まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『幼少時代』谷崎文学の芽ばえ

2008-08-15 23:59:41 | 日本の作家

1956年 谷崎 潤一郎

フランス、ロシアと続いた“子供時代”の物語。
日本勢にも登場していただこうと思いまして、この本を選んでみました。

そういえば、新潮文庫の谷崎潤一郎、一時期ジャケ買いしたなぁ

これがトルストイの『幼年時代』に触発されたのかどうかは分からないけど
類似点は割と多いのよね

まず父親。かたや賭け事で家計に穴をあける(トルストイ)、
かたや商才の無さと病身で没落の一途をたどる(谷崎)。
いずれにしても妻の財産を食いつぶすところは同じです。

それから献身的な、年老いたばあやがいます。
いつでも空想話を聞いてくれたナターリア(トルストイ)、
学校にもついて来てくれたおみよ(谷崎)。
どちらも死ぬまで一家のために尽くしてくれます。

その他、友達のことや続編があることなど諸々・・・

描かれている人物は、親戚や学校の先生と友達のことばかりで
舞台も神田の下町界隈という狭い世界ですが
出てくる人たちが個性的で飽きることがありません。

ふがいない父親や、妻と妾を一緒に住まわした“ふしだらな”本家の叔父、
“尼将軍”と呼ばれたヒステリックな伯母でさえも
いい人ではないけれど、いい味だしてます

モデルとしては好都合な人たちに囲まれてたんだな、って思える一冊。
この人たちがいなければ、日本屈指の作家は誕生しなかったかも・・・

小さいながらに、叔父さんの妾や友達の家の女中、汽車の中の少女などに
そこはかとない“色気”や“艶っぽさ”を見つけるあたり、
後の谷崎潤一郎作品を彷彿とさせますね。

幼少時代 岩波書店


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『幼年時代』セレブキッズが心を痛める上流のお作法

2008-08-15 23:57:43 | ロシアの作家
ДЕТСТВО 
1852年 レフ・トルストイ

セレブですな
“ 子供の夜会 ” ってなんですの?

手袋がないからダンスができないって困惑したり
あぶれ者にならないように、年上の少女をダンスに誘ったり
お金持ちの世界もいろいろ大変です。

ママのこと、パパのこと、老家庭教師のこと、ばあやのことを中心に
子供時代の素直な思いや、淡い恋心を綴っています。

草稿で読者に向かって“多感であっていただきたい”という呼びかけがあったそうです。
たしかに子供の考えることって単純に見えるから
大人はつい、たいしたことじゃないって考えちゃう。
きっと子供なりに深い思いもあるんでしょう。

でもバスの中でバカみたいに叫んでる子とか見ると
やっぱ何にも考えてなさそうなんだけどさ

印象に残ったのは、パパがね、すぐ怒るんですけど
その理由が人前で恥をかいたってことなのです。
子供がダンスで失敗してたら慰めてあげるのが先じゃない?

貧しい者から見れば優雅な悩みです。
いくら子供らしいと言ったって住む世界が違い過ぎ…

今日何を食べたらいいのか? 夜の寒さをどうしのげばいいのか?
明日は命があるのか? と切実な悩みに直面する当時の下々の子供たちにくらべたら
ダンスでステップを間違えたぐらいがなんですか!

でも、とりあえず礼儀作法を覚えなきゃ世には出れないという
上流社会の教育方針は支持します。
日吉の日能研の子供たち、バスでスゴく行儀悪いんだよね!!
 そんなに騒ぐなら歩いて帰るがいいでしょう)

優しく優美だったママが亡くなったところで物語は終わります。
子供の、素直そうでわりと世の中を理解してるところが伺い知れる一冊でした。

この後物語は『少年時代』、『青年時代』へと続きます。

アナトール・フランスの『昔がたり』、谷崎潤一郎の『幼少時代』と続けて読んだのですが
他に比べるとセレブ感が強すぎて、素直な心を読み取るところまで気がまわりませんでした。
庶民なものでね…

どうか鼻持ちならない貴族にならず、真っすぐな心で育ってほしい…

幼年時代 講談社


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こちらはハードカバーです。
最近出版されたんじゃないかしら?『少年時代』『青年時代』もそろっていた気がする…
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『昔がたり』なんか足りない気が・・・

2008-08-15 23:57:11 | フランスの作家
PIERRE NOZIERE 
1899年 アナトール・フランス

子供時代の頃の思い出祖を綴った『幼年時代』、
思いついたことを走り書きした『大型本プルタークの餘白に書きつけられたノート』
田舎を巡って歴史や伝説を書き記した『フランス國内旅行』、の三部構成になっています。

『大型本~』『フランス~』に関しては
フランスで歴史の授業とか受けてないと、ちょっと理解し難いので
『幼年時代』にしぼっていいますが、この岩波文庫版、何篇か削られてませんかね?
何か足りない気がしますけど・・・

子供ならではの信仰心や、子供心に哀れだと思った人のエピソードが書かれています。
私が好きだったのは『母さんのお話』というくだり。

お母さんが子供にきかせてあげようと、自分で作った物語が5篇。
まあ、素朴なことったら
あまり教訓めいたところはなくて、純粋に子供たちを喜ばせようという
お母さんの優しさが溢れています。

でも、今の子は聞く耳もたないかなぁ?
花とか虫の話しをされても喜ばないかもしれないね。

それ以外に好きだったエピソードを二つばかり。

『二人の仕立て屋』
お母さんが慈愛に満ちた人だったためにヘンテコな制服を着るハメになった苦い思い出。

先生が制服の善し悪しで子供を差別するという、
今だったらPTAが黙ってないぞ!というお話だけど、昔だからね・・・

『マダム・マチヤス』&『代書人』
マダム・マチヤスという子守りが
全財産を食いつぶして自分から逃げていった亭主を何年経っても慕っているという話し。

尽くす女ぶりがつらいわ。
自分から会いにいって小銭を渡してくるなんて・・・信じられない!

アナトール・フランスって国葬だったんだって
ノーベル賞をとったからですか?
芸術を愛するフランスのお国ぶりが表れてますね。
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『世界の十大小説』巧まざる説得力

2008-08-15 02:01:22 | イギリス・アイルランドの作家
TEN NOVELS AND THEIR AUTHORS 
1954年 サマセット・モーム

邦題より原題の方に(もちろん)この本の内容が顕著に表れているいるわけですが
ただ大作を選んであらすじを説明したり
作者の意図を分析したりしている本ではないのです。

どちらかというと、作品よりは作者の方をクローズアップしているようで
非難するでもなく、褒めるでもなく、作者の生い立ちや生活ぶりを紹介してます。
しかし、そこは人間観察に優れたモームのこと、
それだけでも読み物としてしっかり楽しめます。
(私は、ふだんあとがきや解説をほとんど読まないのですけれど)

あげられている作家は、バルザック、ディケンズをはじめとする
男性8人、女性2人のそうそうたる顔ぶれ。

しかし男性陣は借金、放浪、女、とカラフルな人生を送ってますねぇ
作家になるにはこんな破天荒な生き方しなきゃいけないの?と思いたくなりますが
他方、女性陣二人(E・ブロンテ、J・オースティン)は極めて平静に生活を送っております
かえってミステリアスなくらいに

モームが選んだ十篇に、賛同するか反論するかは人それぞれ。
私も、えーーーーと思うものがありましたが
とりあげられているものは思わず読んでみたくなりました。

たぶん、モームは「これ、読みたまえ!」ってつもりで書いてる訳じゃないと思うんだけど
彼の筆に「読んでみたらぁ?」とそそのかす力があるんだと思います。

今のところ4篇が未読です。
ちなみにトルストイの『戦争と平和』は読んでないんだけど
尻込みしちゃうのよね 見るからに長すぎて。
4巻ものが限度なのよ、せっかちだからさぁ。

いつか読んでみようと思ってはおりますが・・・
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悲願の日々草が咲く!

2008-08-15 01:02:37 | 鉢植え
やっと日々草が咲きました

4月から種を植え初めて3度芽が出ず(何が悪いの?種?)
最後に植えたのは6月だから、ちょっと遅いかな?と
思っていました。

なんとか芽が出て、今日やっと一輪目がっ
ああ嬉しい
9月まで咲いてくれるかしら?
コメント (2)
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朝顔復活!!

2008-08-15 01:02:27 | 鉢植え
葉が枯れ枯れでパリパリになってしまっていたから
ダメかな と思いつつ水をあげ続けていたら
朝顔が復活しました。
二鉢あったんだけど、ひとつは完全に死に絶えてしまいました

ちなみに背が低いタイプの朝顔です。
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