まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『カシタンカ・ねむい』カシタンカって何なの?

2008-08-30 04:10:47 | ロシアの作家

アントン・パーブロヴィチ・チェーホフ

新潮社版短篇集が晩年だとしたら、岩波文庫版は前期になりますかね。
若くして亡くなっているので。

しかし、若い頃から落ち着いていらっしゃる。
ちょっとしたペーソスを織り交ぜた、小市民的な9篇のエピソード。

『嫁入り支度(Прпданое)/1883年』
初めて訪れた時も、7年後に訪れた時も、母と娘はひたすら嫁入り支度で
ドレスを縫ったり刺繍をしたりしていました。
そして最後に訪れた時には娘の姿が見えなくなっていました。

なんら教訓的なことの無い物語ですが、哀れな親子が印象的です。

『富くじ(Выитрышный билет)/1887年』
妻が買った富くじが、あと一文字で当たりになります。
大金のことを考えた夫婦は、いきなりお互いが憎らしくなります。

ジャンボが当たったらどうします? 分け合いますか?奪い合いますか?
うちは分け合います。今はそのつもりです。

『カシタンカ(Каштанка)/1887年』
ご主人様とはぐれた犬のカシタンカは、親切な男の人に拾われます。
そこで猫、ガチョウ、豚たちとともに芸を仕込まれたカシタンカは
晴れて初舞台にあがりますが・・・

猫、ガチョウが可愛らしくてねぇ。
チェーホフは動物好きでしょう、って思うわ。
ガチョウが死んだところは泣けました。

チェーホフはお医者さんだったんですって。
そういえばよくお医者さんが出てきますね。
しかし36歳で亡くなるとは・・・医者の不養生ってやつでしょうか?

『桜の園』や『かもめ』は、もちろん読んでみたいんだけど
私、戯曲ってどうも苦手なんです あのト書きの部分が気に食わなくって。
そのうち読んでみるつもりですが・・・。

カシタンカ・ねむい 他七篇 岩波書店


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『かわいい女・犬を連れた奥さん』ヨーロッパ的ロシア

2008-08-30 04:10:33 | ロシアの作家

1896-1904年 アントン・パーブロヴィチ・チェーホフ

チェーホフの短篇集。
これが良かったもんで、『チェーホフ・ユモレスカ』2巻買っちゃって大失敗さ

私がロシアの作家で初めて読んだのは、たぶんこれだと思います。
あるいはツルゲーネフの『初恋』か、いずれにしても一昔前です。

私は時々、ロシアの作家の物語は(作品の善し悪しは別にして)
“う~るさい”と思っていますが、それは物語の中に主義・主張を盛り込んで
延々と論じる場面が多いから。
話しと関係なくない? とイライラさせられることも多々あります。

チェーホフにもそういうところはちょっとありますが、
この短篇集の中の7篇については落ち着いて読むことができました。

『かわいい女』
気だてがよく愛情深いオーレンカは、夫が変わるたびに自分も変わっていきます。
そんな彼女を、まわりの人は “かわいい女” と呼ぶのです。
彼女が最後に愛情をかけた相手とは・・・

こういう話しはよくあります。あなた色に染まる女っていうんですか?
ベイツなんざそのものズバリ『かわいい女』という短篇書いてます。
(チェーホフへのオマージュでしょうか?)
男性はやっぱりこういう女性がいいのかしらね?

『イオーヌイチ』
青年医師イオーヌイチは、赴任した街で一番愉快だと名高いトゥルキン家に
出入りするようになり、娘のエカチェリーナに求婚しますが断られます。
4年後、成功した彼の前にエカチェリーナが姿を現します。
それも未練たっぷりなかんじで・・・

エカチェリーナのフリ方はちょっと良くなかったかしらね?
後でかわいい顔しても上手くいかなくなっちゃう。

『谷間』
羽振りの良い食料品屋を営むペトロフ一家の、愛無き日常。
主人のグレゴリーは長男の嫁に、隣村から白痴同然のリーパを迎えますが
それが一家の悲劇の始まりでした。

正義は無いのか? と声高に言う気はありませんけど
次男の嫁アクシーニャは、リーパの赤ちゃん殺して捕まらないの?
しかも店の実権握って繁盛させるっていう・・・
これは、悪がはびこる政府や高官への暗喩でしょうか?

晩年(といっても若いです)の作品を集めた短篇集らしいです。
だからしっとりした雰囲気なのかしら?
他の4篇もユーモアと哀愁の入り交じった物語です。
名前のことを考えなければヨーロッパ的な感じかもね。

かわいい女・犬を連れた奥さん 新潮社


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最新版は表紙が素敵よね
コメント (4)
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