黒澤明監督の「羅生門」にスクリプターとして参加して以来、黒澤組の常連である野上照代さんの原作。この自伝的映画の中では学校の美術教師になっている。その戸田恵子演じる「照べえ」の語りで少女時代の思い出が語られる。
戦争に突入するその真っ只中から終戦にいたる話であるが、戦闘シーンは無く、吉永小百合の「母べえ」が住む家が主な舞台となる。暗い時代ながら、各登場人物の深いところで輝く人間性が美しく描かれている。俳優は豪華な布陣だ。一部はラストのクレジットで名前を見てもどこに出ていたか分からない、という贅沢な使い方である。
「母べえ」の出身である広島の悲劇も直接的ではないが話に影を落としている。
山田洋二監督はこのところ時代劇が続き、久々の現代もの、と言いたいところだがこの昭和20年代、今の眼から見るともう時代劇のジャンルなのかもしれない。
警察に連行する時に縄を使っていたこととか、拘置所での面会に拘留者は編み笠をかぶせられて現れるとか、封書を開く時にはさみではなく木製の小さなヘラを使っていたこととか、もはや知らないことだらけだ。
それらのディテールを丁寧に見せることに、時代劇以降の山田監督はかなりのこだわりを持っているように見える。
吉永小百合の若さもすごいが、4歳年上の倍賞千恵子が吉永小百合の娘をやるというのもすごい。女優マジックだ。
戦争に突入するその真っ只中から終戦にいたる話であるが、戦闘シーンは無く、吉永小百合の「母べえ」が住む家が主な舞台となる。暗い時代ながら、各登場人物の深いところで輝く人間性が美しく描かれている。俳優は豪華な布陣だ。一部はラストのクレジットで名前を見てもどこに出ていたか分からない、という贅沢な使い方である。
「母べえ」の出身である広島の悲劇も直接的ではないが話に影を落としている。
山田洋二監督はこのところ時代劇が続き、久々の現代もの、と言いたいところだがこの昭和20年代、今の眼から見るともう時代劇のジャンルなのかもしれない。
警察に連行する時に縄を使っていたこととか、拘置所での面会に拘留者は編み笠をかぶせられて現れるとか、封書を開く時にはさみではなく木製の小さなヘラを使っていたこととか、もはや知らないことだらけだ。
それらのディテールを丁寧に見せることに、時代劇以降の山田監督はかなりのこだわりを持っているように見える。
吉永小百合の若さもすごいが、4歳年上の倍賞千恵子が吉永小百合の娘をやるというのもすごい。女優マジックだ。
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