「いじめ防止対策基本法案(仮称)」について,「教諭による体罰もいじめと位置付けた」という報道がなされている。詳細を見てみる必要があるが,あまりアクロバティックな言葉の遣い方をしないほうがよいのではないだろうか。
「法」であるからには,現行法等にのっとった法案づくりをすべきであろう。「体罰」そのものは,学校教育法第11条違反,どの程度が体罰であるかも,「児童懲戒権の限界について」(昭和23年12月22日付け法務庁法務調査意見長官回答)や「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)」(平成19年2月5日付け文部科学省初等中等教育局長通知)のなかの別紙「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方」に明記されている。したがって,「体罰」はそのまま違法行為であって,教育行為ではない。また,様態によっては,暴行・障害等,刑法に基づいて裁かれるべき行為でもある。そのことは現行法を厳格に運用することで足りるのではないか。それを,「体罰」を「いじめ」という新しい枠組で捉えることになると,現行法では「体罰」という行為そのものを違法だとしているのに対し,「体罰」を行う者の意図まで斟酌することになりはしないかと恐れるのである。
例えば,ある生徒に暴言をあびせて精神的に追い詰めているいじめっ子を教師がひっぱたいたとしよう。この教師の行為は,現行法上は「体罰」であり,違法行為であるが,教師による「いじめ」とは言えないのではないか。そのような混乱を生む可能性があるように思うのである。
「法」であるからには,現行法等にのっとった法案づくりをすべきであろう。「体罰」そのものは,学校教育法第11条違反,どの程度が体罰であるかも,「児童懲戒権の限界について」(昭和23年12月22日付け法務庁法務調査意見長官回答)や「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)」(平成19年2月5日付け文部科学省初等中等教育局長通知)のなかの別紙「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方」に明記されている。したがって,「体罰」はそのまま違法行為であって,教育行為ではない。また,様態によっては,暴行・障害等,刑法に基づいて裁かれるべき行為でもある。そのことは現行法を厳格に運用することで足りるのではないか。それを,「体罰」を「いじめ」という新しい枠組で捉えることになると,現行法では「体罰」という行為そのものを違法だとしているのに対し,「体罰」を行う者の意図まで斟酌することになりはしないかと恐れるのである。
例えば,ある生徒に暴言をあびせて精神的に追い詰めているいじめっ子を教師がひっぱたいたとしよう。この教師の行為は,現行法上は「体罰」であり,違法行為であるが,教師による「いじめ」とは言えないのではないか。そのような混乱を生む可能性があるように思うのである。