ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

マダガスカル・太陽の賜物

2008-03-03 00:46:14 | アフリカ


 "Sofera" by Rajery

 あ~調子悪い。
 いやね、このところ、すっかりしつこい風邪にやられてまして。何をする気にもなれない。
 記事の更新もままならず申し訳ないです。

 それにしても妙な風邪で。他の方々も同じですかねえ。それほど熱は出ないものの、いつまでも喉の痛みが引かず、ずっと頭が重苦しく、妙な寒気が体の中心にわだかまっている。
 こんな調子の日は部屋でおとなしくしていたいんだが、そんなときに限ってしょうもない用事が出来てしまって、鼻汁ジュルジュル喉ゲホゲホ状態で問題解決に出かけねばならなくなったりする。そんなもんですねえ。あ~調子悪い。

 そんなときはアフリカ音楽、それも”熱帯が盛り上がる!”みたいな奴じゃなく、爽やかなマダガスカル方面が良いですなあ。明るい太陽の下、押し寄せ、そして引いて行くしなやかなリズムの潮流に身を任せて来たるべき春の日を夢見る。

 さて、さっき検索をかけたら”ヴァリハのプリンス”なんてチャッチ・フレーズも目に付いたマダガスカルのRajeryの昨年作です。やあしまったな、昨年聞いていたら我が年間ベスト10に確実に入れていたのになあと歯噛みする思い。良い作品です。私好みのアルバムです。

 冒頭、ホッコリしたアフリカ人独特の分厚いコーラスが聴こえ、続いて軽快なリズムに導かれ、ヴァリハの軽やかなアルペジオが素朴な和音を奏でる。マダガスカル独特の、竹筒の周囲に弦を張り渡したハープというか琴というか、の楽器であるヴァリハの、まさに風みたいなタッチで鳴り渡る軽やかな感触が快い。
 そして始まるRajeryのボーカル。これもひたすら爽やかで良いです、うっとうしい冬の日にすっかり飽いた身には。

 曲調はカリプソ、それもまんまハリー・ベラフォンテが「おい、それは俺が歌う曲だろ?」と怒鳴り込んできそうなメロディで、ああすいません、でもいいじゃないですか、ついでだから一緒に歌っちゃいましょうよ、と言われたらベラフォンテも苦笑しつつコーラスに加わるかもしれない。

 ともかくそんな人懐こいRajeryの人間性がよく投影された音楽で、ちょっと立ち寄って一杯飲んで行こうかなんて思わせる、音楽の基本の部分に溢れる気安さが嬉しい。

 走り抜けるリズム、カラカラと鳴り渡るヴァリハ、憂鬱を撥ね退ける陽気な鼻歌。空で微笑むお日さまの賜物。ほかにいったい何が必要なんだい?とRajeryは笑いかけてくる。

 上記、検索をかけている途中で、”ヴァリハのジャンゴ・ラインハルト”なんて表現にも出会って、まるで共通するところのない演奏と思えたんで首をかしげたんだけれど、なんとRajeryは子供の頃の怪我が原因で右手の指を失っているんだね。それでジャンゴの名なんかが引き合いに出されたのか。

 ヴァリハというのは先に述べたとおり、竹筒の周りに張り巡らせた弦を両手で掴むようにして掻き鳴らす楽器で、あれを片手だけでどうやって演奏しているのか、まるで見当がつかない。う~む・・・
 とはいえ、そんな事実を持ち出して”だから偉い!”なんて方向に話を持っていってしまうと、昨今の我が国のテレビ事情と同じ愚劣なお涙頂戴感動押し付け話に堕ちてしまうので、ここは”参考までに”程度で収めておきたい。

 さて、もう一度、不思議の島、マダガスカルに溢れる陽の光と潮の香りを堪能するとしよう。
 


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