学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

窓を開けて換気をしましょう

2005-09-25 | 授業の雑談
最近は,冷暖房完備の学校も増えてきたせいか,
夏でも窓を開けない教室が増えてきた。

なかには,窓を開けなくても換気ができる装置を備えた贅沢な学校もある。
少々サービス過剰である。


以下は,窓を開けないと換気ができないふつうの学校の場合である。


これから冬に向かうと,ますます窓を開けることが減ってくる。
寒くなってくると,生徒は窓を開けることを嫌がる。
窓を開けないので,教室の空気が悪くなる。
教師は,「窓を開けましょう」「換気をしましょう」と呼びかける。

しかし,その呼びかけの効果は長続きしない。

そこで,長年わたる試行錯誤の結果,ついに,
実に効果的な「生徒に換気させる方法」を発見したので,
本日はその秘策を公開する。

ただし,この方法は,
教師と生徒の間に十分な信頼関係が成立していることを
確認後行うべきである。

そうでない場合は,総スカンを食う場合があるので
やめておいた方が無難である。

ともあれ,この方法は劇薬である。


生徒を前にして,おもむろに以下のように説明する。

「あなたは,1分間に何回息をはいていますか?
 数えてみてください。

 1回にどのくらいの量の空気をはいていますか?
 想像してみてください。

 この教室の容積はどのくらいですか?
 だいたいでいいから考えてください。

 この教室に何人の人がいますか?
 数えてみてください。
 
 いつからこの教室は窓を閉め切っていますか?

 ということは,あなたの今すっている空気はどんな空気?
 
 さて,人間の呼吸は,
 1回の呼吸で,吸った空気のなかの酸素を全部使ってしまうのではなく,
 そのごく一部を使っているので,
 はく息にもまだたくさん酸素は含まれています。
 だから,マウス トゥー マウスの人工呼吸をしても大丈夫なわけで,
 人がはいた息を吸っても,とりあえず呼吸はできるわけです。

 タバコを吸っている人の近くにいて,
 タバコの煙が来ていやだなと思ったことはありませんか。
 あれは,その人の吐いた煙に色とにおいがついているから
 わかりやすいのですが,
 通常,人のはいた息は,よほどその人に近寄らないと無味無臭です。
 でも,空気の流れは,タバコの煙と似たようなものでしょう。

 さて,ここまでのお話でおわかりのように
 長時間締め切った部屋にいるあなた方が,
 今吸った空気は,誰かがはいた空気です。

 前の方に座っている皆さん,
 今あなたが吸った空気は,わたしがはいた空気です。」

と,言った瞬間,生徒は,悲鳴と共に
教室のすべての窓を勢いよく開け,
それ以降,いくら寒くても窓は開けたままだった。

ちょっと,効きすぎたか。

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