黒い粉

朝っぱらからＫ氏から連絡があった。

どうやら、Ｋ氏夫人の車が出勤中に爆発音がしたらしい。
そのまま走ろうとしたけど物凄い音がしてハンドルをとられるので、緊急停車したらしい。
その場所がこの近くだったので、ボクが借りてる駐車場に停めされて欲しいと言うのだ。

あらまぁ。
それは大変ですな。
もちろん停めて問題ないですよ。

後から駐車場を確認すると、Ｋ氏夫人の車が停まっていた。
既に、タクシーかバスかで出勤したようで、Ｋ氏夫人の姿は無し。

しかし爆発音とは恐ろしい。
お世辞にも、あまり新しいとは言えない車だからなぁ。
車の事は詳しくないけど、エンジン内の何かが破裂しちゃったのだろう。
煙とかは出ていないから、もう大丈夫なのかな。
これ、ほっといて後から大爆発なんてしたりしないよね？

なんて考えながら見守り、そして夕方。
駐車場のほうに行くついでに、その車を近くから見てみた。

ら。

ん？
あれ？
何だか車が傾いてないか？

と思ってよく見ると…

おいおい。
パンクしてんじゃん。

爆発音って言うからどんな事かと思えば、ただのパンクじゃん！
気付きなさいよ！
たぶん本人も、あまり車が新しくないから真っ先にエンジン関係の異常と思ったんだろうなぁ。
まさかそれがパンクとは想像もしなかったのだろう。

すぐにＫ氏に連絡したら、安心してましたわ。
たぶん、もう廃車って事も頭をよぎりながら仕事していただろうからね。

といってもこのパンク。
すげぇぞ。
なかなか見事なパンクっぷりだ。
だって、タイヤのあちこちが破れまくってんだもんね。
パンクというより、バーストってやつだろう。



夕方になり、Ｋ氏夫妻がやってきた。
記憶にないけど、たぶん会うのは３年ぶりくらいかな？
最初の挨拶は「明けましておめでとう」だ。
３年ぶりに会うのがタイヤ交換の場ってのがどうかと思うが、まあ仕方ない。

Ｋ氏がタイヤ交換するのを見守る。

外されたタイヤをしっかりと見てみたけど、凄い。
ゴム成分が無くなっちゃってて、完全にひからびてんの！
これじゃあタイヤのクッション性もないだろうし、バーストもするだろうよ。

聞けば、タイヤ交換ってものを一度もした事がないと言う。
この車に何年乗っているかしらないけど、少なくとも５年以上はしてないだろう。

傾けたら、中から謎の黒い粉がポロポロと出てくるし…
なんだこれは？
タイヤの粉末か？
貴重なものを見せてもらったよ。

タイヤ交換が済んだら、さっさと帰っていくＫ氏夫妻。
今からオートバックスでタイヤ購入ですな。
さようなら。
「よいお年を」と言って別れましたわ。

またいつか、タイヤ交換の時に会いましょう！