まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ある婦人の肖像』ラスト、これでいいの?

2008-08-12 01:41:30 | アメリカの作家
THE PORTRAIT OF A LADY 
1881年 ヘンリー・ジェイムズ

いやぁ、期待しないで読んだら良かったわ
ヘンリー・ジェイムズの短篇集の表紙には“哲学のような小説”と書かれてるんですよね。
難しい?と構えて読んじゃったんだけどそんなことないです。
ちょこちょこ持って回った説明とかありますけどね

時代やスケールは違えども、バリバリやってる女性なら
だいたい同じようなことを感じるんじゃないでしょうか?

主人公イザベルはアメリカ生まれの才気あふれる若い女性です。
小さな頃から「賢い、賢い」と育てられて
自分の知性に並々ならぬ自信とプライドがあるわけです。

アメリカでもイギリスでも何人かの男性に熱烈に言い寄られる中彼女が選んだのは
高い知性と高邁な精神を持っていそうなギルバートという芸術家肌の世捨て人でした。
周囲の人たちの反対を押し切って彼と結婚した彼女ですが
結婚前と結婚後のギャップが早々に夫婦仲を冷めたものにしていきます。

ね、ありがちでしょ?

親や友達は「あんなやつたいしたもんじゃない」って言うんだけど
「私が選んだ人に間違いは無い」って結婚したのにっていう・・・

しかしラストがねぇ・・・
読者の自由判断に任せるって言われても困るんだが。

私の予想としては、アメリカからイザベルを追って来たキャスパーって人は
ストーカーのように彼女をつけまわるでしょう、ってことでしょうか?
だってしつこいんですもの

しかしイザベルって人はちょっと自分に自信あり過ぎでしょ。
まだ20歳そこそこなのに、人あしらいの生意気なことったら!
目上の人にその口のきき方はなんですかっ!て言いたいわ。

若い時に、実力以上にすごいすごいと褒め讃えられるのは
あまりいいことじゃないですね。
イザベルが賢いって言ったって、IQがどうとか博士号がどうとかっていう
明確な基準があるわけじゃないのね。
本をたくさん読んでいて、難しい話しに口をつっこみたがるってだけで。
会話の絶妙さからして頭の回転はいいのかもしれませんが。

こういうふうに持ち上げられてスポイルされた人たちを
私たちは何人も見てきてるんじゃないかしら?
まあ、イザベルはこの先何かやってくれそうな予感はありますけどね。

ある婦人の肖像 (上) 岩波書店


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とりあえず上巻から…
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『停電の夜に』エイミ・タンの言うとおり!

2008-08-12 00:48:33 | その他の国の作家
INTERPRETER OD MALADIES 
2000年 ジュンパ・ラヒリ

うーん、なんだろう?
不思議な読後感を持つ短篇集。

舞台はアメリカだったりインドだったりしますが
登場するのは全てインドにルーツを持つ人びと。
インドに住む人、アメリカにやって来た人、アメリカで生まれた人と様々ですけど、
(例えば名前とかで)インドを前面に打ち出してる割には
あまりにもインドって感じもしない。

置き換えればどこの土地で、誰にでも起こりそうな話しでもあるし
インド独特の何かもありそうな気がする・・・不思議です。

しかし、良い本だったったなあ
さすが、ピュリッツァー賞、0・ヘンリー賞、ヘミングウェイ賞 受賞。
何も煽ることなく淡々と、しかし一気に読ませてくれます。

書評でエイミ・タンが
“そばにいる誰かをつかまえて、読みなさい!と薦めたくなる”
と言ってましたが、そのとおり!! 私も何人かに薦めました。

お気に入りを3篇あげてみます。

『三度目で最後の大陸(The Third and Final Continent)』
インドからやってくる新妻を迎えるまで暮らしたボストンの下宿。
家主である103歳の気難しい老婆との、風変わりで暖かい交流が可笑しくもあり
ジーンときたりもします。

『ビビ・ハルダーの治療(The Treatment ob Bibi Halder)』
奇妙な重い病を抱える29歳の女性ビビと、彼女の面倒を見る従兄夫婦、
そしてビビを見守る町の女たちのせめぎあいに目頭が熱くなります。
ビビは意外なことで病気が治るのですけれど。

『セン婦人の家(Mrs. Sen's)』
夫についてアメリカにやってきたセン夫人と放課後を過ごすエリオット。
異国的で居心地のいい毎日を過ごしていたエリオットですが
セン夫人は日ごとにインドへの郷愁を募らせていきます。

もはや大国としての地位を築いたインドに
ビビやその近所の奥さんが住むようなアパートが残っているのかしらん?と
寂しくもなりますが、8億人もが暮らす懐の深い国なら、なんでもありそうな気がします。

とりあえず、インドの方の奥さんにはなれないわぁ。
料理が大変そう!! 下ごしらえとかスパイスとかスゴく手がかかってて
毎日できないですもん

停電の夜に 新潮社


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こちらは文庫版です
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