SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

井上靖の文学 ~ 「自伝的三部作」体験

2006年08月04日 | 音楽・演劇・美術・文学

 このところ井上靖の作品を続けて読んだ。「氷壁」に始まり「あすなろ物語」、続いて「しろばんば」「夏草冬涛」「北の海」のいわゆる自伝的三部作+エッセイで一休みというところだ。

 発端は今年初めにNHKで放映された「氷壁」である。

 普通は、映画や番組がとても良かったから原作を読んでみよう、というパターンだが、この場合はまったく逆だった。むしろ「これが井上文学のはずがない」という思いが原作を当たるキッカケになった。

 結果、やはり原作とは別のものになっていた。
 豪華配役、海外へスケールアップした山岳映像、リベラの心洗われるようなテーマ音楽、と申し分ない要素が揃いながら、肝心のドラマ部分からは原作の心と香りが脱落していた。
 別のタイトルを付け、クレジットで「井上靖『氷壁』より」とでもなっていたのならまだしも、ズバリのタイトルを付けることがよく許されたものだと思う。

 とはいえ、そのことが井上文学へ誘ってくれたという意味では、私にとっては幸運なことであった。というのは続けて読んだ自伝的三部作が、まさに至福の時をもたらしてくれたからだ。

 何より面白い。これまでこのような世界を知らずにいたとは、何とももったいないことをしたものだと思った。

 夏休みに読む本を物色中の方には是非、とお勧めしておきたい。


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2 コメント

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Unknown (みゅう)
2006-08-06 09:19:49
お邪魔に来ました~ 

でも 私と違って

ムジュカシイ~~~ 

お勉強させて頂きます 
返信する
歓迎 (mach)
2006-08-06 20:35:01
みゅうさん、



訪問ありがとうございます。

お客様が少なくて寂しく思っていたところでした。これに懲りずにまたどうぞ。
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