まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ゴリオ爺さん』名前は強そうなのに (>_<;)

2008-08-29 23:10:29 | フランスの作家
LE PERE GORIOT 
1835年 オノレ・ド・バルザック

ゴリ→ゴリ男→ゴリオ、なんか強そうな名前なのに
この爺さんときたら 弱々しい・・・

物語の舞台は、パリの三流下宿ヴォケェ館。
二人の娘のためだけに生き、そのために身の回りの物全てを売りつくして
赤貧へと落ちていくゴリオ爺さんと、
上流社会へ入るためにゴリオ爺さんの二人の娘に近づこうとする
青年ウージェーヌ・ラスティニャックの交流を描いた物語です。

もともと裕福だったゴリオ爺さんの娘は、二人とも伯爵や男爵に嫁していて
本来ならお金持ちのはずなのです。
それが不倫相手に貢いだり、亭主が投機に失敗したりで父ゴリオ爺さんに泣きつくわけ。

ほとんど物の無い部屋でやせ衰えていく老人に
豪邸から馬車でやって来て金をせびるっていう神経も分からんが
言われるままに金を作ってやる爺さんもどうでしょう?
少し甘やかし過ぎでは? 6億円横領した母親並に親バカです。

その挙げ句待っていたのは冷たい仕打ちです。
一番安い葬式しかあげられないなんて・・・切ないねえ 、爺さん。
でも、僭越ながらお説教させていただくとやっぱり身から出た錆ですよねぇ。
愛することと贅沢させることを混同して育ててしまった結果ですもの。

バルザックの “人間喜劇(91話)” の一話なので
他の作品にも登場する顔ぶれが随所に顔を出します。
しかし、誰がどの話しでどんなことしてたかとか、
はっきり言って覚えてないのよね たくさんいすぎて。

ウージェーヌはこの物語の最後で、上流社会に挑戦状をたたきつけますが
その後彼が上流社会で成功したことが別の物語から伺い知れます。

バルザック全集(46話)買ったけど、半分ぐらい読んで今挫折中です。
ゾラの “ルーゴン・マッカール叢書” 読破と、どっちがきついかなぁ

ゴリオ爺さん 新潮社


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こちらは1冊になっているみたい
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『アー・キン』植民地は楽園なのか?

2008-08-29 02:06:04 | イギリス・アイルランドの作家
THE AH KING 
1933年 サマセット・モーム

はっきり言って、収載されている六篇、全て結末がよめてしまうお話しです。
しかし、それを最後まで引っ張って行くモームの筆力が凄い

全て大英帝国の植民地が舞台です。
植民地の中の白人社会はとても狭い世界、そんな井戸の中の蛙状態の人々のエピソードを
モームらしく淡々と物語に仕上げています。

果たして植民地は白人にとって楽園だったのでしょうか?

見渡す限り英国人は自分だけという辺鄙な場所で布教活動をし、裁判官になり、
ゴム園を造り、と彼等なりの使命感に燃えていた人々。
でも現地の人たちがそれを望んでいたのかどうかは疑問です。

六篇全てが秀作ですが、その中でもスペシャルな三篇を・・・

『怒りの器(The Vessel of Wrath)』
厳格な伝道師兄妹と、ならず者の白人ジンジャー・テッドの攻防。
テッドは二人に屈してしまうのでしょうか?

笑える一篇です。牧師ジョーンズと妹マーサは最高
すごく幸せな(おめでたい)人たちです。

『書物袋(The Book-Bag)』
ホストの男性が語る、若き日に恋した女のエピソード。
弟と暮らすオリーブは何故自ら命を絶ったのでしょうか?

『この世の果て(The Back of Beyond)』
退官して帰国するジョージ・ムーンを訪れた農場主トムは
彼の妻が隣人ノビィの死に泣き叫んだと打ち明けます。
問いつめるトムに妻ヴァイオレットが語ったこととは?

『書物袋』は近親相姦、『この世の果て』は不倫がテーマです。
モームはこれらのテーマを、嫌悪ではなく憐憫でとらえているような気がします。
どちらもドロドロとした話しにはならずしっとりとしたストーリーになっています。

モームはどの物語の中でも、何が悪で何が善か決して決めつけようとはしません。
それは、きっと彼が人間の弱さを知っていたからだと思いますが、いかがでしょうか?

アー・キン 筑摩書房


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『ジェイン・エア』姉の面目躍如

2008-08-29 01:06:17 | イギリス・アイルランドの作家
JANE EYRE 
1846年 シャーロット・ブロンテ

妹であるエミリーの『嵐が丘』と比較されがちでしょうが
当時はサッカレーの『虚栄の市』と売り上げを争ったらしいです。
どっちが面白いかなぁ? 私はこちらの方が好きです。

しかし3週間で書き上げたっていうのが凄くないですか?
ワープロもパソコンもないのに。
牧師館の自室で一心不乱にペンを動かす姿を想像すると、ちと怖いものを感じます。
事実はどうだか知りませんけど。

両親を亡くしたジェイン・エアは裕福な伯母に引き取られますが
その一家からは蔑まれ冷たい扱いを受けて育ちます。
しかし厄介払いのために入れられた寄宿学校で心優しい人々に出会い
正直な女性に成長して教師になります。

家庭教師として訪れたソーンフィールド荘の主ロチェスター氏の愛を得て
結婚することになったジェインでしたが、ロチェスター氏には秘密がありました。
それは、屋敷の屋根裏部屋に閉じ込められていた妻の存在…
ジェインは打ちのめされ、屋敷を飛び出します。

行く宛もなく彷徨い力尽きたジェインは一件の家の前で倒れてしまいます。
そして、その家に住む宣教師セント・ジョンとその妹たちと暮らすようになります。

ジェインの中に知性と強さを見いだしたセント・ジョンは、自分と結婚して
インドへの布教活動についてくるよう、執拗にせまります。
とうとう根負けしてインドに行く決心をしたジェインでしたが
ひとつだけ心残りがありました。

ジェインはイギリスを発つ前にロチェスター氏に会いに行き衝撃を受けます。
彼女は自分の進むべき道はどこなのか心を決めます、という物語です。

いったい、ロチェスター氏の妻はなぜ閉じ込められていたんでしょうね?
そしてロチェスター氏はどうなってしまっていたのでしょうね?
それは読んでいただかないと…すごくエキサイティングな場面です。

映画にもなったこの物語、当時は「両家の子女に読ませるべからず」と
言われていたらしいけど、どうしてでしょう?
とくにイヤらしい場面も無く、浮気者やならず者が登場するわけではありません。
なにくそ根性のある強い子の物語で、ためになると思いますけど…

『ジェイン・エア』は『嵐が丘』同様、愛をテーマにした激しい物語ですが
ぐっと現実味があり、どちらかというと男性ぽい内容のように思えます。
哀しい生い立ちと愛が壊れる青春時代が描かれた女性のドラマですが
ただのお涙頂戴ストーリーではありません。

厳格な宗教観がもたらすエゴや狂気など、確かに社会に波紋を呼びそうなテーマも
含まれていますね…そういえば。

エミリー・ブロンテにしても彼女にしても、もっとたくさんの作品を読みたいですよね。
二人して独創的な物語を生み出してくれそうだったのに。
本当に残念なことです。

ジェイン・エア(上) 光文社


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光文社版にもおおいに興味があります。こちらは上巻
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