昨日のレココレ誌のベスト選話の続きでありますが。
読者にベスト選考を募る応募要項の隣に、これは”回答例”って意味ででしょうかね、”ウッドストック・カフェ”なるお店の店長氏の選んだ”60~89年の間に発表されたロックのアルバム・ベスト20枚”が掲載されていたんだけど、そのセレクトに目を通した私は、うわ、これは凄いと、まことに申し訳ないながらも笑っちゃったのでありました。
だってさあ、ベスト1がエリック・アンダーセンの”ブルー・リバー”で、その後に続くのがジャクソン・ブラウン、ニール・ヤング、ディランにバンド、ライ・クーダー、ジーン・クラーク、ボビー・チャールス、と、”70年代初頭のアメリカン・ルーツロック愛好会選定”もいいとこの世界がきっちり20アイテム、並べられていたからであります。
もう、絵に描いたようなあまりにも典型的な例を挙げられると、思わず笑ってしまうってのはあるでしょう?そ、そりゃあんまりだ!そんなど真ん中の直球ってあるかい!と。
まあ、何年かのずれはあるかもしれないが、この店長氏、私と同じ世代の人なんでしょう。私も70年代のはじめには、たとえば伝説のロック喫茶”ブラックホーク”に通いつめるなどして、これらの音楽に入れ込んでいた時期はありました、ハイ。そしてそれは忘れがたい素晴らしい時間ではあったんだけど・・・
けど、この30年間のすべてを、あの数年間の思い出の中にってのもいかがなものかと。あれから後、音楽も、そして私たちも、それなりの人生を生きて来た、歴史を重ねてきたんじゃないの?
そりゃまあ、パンクのセックスピストルズを”70年代のベスト1”としたレココレ誌の”公式見解”ってのももの凄くどうかと思う。
で、この店長氏が今回、ベスト20選を発表するに至った契機となるのも、セックスピストルズのベスト1占拠(?)への反発があるようで、それには大いに同感できるんだけど、60年から89年の30年間の成果をピンポイントで70年代初頭のアメリカの一握りのミュージシャンに集約させるってのも、問題あるって意味ではいい勝負じゃないかなあ。
けどまあ・・・こういう人って、いるんだろうな。私が想像するよりずっと多いのかもしれない。”あの時代だけが”と結論を出し、割り切ってしまえる人は、それなりに幸せなのかもね。
けどねえ・・・私は、シンガーソングライターやらアメリカ南部サウンドに酔い痴れていた時代の思い出が素晴らしかったならなおさらのこと、そこからさらに一歩でも歩き出さなきゃしょうがないでしょ、と思うぞ。スモールタウン・トークは遠きにありて思うのもの、ってねえ。