このところ井上靖の作品を続けて読んだ。「氷壁」に始まり「あすなろ物語」、続いて「しろばんば」「夏草冬涛」「北の海」のいわゆる自伝的三部作+エッセイで一休みというところだ。
発端は今年初めにNHKで放映された「氷壁」である。
普通は、映画や番組がとても良かったから原作を読んでみよう、というパターンだが、この場合はまったく逆だった。むしろ「これが井上文学のはずがない」という思いが原作を当たるキッカケになった。
結果、やはり原作とは別のものになっていた。
豪華配役、海外へスケールアップした山岳映像、リベラの心洗われるようなテーマ音楽、と申し分ない要素が揃いながら、肝心のドラマ部分からは原作の心と香りが脱落していた。
別のタイトルを付け、クレジットで「井上靖『氷壁』より」とでもなっていたのならまだしも、ズバリのタイトルを付けることがよく許されたものだと思う。
とはいえ、そのことが井上文学へ誘ってくれたという意味では、私にとっては幸運なことであった。というのは続けて読んだ自伝的三部作が、まさに至福の時をもたらしてくれたからだ。
何より面白い。これまでこのような世界を知らずにいたとは、何とももったいないことをしたものだと思った。
夏休みに読む本を物色中の方には是非、とお勧めしておきたい。
でも 私と違って
ムジュカシイ~~~
お勉強させて頂きます
訪問ありがとうございます。
お客様が少なくて寂しく思っていたところでした。これに懲りずにまたどうぞ。