学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

ユニバーサル・サービスとしての義務教育

2005-09-21 | 教育
義務教育は,全国どこにいっても,
同じ水準の教育が無償で受けられるということが前提である。

その意味で,義務教育はユニバーサル・サービスである。

教育改革の流れのなかで,
公立の義務教育学校のなかに,
さまざまな特色をもった学校が設立されるようになっているが,
このことは,
義務教育というサービスのなかに
質の異なるサービスが混在することを認めることにつながる。

義務教育学校であっても,私立学校は学費を徴収する。
その根拠のひとつは,
私立学校は公立学校とは異なるサービス内容を提供しているので,
その特色あるサービス分を受益者が負担すべきだからということにある。

もしも,
ある公立学校が他の公立学校と明確に異なる特色あるサービスを
提供し(当然,経費も多くかかるであろう),
それがあいかわらず無償で提供されるとすると,

なんで,同じ公立学校に通わせているのに,
特色あるサービスを受けられる人と受けられない人がいるの?

とか,

なんで,私立学校に子女を通わせる保護者だけが受益者負担を強いられるの?

とかの疑問に対して,

説明がつかなくなると思うのだが,考えすぎだろうか??

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公立と私立の懲戒権の違い

2005-09-21 | 教育
懲戒権という面に着目して,
公立学校と私立学校の違いを考察してみたい。

義務教育段階の小学校・中学校は,
公立・私立を問わず
懲戒としての停学処分を行うことはできない。
なぜなら,児童生徒の学習権を侵害するからである。

同じ理由で,公立の小中学校は,
退学処分を行うことはできない。

ところが,私立の小中学校は,
退学処分を行うことができる。

なぜなら,私立の小中学校が退学にした児童生徒は,
直ちに,公立の小中学校が受け入れるので,
学習権の侵害が起こらないからである。

私立小中学校も義務教育を担っているのだが,
公立小中学校とは異なり,
退学という強い懲戒権を行使することが可能なので,
学校の方針に従わない者を,正当な手続きを経れば排除することができる。
この懲戒権の存在が,一種の安全弁あるいは抑止力となり,
独自の教育理念や秩序維持を可能にしている面がある。

公立小中学校は,すべての児童生徒を受け入れる義務があるので,
たとえ学校選択制が導入されたとしても,
このような私立学校との役割や制度上の違いにより,
学校の方針に従わない者がいたとしても,排除することはできない。
したがって,独自の教育理念を標榜することは困難なのである。

だからといって,
公立学校に私立学校と同様の懲戒権を与えれば,
義務教育自体の理念が失われてしまう。

懲戒権ひとつをとってみても,
このような違いがあるのであるから,
私立学校をモデルにした公立学校改革には無理があるように思われる。

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