突入寸前

ちょっと細い道を車で走っていた。

ポツポツと家がある道。

信号で止まった時、何気なく横の家を見ると…

おじいさんとおばあさん、と、その娘さんとおぼしき３０代くらいの女性が玄関前にいた。

おじいさんの手にはゴルフクラブ。

それを両手に持ち頭上に構え、腰を落とし、険しい顔でソロリソロリと玄関の方で歩いている。

おじいさんに隠れるようにしておばあさんが後ろにピタリと寄り添う。

少し離れて娘さんが心配そうに見守っている。

何してんだ！？

すごく気になるじゃないですか！

玄関に虫でも出たのかな？

と思ったけど、ゴルフクラブで虫退治ってのがちょっと不自然だ。

虫を倒せた頃には家の中がボッコボコになっているだろうから。

中に泥棒でもいるのだろうか？

そうだったら、あのおじいさんが立ち向かうのはちょっと心配だ。

申し訳ないけどあまり強そうにみえないもん。

ゴルフクラブ持っていても返り討ちに合うんじゃないか？

弱い泥棒ならいいけど。

でも泥棒ならゴルフクラブで戦うよりも警察呼ぶよね。

そして外で待つよ。

待っている間、突入しようとしているってのは不自然だ。

だったら泥棒でもないのかもしれない。

単に玄関の釘が外れて、トンカチなかったからゴルフクラブで打とうとしてたのかなぁ。

もしくは自粛中だから家族で家ゴルフをしていて、次の一打を打つところってだけか？

車から降りて何しているのか聞きたかったけど、信号が青になっちゃったから発進しましたよ。

次にまた通るとき、どんな様子なのか気にかけておくことにしよう。