嬉しいことでもありました。

それにしても、「アガサクリスティーのスパイものと、別名で書いていた恋愛小説」なんて存在も知りませんでした!
ちょっと気になります。

また、春にオーストリアやハンガリーに行ってきたので
ハプスブルク家にも興味をもつようになりました。
ワクワクするカテゴリーですね。
読書って本当にステキなご楽ですよね。すっかり忘れていて
恥ずかしい限りです・・
今後も拝読させて頂きます\(^o^)/
こんばんわ (まりっぺ)
2012-05-25 22:44:08
小径さま、はじめまして
コメントありがとうございます。
お返事がとっても遅くなって申し訳ありません。

実は『NかMか』は読んでないんですよ。
スパイものではないですか?

恋愛小説というか推理小説でないものは、メアリ・ウェストマコットという名で書かれていたそうですが、今は早川文庫でアガサ・クリスティの名で発売されています。
私も最近何冊か読んだに過ぎないのですが「クリスティが書いた」と思うだけで面白く感じます。
「いつ殺人が起きるのか?」と錯覚しそうにもなってしまいますが…

読書は楽しいですよね~
私はその世界に入り込めそうな、感情移入できる物語がけっこう好きです。

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