まりっぺのお気楽読書

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『カスターブリッジの市長』いったい誰が悪いのか?

2008-10-08 00:44:20 | イギリス・アイルランドの作家
THE MAYOR OF CASTERBRIDGE 
1886年 トマス・ハーディ

のぼりつめるのは長い道のりでも、落ちぶれる時は一瞬、そんな物語です。

カスターブリッジの市長ヘンチャードは、20年ほど前に酔っぱらって
妻と娘を売ってしまった過去を持っています。
彼は酒も断って、努力の末町の名士になり、市長にまでなるのですが
相手の男性を亡くした妻と娘が現れたあたりから転落の一途を辿ります。

ヘンチャードには愛し合った女ルセッタがいたのですが
妻の事を考えると踏み切れず彼女を待たせていました。
とうとう妻が亡くなって結婚しようと決心した時には
娘の結婚相手にと思っていた有能な雇い人ファーフレーに奪われてしまいます。

ファーフレーを解雇したヘンチャードは逆に彼に仕事を奪われてしまい
過去の酷聞を暴く人もあって、あれよあれよという間に落ちぶれていきます。

誰も彼も意思の赴くままに、正直に生きている村の人々なんだけど
なにしろ閉鎖的な土地柄のこと、悪い噂は膨れ上がってヘンチャードを追い込んでいきます。

残念だったのはヘンチャードの娘エリザベス・ジェインです。
登場した時はもっと何かやってくれそうなキャラクターに思えたのに
辛抱強いだけでこれといって魅力無し

もっと積極的に行動して、ルセッタとの女の争いみたいなことがあれば
面白かったんじゃないでしょうか?

ところでルセッタは過去を暴かれた(と思い込んだ)ショックで死んでしまいますが
そんなことで死ぬのかしら?
よくショックで気絶したり寝込んだりする貴婦人のお話しがありますが
そんなに簡単に倒れるものかね?

朝礼で倒れた事が1回だけの私にはなんとも言えませんが
人間てそんなに弱いものじゃないと思う

とにかく、登場人物の誰に肩入れすればいいのか分からない一冊。
誰も悪気はないんだろうけど、知らず知らずのうちに
ヘンチャードを窮地に追いつめてしまうのです。

もちろんヘンチャード自身の頑固さや、分別のなさ、冷酷さ
すぐに逆上してしまう性格などが災いを招いているのだけど
彼は彼なりに筋は通しているのでね・・・

アメリカを舞台に『巡り会う大地』という映画になったそうですが
これはイギリスが似合う内容じゃないかしら?
暗いし、硬いし、頑固だし、アメリカは違うと思うなぁ

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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質問です (さや。)
2011-10-02 17:27:23
初めまして・・。突然すみません
このカスターブリッジの市長を買おうと
思っているのですが、これは日本語で
書かれているものでしょうか?
それとも英語でしょうか?
返信する
こんばんわ (まりっぺ)
2011-10-03 21:58:35
さや。さま
はじめまして、こんばんわ。
お返事が遅くなってすみません。

この『カスターブリッジの市長』は日本語の翻訳本です。
潮出版社というところから出ています。
返信する

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