ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

本間千代子についてダラダラ書く

2011-05-07 02:59:02 | その他の日本の音楽

 ”本間千代子・ゴールデン・ベスト”

 いずれにせよこの歳になって自分がガキの頃に本間千代子のファンだった事を思い出すなんて、これほど取り返しのつかないこともあるまい。どの道、こんな話に誰も興味を持たないだろうからどうでもいいとは言うものの。
 ファンと言っても、これから思春期に入ろうかと言うガキのことであるからたいしたファン活動はしていない。彼女のレコードも買わなければ映画を見に行ったこともない。そもそも自分がファンであるという自覚もなし、ただテレビに出ている彼女を見ると、なんか好いたらしい気持ち(From昔のタモリクラブ)になるなあと感じてはいた、レベルの記憶なのである。そうかあ、最初に好きになった女の芸能人は九重祐美子だと思っていたんだが。

 知らない人のために書けば本間千代子と言うタレントは幼い頃から児童合唱団や児童劇団に属し、中学生の頃から子役として活躍、その後、昭和30年代の中頃から”清純派”として映画界で本格的に活動を始める。多くの人の記憶に残っているのは当時の歌う青春スター、舟木一夫などの相手役で学園ものなどに出ていた姿ではないか。
 などと今、ウィキペディアを書き写していて驚いたのだが彼女、その人気の絶頂期の21歳の時にいきなり結婚、芸能界から遠ざかって行く。そうか道理で、急にその名を聞かなくなったわけだ。

 それにしても、こんな言い方もないものだが、ちょっとおっちょこちょいな人なのではないか。21歳で結婚(あ、守屋浩と結婚したのか。そうだったのか)も早いが、すぐに別れて30代で再婚、その後も子育てが終わった48歳の時に、若い頃からファンだった石原裕次郎の母校に憧れて慶応大学に入学してしまったりする。行動力がある、と言うべきなのか。
 いや、そもそもこんな文章を書く気になったのも、偶然、You-tubeで出くわした彼女の最近のフリートークのおかしさに、やあ、若い頃の彼女のこんな面をその気になればリアルタイムで接し得たのに惜しい事をしたなあ、などと悔し紛れからであるのであって。

 そのYou-tubeや先日発売になったベストアルバムで聴く本間千代子の歌声は、さすがに幼少の頃から児童合唱団で鍛えられ児童歌手として実績のある彼女らしく、クラシック的発声法による、ほとんど素っ頓狂とも言うべき甲高い代物である。
 この独特の硬質の高音が、彼女の歌に不思議な現実離れの感触を与えていて、収められている曲を聴いても、あまり古さを感じない。もともと別世界でキンキン響いていた歌声であるので、時代の波も洗いようがなかったのではないか。

 今聴いた印象で彼女の曲を二つに分けることが出来る。当時の若者の心情を描こうと意図した、当時なりにナウい青春ソングと、戦前から続いているような古色蒼然たる歌謡曲の系譜である。そして、そのどちらも彼女のプラスティックな(?)高音の破壊力によって本来の意味を剥ぎ取られ、不思議ない世界の様相を呈している。シュールな絵画を眺めるような気分。
 これ、現時点ではそういうものとして楽しんでしまっているのだが、リアルタイムでは誰も変とは感じなかったのか。いや、感じなかったから普通に彼女は歌手をやっていられたのだろうけど。

 というか、こんな事を言い出すのは今も昔も私くらいのものか?
 と、ようするに私の変なもの好きはその頃からだ、ということで。まあ、変なのはこちらの方かも知れません。そりゃそうだ。それにしても、これがファンだった者の書く文章か、という・・・




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