まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『雨天炎天』やっぱり猫が好き!ですね

2008-08-03 23:50:24 | 日本の作家
IN THE HOLY MOUNTAIN,ON THE TURKISH ROAD 
1990年 村上 春樹/松村 映三

ギリシャの聖なる島を巡礼し、トルコ沿岸を車で旅したハードな日々を
文章と写真で記録しています。

まずはギリシャ。
もはや地上ではありえないんじゃないかという、女人禁制の島を異教徒が巡る5日間。

ギリシャ聖教ってキリスト教じゃないの? などとおバカなことを考えつつ読みましたが
とりあえず激しい迫害にあったことと、修行は厳しいってことは分かりました。
しかし、さらにハードな環境を求めて奥地へ分け入る僧がいるとは・・・
凡人の私には理解不能です。

そしてトルコ。
アジアとヨーロッパの二面性を抱えた複雑な国、トルコ沿岸を3週間かけて巡った
体力的にも精神的にもタフな旅の記録です。

歴史や社会問題など、鋭い問題提起はありながらも
軽妙な表現で、検問所など一風変わった見所(?)を紹介しています。
私は行きたいと思いませんけどね。

それはさておき、私はこの方の見聞記はほぼ全部読んでますけど
猫好きですよね!! ホントに

なにしろ海外、他にも書きたいことはたくさんあるでしょうに
いつも猫たちにページを割いてくれて、まったく猫好きにはたまりません。

この本にももちろん猫は登場します。
トルコでは、湖を泳ぎ街の看板猫として活躍する、白い猫“ヴァン猫”が、
そしてギリシャでは、ヒドい食事を出す修道院に居着く
市井のけなげなノラ猫が、それぞれ紹介されてます。

ひとくちに猫と言っても、国が違えば人柄(猫柄?)も違うんですねぇ。

雨天炎天 新潮社


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こちら文庫版ですが、やっぱりハードカバーの方がいいと思います
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『 ミス・マープル』新シリーズを嘆く

2008-08-03 22:56:14 | もろもろ
NHKで『ミス・マープル』のドラマをやっていることに気づいて
最後の方だったけどチャンネルを合わせてみました。が、

いったいあのバア様は誰ですの?
有名な方だとは思いますが、マープルには見えないのよぉ、失礼しました。

ミス・マープルと言えば、ジョーン・ヒクソンでしょう!!
高齢だったので仕方ないとはいえ、続編を作るなら
せめてもう少し雰囲気の似てる人とかさ、なんとかならなかったんでしょうか?

映画『クリスタル殺人事件』のミス・マープルにもたまげたが
これはさぁ 

いずれにしても、ジョーン・ヒクソン&山岡久乃が
私にとっての最強コンビなのだ!!

よござんす! 私にはマイ・エディションがありますから
他の人のミス・マープルなんか見ませんとも!

ミス・マープル[完全版]DVD-BOX 1


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『アメリカ短篇24』軍配はこちらです(勝手に)

2008-08-03 17:53:26 | アメリカの作家
MODERN AMERICAN STORIES 

岩波文庫『アメリカ短篇選』 がちょっとだけ納得いかなかったので
集英社版を読んでみました。

勝手に戦わせてみた結果、主に好き嫌いの問題ですけど
私はこちらに軍配を上げます。

作家陣に多少の違いはあれど、やはり有名どころは顔を揃えています。
でも、こちらの方が割と素朴な物語が多かったかな?
(しかし J・バース! こちらでも難解

例によって好きな作品をあげてみます。

『いちご寒(Blackberry Winter)/1952年 ロバート・P・ウォレン』
大雨の降った翌日、浮浪者が農場にやって来た少年時代の思い出を鮮明に綴った物語です。
短い話しの中で、厳粛な雰囲気を鮮やかに描き出しています。

この人、ぜんぜん知らなかったんだけど、すごくいい!!
大雨とか濁流とか浮浪者とか、一見物騒なものなのに
少年になったような、純粋な気持ちで見られるような気がします。

『借金(Loan)/1958年 B・マラマッド
移民のパン屋の家に、同郷の友人が訪ねて来て借金を申し入れます。
夫は貸してあげたいと思いますが、妻はどうしても承知しません。
つらい事情を訴える友人に、妻はロシアで受けた迫害のつらさを語って抵抗します。

男の人ってセンチメンタルだからさ
やっぱり女の人がきっちり締めてかからないとダメなんだよね。
ほっといたら印鑑とか渡しちゃいそうだもん。

『亡き妻フィービー(The Lost Phoebe)/1915年 T・ドライサー』
田舎で単純かつ、幸福な人生を送ってきた老夫婦の妻が先立ちます。
その後、何度か妻を見かけたような気がした夫は、妻が生きていると思い込み
彼女を捜して放浪します。

先立ったのが旦那さんだったら、奥さんピンピンしてたりして…
こういうふうに仲良く歳とっていけたら幸せでしょうけど
ここまで思い詰めちゃうというのはどうでしょう?
男の人の方がダメージに弱いというのは、やっぱり本当なんですかね?

どちらかというと集英社版の方が、黒人やユダヤ人、インディアンなど
登場人物も多彩でバラエティーに富んでいるようです。
ま、あくまでも私の勝手な比較なのでね。
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『アメリカ短篇選』“アメリカ人“の出来上がり

2008-08-03 17:53:08 | アメリカの作家
上下巻で27話が収められています。

上巻については、20世紀前半の作品を収載。
O・ヘンリー、フォークナー、フィッツジェラルド、ヘミングウェイなど
名だたる作者が名を連ねています。

独立して150年あまり、“アメリカ人”という概念はあるのでしょうが
おじいちゃんやおばあちゃんの国はバラバラという、“過渡期”な感じがします。

ただ、やんわりと白人中心に仕上がっているのね。
フォークナー以外は、「マイノリティーはいないってことで…」と
暮らしていらっしゃったみたいな気がします。


下巻は20世紀後半の作品を収載。
抽象的でよく分かんない話しが多かったんですけど…わたしったらおバカさん
特にナボコフ、D・バーセルミ、J・バースですか? さっぱりっす。

上巻に比べ、やけに生活水準が上がって、より奔放になっている気がいたします。
“アメリカ人”の国民性が完成されたってことでしょうか?

上下巻からひとつづつ気に入ったものをあげてみます。

『人を率いるもの(The Reader of the People)/1945年 J・スタインベック』
西部開拓者の先頭に立って大陸を縦断した話しを繰り返し繰り返し語る祖父に
一家の平穏な暮らしがかき乱されます。

おじいちゃんが、過去の武勇伝を語りだすと確かに困るのよね。
でも、数日のことだからガマンしてあげましょうよ。
一緒に住んでたら・・・私なら無視しちゃうかなぁ。

『動物園で(In the Zoo)/1953年 J・スタフォード』
二人の中年にさしかかった姉妹が
ひなびた動物園のベンチでみじめな少女時代を思い出している物語です。

この話は、かなり暗いです。
女の人って、どうも若い頃に何かやり残したような気がして
時々反省とか後悔とかしちゃうんですよね? 私だけかな?

ふだん読みそうも無い人の作品にふれるという点で
こういう短篇集はありがたいですよね。

20世紀アメリカ短篇選〈上〉岩波書店


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まずは上巻から…
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『従妹ベット』パリ版、渡る世間は鬼ばかり

2008-08-03 10:56:00 | フランスの作家
LA COUSIN BETTE 
1846年 オノレ・ド・バルザック

「越後屋、お前も悪よのう」「お代官様こそ」っていうのがありますが
私が抱いているバルザックの世界観は、まさにそれ!!
この作品でも、腹黒さが余すところ無く書かれています。

あらすじを書くと長ーーーくなりそうなので
主な“腹黒”をあげてみましょう。

ベットは不器量な独り身のハイミス。
小さな頃から比べられ、貴族と結婚した美しい従妹アドリーヌを恨み
表面上は親しくしながら、あらゆる機会を利用して彼女を陥れようとします。

そのアドリーヌの夫、ユロ男爵はとにかく女に目がなくて金を使い果たしてるんだけど
新たに手に入れたマルネフ夫人に贅沢をさせるため、政府の金を使い込む算段をします。

ユロ男爵とアドリーヌの娘オルタンスは
ベットが世話をしていた美しい芸術家を好きになり、手に入れようと画策して結婚します。

ユロ男爵とアドリーヌの息子ヴィクトランは
母を窮地から救おうと、莫大な金で闇の仕事人にマルネフ夫人の始末を依頼します。

ヴィクトランの妻の父クルヴェルは、ユロ男爵からマルネフ夫人を奪おうと機会をうかがい
最後は金に物を言わせて結婚にこぎつけます。

マルネフ夫人はというと、ユロ男爵からもクルヴェルからも搾り取ろうと手を尽くし
オルタンスの夫も手に入れたいし、本命のモンテス男爵も手放したくないしで
ずる賢く立ち回ります。

モンテス男爵はマルネフ夫人の裏切りを知り彼女とクルヴェルを死に追いやろうとします。

この悪事の数々、書いてて疲れちゃうね

こんな中にあって、アドリーヌは忍耐強く夫を許す天使のような人なんだけど
それが裏目にというかなんというか…もう、女好きというより病気なのね、きっと。
まさに “ エロ男爵 ” の夫の手痛い裏切りにあって命を落とします。

わたくし、バルザック全集を購入してしまったわけですけれど
何冊か読み終えて、「フランス人て怖いわ~」って思いましたとさ。
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