おすすめ度 ☆☆☆
PG12
北フランスを舞台に演技未経験の問題児たちを配役した映画撮影の行方を描き、2022年・第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞した人間ドラマ。
オーディションで選んだ子供達をそのままに映画を撮影していくというフィクションの中で描いていく作品、カットとカメラの編集で巧みにリズムを生み出していく手腕は見事。問題児たちという前提から綺麗事に発展するありきたりな作劇ではなく、辛辣な視点はそのままに、微妙な心の葛藤を背後に忍ばせて、ラストはささやかな感情の解放と、甘酸っぱい青春の瞬間を描きだして終わらせる。
フランス北部の荒れた地区を舞台にした映画が企画され、地元の少年少女を集めた公開オーディションが行われた。キャストとして選ばれたのは、異性との噂が絶えないリリや怒りをコントロールできないライアン、心を閉ざしたマイリス、出所したばかりのジェシーの4人で、シナリオは彼ら自身をモデルにした物語だった。波乱に満ちた撮影が始まり、4人は映画の登場人物を演じることで自分自身と向き合っていく。